結節性痒疹

結節性痒疹とは

 結節性痒疹とは、強い痒みを伴う丘疹・結節を多数生じる状態を云います。痒みが非常に強いため掻爬すると傷をつくり、その後にますます結節が硬くなったり増えたりします。
 基本的には孤立性のしこりのことが多く、正常皮膚を残すことが特徴ですが、アトピー性皮膚炎などで苔癬化が酷くなった皮膚をステロイド外用剤をちゃんと使って治していくと、結果として小結節が残ってしまう場合もあります。

 割と幼少期の方から、成人・高齢者まで幅広い年代にできることも特徴です。四肢・とくに下腿に好発するとされますが、躯幹・陰部、場合によっては顔面にもできる場合があります。

※顔面の場合は、しっかりステロイド外用を使わないと治らないのですが、他疾患との鑑別が重要になります。

 

 原因としては、虫さされ・各種アレルギー性の皮膚炎・アトピー性皮膚炎などが悪化誘因とされています。高齢者に生じる多形慢性型のものもあります。はっきりした原因は分からないともされ、神経説・リンパ管説・血管にそって出来るなどの意見もあります。

 通常のステロイド外用剤の塗布では効果がないことが多く、慢性化すると非常に硬く、暗褐色の硬いしこりになると治療に反応しないこともあります。

 

治療は、教科書的にはステロイド外用剤の塗布や紫外線療法(ナローバンドUVBなど)ですが実際にはなかなか効かないことが多く、どこの皮膚科医院でも治らずに困っている疾患です。掻爬すると悪くなることが分かっているので、各種抗アレルギー剤や痒みに効果のある漢方薬を使います。

 当院では今まで紫外線療法を行ってきましたが、各種外用剤の併用療法にてかなり良い改善効果が得られているため、現在ではナローバンドUVBは行わずに済む方が多いです。数があまり多くない場合で、しこりが残ってしまった場合には局所に液体窒素やステロイド局注を行う事もあります。

 

 ステロイド外用剤は強さ・基剤にさまざまな種類があり、これらを工夫して組み合わせて使うことやビタミンD3軟膏、プロトピック軟膏の複合治療が有効と考えております。きちんと治療を行っていけば、痒みをコントロールして治していける疾患です。

 

当院の痒疹治療の特徴

  • 痒疹がなぜ出来てしまうのか?、根本的な原因は分かっていません
  • 一方で、しこりが出来てから「割と早期であれば」外用剤を工夫することで「かなりの改善」が得られることが多くなります。
  • 当院の外用治療の特徴としては、「掻き崩したキズに傷薬」、「硬くなったしこりにクリーム剤併用」、「苔癬化病変に重層療法」、「ストロンゲストクラスの密封療法」、「ステロイドテープ剤」、「しつこいシコリにケナコルト注射」、「角化の強いしこりにビタミンD3外用剤などを併用していくことです。
  • 他院からいらした方の処方を拝見すると、圧倒的に外用剤の量が不足していることが多く、「外用剤の量が他院より圧倒的に多いこと」も特徴となります。
  • 痒疹が10年以上長引いた方などで「しこりが高度」となり、「カチカチの瘢痕状態」になってしまうと外用治療に反応が悪くなってしまう傾向があります。
  • 当院は、地元ですと「東邦大学大森病院皮膚科」や院長出身校である「日本医科大学付属病院皮膚科」とも連携しており、注射療法などの必要が生じる場合には適宜ご紹介するようにしております。

     

    ※ご来院いただく患者さんの中では、上記の外用剤塗布の工夫にて8~9割の方が改善傾向になっております。

     

    治療に当たってのお願い

     痒疹が治ってくると、「キズ跡」が残ってしまいます。通常の皮疹は、「皮膚の表面」での炎症に留まることが多いのですが、痒疹では「しこりを掻き崩してしまう」ことによって、表皮~真皮中間層での炎症に進展します。

     したがって、治療目標としては「痒みが治まること」、「しこった皮疹が平らになってくること」であり、治った跡には「赤みや黒ずみ」もしくは「色抜けや瘢痕状の跡」が残ってしまうことをご了承ください。

     痒疹の治った跡は、「通常の怪我のあと」、「やけど跡の瘢痕」と同様にのこってしまうことが多くなります。但し、治療が完了し、症状が落ち着いたあとには、「キズ跡」も徐々になじみ、周囲の皮膚となじんでくるようになります。

     


    ●他院で治らない”よう疹”でお困りの方は当院まで是非ご相談下さい。

    大木皮膚科
    大田区山王1-4-6
    電話;03-3776-2220

     

    結節性痒疹の記事一覧
    お探しの記事は見つかりませんでした。