巻き爪の治し方・セルフケアの基礎知識

自分でコットンで治ったセルフケア法

 巻き爪の治し方セルフケアについて、ご説明していきます。当院では「巻き爪矯正」を行っておりますが、決して全例が適応ではなく、軽度の症状では「セルフケアでの治し方」をご指導しており、数回の通院ご自宅でのケアで治ってしまう方も大勢いらっしゃいます。

 一方で、巻き爪矯正をおこない「爪の弯曲が改善した方」でも、

  • 靴による圧迫
  • 足趾の踏ん張りが弱い
  • 巻きやすい体質

     などが原因で、再び爪が巻いて「巻き爪が再発」してしまう方も3割程度いるとされています。再発予防のためのセルフケアとしても、以下にご紹介する方法は有効ですので、ご参考にされてください。

     

    セルフケアのための基礎知識・爪の構造

    まずは、爪の構造からご説明しましょう

     下記の図で説明致します。爪本体は「爪甲」といい、皮膚の角質層であるケラチンが分化して硬くなったもので「たんぱく質が主成分」となります。根元を覆っている皮膚部分である「後爪郭」の下に爪を作っている「爪母」があります。

     指先の矢状断をみると「末節骨」の根元の上に爪母があり、この場所で「爪」が作られており、作られた「爪甲」爪床という特殊な皮膚の上を一体化して末端まで伸びるという構造をとっています。

     次に横断面をみますと、爪には物を支える役目があるために「自然の弯曲」があり、足を踏ん張ったり、物を掴んだりする力とのバランスを取っています。このバランスが何らかのきっかけによって崩れてしまい「爪が巻いてしまう」と、側爪郭部の皮膚に喰い込んで「爪郭炎」を起こしたり、炎症を繰り返すことによって「肉芽形成」などを生じてしまうのです。

    お願い
     巻き爪の治し方には、正しい靴選び・履き方や爪の切り方も大切なのですが、これは別ページにまとめていきます。

    巻き爪治し方・コットンでのセルフケアの基本

     巻き爪の発生機序は、上記のように「支える力」と「爪が巻く力」バランスが崩れてしまうことですから、このバランスの回復に着目した方法が効果的です。保存療法の基本としては、

    1. 巻いている爪端何らかの方法で持ち上げて
    2. 腫れてしまっている側爪郭部引き下げていく

      ことが有効となります。

      セルフケア方法①;巻き爪を治す準備

      ご自宅にて自分で出来る巻き爪の治し方

       一番簡単な方法は、爪端前面を指で支えて持ち上げながら、痛みのある側爪郭部分の皮膚を愛護的に指腹方向に押し下げていくことです。爪を優しく持ち上げつつ、爪脇の皮膚を指腹側に引き下げることによって、喰い込みのある部分の隙間少しでも広げることができれば痛みが緩和して炎症を取ることができるという方法です。

       もしも、側爪郭部の皮膚を持つときにすべってしまうのであれば、ガーゼ爪脇の皮膚をくるみながら、下方に引き下げるようにすると力が掛けやすくなります。汗などで滑ってしまうところを綿素材のガーゼでは、やや摩擦係数が高いことから滑りにくくなるため、爪郭部を引き下げる処置としておすすめで、当院でもよく行っている方法です。

       

       注意点としては、

      • 爪を短く切ってしまって肉の奥に入ってしまい、爪前縁が見えないものでは行いにくいこと
      • 爪が薄く割れやすい方では爪端前面の持ち上げを割れないように慎重におこなうこと
      • 爪を切ってしまい、奥に爪棘が隠れているものでは痛みが強くでるため無理をしないこと

         などが挙げられます。

         

        ポイント!
         巻き爪の初期症状では、市販の消毒・抗菌剤外用と伴に、上記の方法のみでも改善することがあります。とくに道具も必要としないので、お勧めの方法です。

         

        セルフケアに必要な道具の解説

         上記の方法で改善しきらない、中等度以上の巻き爪セルフケアには、ご自宅での処置に幾つかの道具が必要です。必要な道具について説明致します。

        アドソンピンセット

         皮膚外科用の先の細いピンセット「アドソンピンセット」と云います。Amazonなどの通販サイトで1000~2000円程度で購入可能です。このピンセットには「有鈎タイプと無鉤タイプ」があり、爪端を掴むには「無鉤タイプ」をご購入下さい。※薬局で細めのピンセットを購入しても可。

        爪ヤスリ

         両面にやすりの付いたタイプの平ヤスリがお勧めです。これも通販サイトなどで検索すると、ゾーリンゲンの爪ヤスリなどが700~800円程度で手に入ります。薬局やホームセンターを探すと、同タイプの平ヤスリを購入することもできます。

        爪ゾンデDC200R

         爪端の掃除をしたり、ぎりぎり奥の隙間を持ち上げたりするために必要な器具です。VHO巻き爪矯正のセットにも採用されていたようです。元々は、エースクラップAESCULAP)の歯科用の歯石取り用ゾンデとなります。

         一般には販売されていませんが、これもamazonでDC200Rと検索すると3900円程度で手に入れることができます。アズワンというメーカーさんは医療器具の専門店で常に在庫があり、割と早めに配送してもらうことができます。

        https://www.bbraun.jp/ja/products-and-therapies/general-open-surgery1/aesculap-history.html

         

         以上の3つが当院でお勧めしている巻き爪のセルフケアのための道具となります。どれも、一度手に入れて置くと「巻き爪のご自宅でのケア」に長く使うことができるグッズですのでお勧めさせていただいております。

         

        セルフケア方法②;コットンによる爪脇深部出し

        道具を使った巻き爪の治し方について

         前述のセルフケア①を行うことによって多少は爪端が見やすくなっていると思います。さらに爪の奥を出して持ち上げて行くには「上記3つの道具」を揃えて下さい。最初に喰い込んでしまって見えなくなってしまった「爪側縁」を出していきます。

         はじめに市販のコットン短冊状に切ったものを用意します。この際に、コットンを繊維方向に切った方が後からほぐしやすくなりますので、切る方向に注意をしましょう。つぎにコットンを爪端の隙間に入るように軽くほぐして、「こより」を作ります。こよりは爪端に入るように大きさを微調整しておき、強く捻る必要はありません

         セルフケア①にて、少し側爪郭が爪端から離れているはずですので、ここに「こより」をあてがいます。このままでは、「コットン素材であるこより」が落ちてしまいますので、手で軽く支えながら「マキロンなどの消毒液もしくは水道水」で少し濡らします※当院では、治療の際に「局所麻酔液」を使用しております。

         

         すると、表面張力が効いて「こより」爪の表面に留まりますので、爪脇の側爪郭を手で引き降ろしながら、「爪ヤスリ」を使って、爪と側爪郭のあいだに「こより」を入れていきます。この際のポイントとしては、単に押し込むのではなく、爪ヤスリでコットンを爪甲に押し当てながら、爪端の奥方向に滑らせて入れていくとスムースにコットンが入っていきます。巻き爪の程度にも寄りますが、本法だけでも爪端が綺麗にみえて治ってしまう事もあります。

         

         さらに奥にコットンを入れるには、側爪郭部の皮膚を再度引き降ろしながら、残ったコットンに捻りをいれるように、爪表面に押し当てながら爪端奥方向に挿入していくと、爪郭部が爪縁よりさらに離れていきます。この際、同時に爪甲前縁を用手的に支えて、すこし持ち上げるようにしながら行っていくのがコツとなります。コットンが汚れてしまう場合には、新しいコットンに交換して同様の処置を繰り返します。

         

        セルフケア方法③;爪ゾンデでの爪端前縁の確保

         上記のコットンパッキングにより、爪の前縁もかなり見やすくなってきているはずです。さらに巻いている方では次の操作としては、爪甲本体の持ち上げを行っていきましょう。巻き爪となってしまった爪甲下には、角化物や汚れ、血液などが貯まってしまっている場合があり、かつ通常はご自身でこれらを取ることが困難なため見えなくなってしまっていることがあります。

         まずは「爪ゾンデ」を使って、どこが爪甲末端の遊離縁となっているか探っていきます。爪ゾンデの先は、適度な弯曲となっており愛護的に爪下のスペースを確保するのに最適です。爪ゾンデにて、爪先の遊離縁が確保できたら、汚れや血液・垢などを細かくちぎったコットンなどで掃除をしていきましょう。

         つぎに、ゾンデを使って爪のやや奥を支えて持ち上げて見ましょう。このときに、コットンが入った側爪郭をガーゼで包んで押さえながら、指腹方向に引き下げていくと爪端のスペースが更に広がります。

         注意点としては、

        1. 爪が薄い方では端を持つと折れてしまうことがあるので、なるべく奥内側を把持すること、
        2. 爪の巻きが酷く喰い込みが強い場合には痛みがでやすいことや、
        3. さらに爪端を切ってしまって奥に「爪棘」がある場合には強い痛みがでること、

         がありますので、操作は時間を掛けながらゆっくり行うのがコツとなります。

         爪ゾンデで少し爪が持ち上がってきたら、次に「アドソンピンセット」で爪のやや奥を持ちあげていきます。このとき、適宜コットンを交換し、さらに側爪郭を「コットンごと」爪ヤスリの平面部分で下に押し下げていくことも有効です。

         

         以上の処置は、「硬くなった関節やスジを伸ばしていく作業」とおなじく、一気に行おうとすると痛みが出る場合がありますので、時間を掛けながら繰り返し、ゆっくり行っていく方がよいでしょう。

         

         

        セルフケア方法④;コットンパックにより爪前縁~爪側縁全体の持ち上げ

        コットンパッキングによる最終仕上げ作業

         上記までの処置にて、大多数の方はなんとか爪端が見える状態まで持ってこれると思います。爪側縁~爪前面までをきれいに露出することが出来たら、仕上げとして爪ゾンデを用いてコットンパッキングを再度行っていきます。

         ※通常のコットンパッキングは、爪端前面のみにコットンを丸めて入れることを指すのですが、当院では爪端側縁~前面まで包むように挿入することを「コットンパッキング法」と称しています。

         

         汚れたコットンを取る前に、仕上げとしての「こより状のコットン」を作成しておきます。仕上げのコットンを入れる直前に、もう一度「爪の持ち上げと爪縁皮膚の引下げ」を行っておきます。汚れたコットンを引き抜くと、爪縁に隙間がみえてきますので、新しいコットンを再度、同じ要領で挿入していきます。爪側縁~前面までコットンを入れると「爪先端」をコットンで「すくえる」はずです。

         コットン爪側縁から爪下前縁スペースまで挿入出来れば、コットンパッキングの完成です。爪側縁~前縁までの全体をコットンの「こより」ですくい上げて、爪端全体を持ち上げるイメージです。

        ポイント
         コットンの量が少なく、爪が持ち上がらない場合には、追加でもう一本こよりを入れるのも良いでしょう。このとき、爪脇の側爪郭皮膚も十分押し下げるようにしておきます。

         一応、爪ヤスリおおまかにコットンを入れることは出来るのですが、痛みのある「微妙に喰い込んだ爪端」「爪の奥」までしっかりとコットンを入れて症状を緩和するためには「爪ゾンデ」の使用を推奨いたします。

         

        セルフケア⑤;爪の巻き自体の簡易矯正法

         以上の操作で爪側縁がでない場合には、さらに「爪の巻き自体」も治していく必要があります。

         

         爪の側縁がなんとか見える場合には、前面からピンセットで爪を持ち上げつつ、「爪ゾンデ」を使って、爪側縁の奥を持ち上げるようにします。どうしても前面からの力だけで爪を持ち上げようとすると、爪の奥が持ち上がらずに爪が割れてきてしまうことがありますが、持ち上げる力を前方からと側縁からに分散することで、無理なく爪の挙上が行えるようになります。

         ある程度広く、爪の側縁がみえるようになれば、前面からのピンセットと伴に、「爪ヤスリ」爪側縁の全体を持ち上げていくことも可能になります。

         

         巻きを治していく方法には、さらにオプションがあり、「爪が厚い方や丈夫な方限定」となってしまいますが、「厚くなった爪をヤスリで削って少し薄くする方法」やピンセットの代わりに、「工作用のラジオペンチで状態をみながら少しずつ挙げていくこと」もできます。但し、ペンチを使う方法には力の塩梅を加減しないと爪が折れてしまうリスクもありますので、あくまで自己責任でお願い申し上げます。

         ※当院では、医師の判断の元、ペンチを用いた爪縁の即時巻き爪矯正を行わせていただいております。

         

        セルフケア⑥;爪縁が上記処置でみえない場合

        爪を持ち上げるだけでも痛みが緩和することも!

         上記の処置でも、痛い巻き爪のご自宅での応急処置に有効と思われますが、さらに巻いた爪の側縁がみえにくい場合には「巻き爪ワイヤー矯正の適応」となります。

         コットンで爪側縁~前面をうまく出せなかった場合取りあえずのご自宅で出来る応急処置として、

        1. 爪端の下にコットンを入れて爪前縁を持ち上げ気味にしておく
        2. 上記とは別に爪脇にコットンを挟み、爪側縁と皮膚の当たりを緩和しておく

          ことだけでも行っておくと、徐々に痛みが取れてくる場合があります(コットンパッキング分割挿入法)。

           すなわち、コットンパッキング「爪前縁」と「爪側縁」で分割して行っておくことによって、爪側縁の奥までは見えなくとも、「爪と肉の当たりが緩和」することで炎症・痛み等の改善が期待出来るのです。

           巻き爪・陥入爪などの違いはありますが、上記の方法は多少巻き爪が化膿していても可能な方法で、ある程度までセルフケアでの対応がご自宅で可能となります。一方で、なかなか奥がみえにくい場合には「巻き爪矯正」の適応となりますので、巻き爪の矯正に対応した医院に受診をするようにしましょう。

           

          コットンが入らない場合のセルフケアには?

          コットンが痛いときの応急処置はどうすればよいの?

           従来のコットンパッキングと云われるものは、「爪の前縁のみ」を少し持ち上げてから出来た隙間に、コットンを丸めたものを挿入するという方法が推奨されていました。一方で隙間がほとんどない状態の痛い巻き爪部分コットンを無理に押し込むと返って痛くなってしまうことがあります。

           そのために、コットンパックは痛みのでない無理のない範囲でという説明になっているサイトをよく見かけます。当院では、コットンパック法を行う前の処置として上記の方法によって、「十分に爪側縁~爪前縁の隙間を確保」してからコットンパック爪前縁端のみでなく、爪側縁も含めて痛みのある部分の当たりを緩和するよう広く挿入する方法で改善を図っています。

           

           注意点としては繰り返しになりますが、

          1. 爪を奥まで切り込んでしまったものでは、処置が難しくなること
          2. 爪が薄く割れやすい方では、慎重におこなう必要があること
          3. 爪奥に「棘」が残ってしまい痛みのあるケースではコツがいること
          4. コットンを詰めすぎることで爪剥離を起こすことがあり詰めすぎに注意が必要

            などが挙げられます。

             上記の処置で、ご自身で痛みが取れない場合には、無理せずに病医院を受診するようにしましょう。

             

            巻き爪治し方・糸ようじ・ゴム輪・市販グッズでセルフケア出来ますか?

             当院では、爪側縁と側爪郭の皮膚の「当たりの緩和」のために「コットンパッキング」をお勧めしておりますが、コットンの替わりとして、

            • ティッシュを丸めたもの
            • 糸ようじ
            • 絆創膏
            • ゴム輪

              などを使う方法が様々なサイトで提案されています。

               

               手元にコットンがないときには、臨時の応急処置として「ティッシュ」を挟むことも有効かもしれませんが、濡れて浸軟してしまうとティッシュは、潰れて崩れやすいのが欠点です。絆創膏は、ある程度の隙間がないと入らないのが弱点であり、糸状・紐状のグッズでは爪を持ち上げるのにボリュームが不足します。

               

               コットンパッキング法の利点は、

              1. 手近にありすぐに手に入ること
              2. ご自宅での交換が容易であり患部の清潔を保てること
              3. コットンに捻りをいれることである程度のボリュームを確保でき爪郭部にスペースを作りやすい
              4. 繊維状になっており、爪の挙上に最適であること
              5. ボリュームの調整が容易であり、爪奥の狭い隙間にもいれられること

                などのメリットが多くあります。

                 

                 その他では、どうしてもご自宅でのコットンパッキングが出来ない方に、一時的にガター法テーピング法補助的に行う場合もあります。

                巻き爪の治し方・自分で出来るセルフケア法をスライド形式の動画にしました!

                まとめ

                 当院では、巻き爪治し方のセルフケアのご指導をしております。もし、本ブログをご覧になってもご自身でコットンを入れることが出来ない場合には、爪の持ち上げ方や爪郭部の皮膚のよけ方などを医院を受診していただいた患者さんにご説明しております。

                 爪挙上+爪郭部皮膚にコットンを入れて置くことは、ご自宅での再発予防ケアとしても有効です。さらに、巻き爪矯正後の併用ケア法としてもお勧めしております。本稿が巻き爪で困っている方々のご参考になりましたら幸いです。

                ※上記、巻き爪ケアは多少お時間の掛かる処置であり、平日午後に受診されるようにお願い申し上げます。

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