令和6年診療報酬改定に伴う診察料変更について

 通常は隔年で4月に行われる診療報酬改訂「令和6年度は6月に施行」されます。これに伴い「各種整備加算のホームページ記載の義務化」が行われました。

 皮膚科以外の他科では、「医学管理料等の引下げ」が行われ、それを原資として今後はマイナ保険証をはじめとする「医療のIT化を国は推し進めていく方針」のようです。さらに昨今の物価高対策として、医療スタッフの賃上げを評価する対策が取られたことも今回改定の特徴です。

 皮膚科診療に影響のあるものとしては、

初再診料の引き上げ、
処方箋料の減額、
医療情報取得加算(マイナンバー対応)
医療DX情報取得加算(医療のIT化促進)
外来ベースアップ評価料Ⅰ(医療スタッフの賃上げ対策)

 となります。

 とくに処方箋料が68点⇒60点となり、この物価高の中で「8点の引下げ」となり、③~⑤の対策を必ず行わないと「実質的診療報酬の引下げ」となるため、「マイナンバーをはじめとする医療IT化」を強力に推し進めたいという「国の意思」が感じられる改定(政策誘導)となっています。皮膚科に関連する医学管理料や処置料・手術料の大きな変更はありません。以下、各項目について順に解説していきます。

※参考サイト;https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00045.html

初再診料および処方箋料の変更

初診料 291点(3点増額)⇒約1%増額
再診料 75点(2点増額)⇒約2%増額

処方箋料 60点(8点減額)⇒12%減額

 初再診料が1~2%のアップとなっておりますが、昨今の物価高や賃上げに対応できる改訂ではありません。さらに、処方箋料が12%近く減額となっており、何も対策をしないと確実に医院運営に影響を与える改定となっています。

 なお、以下の3つの国の推し進める対策に対応をすれば、全体としてわずかにアップする改訂内容となっているのが今回の特徴です。

医療情報取得加算

・初診時⇒加算1;3点(マイナ保険証なし)、加算2;1点(マイナ保険証あり)

・再診時⇒加算3;2点(マイナ保険証なし)、加算4;1点(マイナ保険証あり)以上は3月に1回

 従来のマイナ保険証推進加算(医学情報・システム基盤整備体制充実加算)が減額となってものです。当院ではマイナ保険証対応を令和6年2月から開始しましたが、保険改正に伴い6月より上記を算定させていただきます

 なお、国民からの批判を恐れたのか「マイナ保険証をもってこなくとも初診で2点(20円)のみしか点数が変わらず」実質3割負担で10円程度(四捨五入)の差となっております。お掛かりになる患者さんにとってはマイナ保険証を使わなくとも大きな自己負担の差は生じず、マイナ保険証推進の政策誘導としては効果の薄いものとなっております。

医療DX推進体制整備加算

・医療DX推進体制整備加算 初診時に8点

 オンライン資格確認により取得した情報を活用出来る体制を整えること、さらに今後電子処方箋や電子カルテ共有サービスに対応出来る体制を行っていくことを前提に上記の整備加算が算定出来ることになりました。

 具体的には、
オンライン請求を行っている、
オンライン資格確認(マイナ保険証対応)を行っている、
③電子資格確認で取得した情報を閲覧、活用できる体制をとっている(当院5月末に電カル更新にて対応)、
電子処方箋対応
電子カルテ共有サービスに対応、
マイナ保険証利用での一定の実績
以上の内容を告示すること、
⑧さらに自院のウェブサイトに以上の情報を記載すること

 となっております。

 なお、電子処方箋と電子カルテ共有サービス対応に関しては実は詳細がまだ確定もしておらず、今後対応予定とすることで猶予期間があることとなっております。本加算は厚生局に申請の必要なものとなっており、当院もすでに申請書を受付していただいております。

外来ベースアップ評価料

・初診時 6点、再診時 2点

 医療スタッフの「賃上げ対策として上記の加算」が新設されました。令和6~7年度において、スタッフ賃金のベースアップを2~2.5%行う事が目標とされております。昨今の物価高および医療スタッフの他業種への転職を防ぐために国が創設した加算となります。

 当院におきましても昨年秋~今年4月に上記の目標値を上回る大幅なベースアップを行っており、評価料Ⅰに該当しております。なお、上記の算定においても厚生局への申請が必要となっており当院でも電子申告済みとなっております。なお、患者数の少ない医院や過疎地域を想定してさらなる加算(評価料Ⅱ)も新設されましたが当院では算定しておりません。

まとめ

 なお、上記の評価料および各種加算は、同時に算定が可能となっております。結論としては、令和6年6月より、

・初診料291点+3点+8点+6点=308点(マイナ保険証なし)

・初診料291点+1点+8点+6点=306点(マイナ保険証あり)
  ※従来288点から18~20点の増

 ・再診料75点+2点+3月に1回2点(マイナ保険証なし)
 ・再診料75点+2点+3月に1回1点(マイナ保険証あり)
  ※従来73点から4点+αの増

 ・処方箋料60点
  ※従来68点から8点減

 以上のように変更となりました。 

 総合して判断すると、初診で掛かる方の負担が処方箋料の減額も考慮すると「10~12点」の負担増となりますが、一方で毎月定期的に病院にお掛かりになって処方箋をもらっている患者さんにとっては、「約4点の負担減」となっております。病院へは毎月定期的に掛かった方がお得な時代となったとも云えるでしょう。

ご注意
 本ブログ内容は令和6年5月15日段階で判明している通達や告知より引用しております。6月以降実際に電子カルテを運用し、間違いが分かった場合には訂正させて頂く場合がありますので、ご了承のほどお願い申し上げます。
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