乾癬とは?

 乾癬psoriasis)とは、表皮細胞の増殖が亢進し「皮膚の入れ替わりが短くなった結果」として、ぶ厚い銀白色の雲母状の鱗屑(りんせつ)を伴う紅斑・表皮の肥厚を呈する「難治性の皮膚疾患」とされます。根本的な原因が不明な「多因子性の疾患」で、一度発症すると症状が繰り返し慢性の経過をとる「代表的な炎症性角化症」となります。

 初期症状として、皮疹は点状丘疹よりはじまって、直径1cm程度から場合によっては直径5~10cm以上大きなぶ厚い白い鱗屑を伴った「境界明瞭な局面」を形成します。表面の雲母のような大きなフケ・カサカサは、一部では剥がれ落ちて来ます(落屑;らくせつ)。自覚症状はないことが多いのですが、痒みを伴う場合もあり日差しの強い夏期には軽快傾向となります。

 好発年齢青年~中年であり、発症年齢は男性では30~40代にピークがあります。また、女性では思春期以降の10代と50代2峰性のピークがあります。男女比では2:1で男性の方が多くなっています。芸能人では、女優の道端アンジェリカさん「尋常性乾癬」であることをInstagramで明かしています。

 治療ステロイド外用・活性型ビタミンD3製剤外用の他、ステロイド+ビタミンD3配合軟膏、紫外線療法に加えて、重症例では内服薬治療や生物学製剤が用いられます。喫煙、アルコール、肥満などが悪化要因とされています。

 乾癬の特殊型である「関節性乾癬、膿疱性乾癬(難病指定)」に関してはガイドラインがあるのですが、一般的な「尋常性乾癬」の治療ガイドラインはまだ、ありません。なお、9割を占める「尋常性乾癬」「皮膚科特定疾患」となっておりますが、難病指定疾患ではありません。

 発生頻度としては、白人ではよくみられる疾患であり約2%に発症するとされ、日本人では欧米より少ない0.1~0.2%程度の発症率とされています。日本では戦後から「食生活の欧米化」に伴って患者数が増加傾向となり、現在約50万~60万人の患者さんがいるものと推定されています。その一方で、中東やアフリカでは罹患数が少ないという人種差もあります。

 なお、乾癬の類似疾患して「掌蹠膿疱症」という皮膚疾患がありますが、日本以外の海外においては「膿疱性乾癬の特殊型」であると考えられております。本疾患は日本国内においては「乾癬」とは別疾患の扱いとなっておりますので、本ブログ内においても別ページとして取り上げております。

 

お願い
 このページでは主に、尋常性乾癬を中心としたお話をしていきます乾癬に関する疾患ページを作成して患者さんにとって有益な情報を提供しようと書き始めたところ、大変ボリュームのある内容となってしまいました。以下、皮膚病の王とも云われる「乾癬の歴史・原因・診断・治療法・生活上の注意・予後」などにつき、必要な情報をまとめてあります。興味のある方はお時間のあるときにゆっくり読み進めていただけますと幸いです。

 当院では、各種外用療法および紫外線治療(ナローバンドUVB・エキシマライト)まで対応しております。

乾癬の歴史

 乾癬が歴史上登場したのは、かなり昔のことで紀元前のギリシャ時代の文献に記載があり、欧米では多くみられる人類最古の皮膚病ともされます。中国では「牛皮癬」と呼ばれており古典的な医学書にも記述されているそうです。原因が不明な疾患でなかなか乾癬を確実に治せる方法が見つからず、皮疹部では様々な免疫反応の異常が起こっており表皮の過剰増殖を起こす慢性皮膚疾患です。

 乾癬が独立したひとつの疾患であることは、1800年代にロバート・ウィラン博士によりはじめて報告されました。その後ウィーン大学のヘブラによってPsoriasis(乾癬)という病名が1841年に記載され、その後は正式に乾癬(psoriasis)と呼ばれるようになりました。その当時より遺伝歴や家族歴の存在・内臓病変との関連が指摘されていたそうです。

 日本では明治後期あたりから、「乾癬」という病名が教科書に記載してあり定着してきたようです。「癬」という漢字は円形のガサガサした皮膚病を表し、「水虫=白鮮」、「がさがさした慢性化した局面=苔癬化」などという使い方をします。乾癬では、表面のカサカサ(鱗屑;りんせつ)が乾いてかさかさして見えるので「乾いた(乾)かさかさした局面(癬)」という意味で鱗屑疹⇒乾癬という名前になったという説が有力です。

 

乾癬の原因・誘因は?

 角化細胞の増殖が亢進しており、表皮の基底細胞が角質化して「垢として」脱落するまでの時間(ターンオーバー時間)通常45日程度であるのに対して、「乾癬」の皮膚では、4~7日と著しく短縮していることが分かっています。これに炎症反応が加わってくるため皮膚の赤みや盛り上がりも出てきます。

 一方、角質増殖がどうして起こるのか根本的な原因は不明ですが、以下の遺伝的な要因とともに、複数の環境因子が考えられています。

乾癬の原因として考えられていること

遺伝的な要因

 家族内での発症率が高い日本に於いては5%程度)ため、多因子遺伝様式が、その発症に係わっています。とくに白人では家族内発生が高く20~40%程度となります。また、人種差を超えて、HLA-Cw 0602HLA-B13遺伝子マーカー等との強い相関があります。また、複数の疾患感受性の遺伝子PSORS1PSORS7)が知られています。

外的な要因

 物理的な刺激(外傷・過度のひやけ)・細菌感染症(扁桃腺炎、連鎖球菌など)・薬剤(リチウム製剤・ベータ遮断薬・カルシウム拮抗剤・インターフェロンなど)といったものが、誘因もしくは悪化因子となり得ます。

免疫学的な要因

 Th1優位の免疫学的反応が、局所の乾癬の皮膚病変で起こっています。リンパ球・角化細胞・血管内皮細胞・真皮内の樹状細胞などが種々のサイトカインTNF-α;腫瘍壊死因子など)を産生することが乾癬の病変形成に係わっています。さらに、IL-23という樹状突起よりのサイトカインやIL-17を産生するT細胞(Th17)が炎症の慢性化に関与しています。

※生物学的製剤は、これらのサイトカインをピンポイントで抑えていく。

生活習慣・食生活などの要因

 戦後より高度経済成長に伴い脂肪分の多い食事が増えた影響もあり、メタボリックシンドローム(肥満)や高インスリン血症・糖尿病・喫煙・妊娠(妊娠中は少ない)・飲酒、ストレスとの関連、さらに内臓機能の代表である「腸内環境のみだれ」が発症の誘因として指摘されてます。さきの戦時中には我が国ばかりでなく、ドイツにおいても患者数が斬減し、減脂肪食療法が有効であることから食生活の向上・欧米化が一因とも考えられています。また、肥満自体が乾癬治療の効果を減弱させるというデータもあり、体重減少の介入的なプログラムも必要とすべきという報告があります。

 

ポイント!

 中年以降の生活習慣のみだれ、運動不足、加齢による腸内乳酸菌の減少しやすい腸内環境に加えて、過度のストレス・多忙・アルコール多飲などの「負荷」が加わった結果として、症状がでてくるケースも多いと考えられます。腸には多くの免疫細胞が存在しており、腸内環境の悪化はカラダ全体の免疫状態にも大きく影響してきます。乾癬の症状は主として皮膚に出てくることが多く、以前は他の臓器を侵すことは少ないとも考えられてきました。

 

コラム;Psoriatic March(乾癬マーチ)

 近年、乾癬の患者さんでは皮膚のみでなく全身的な炎症が起こっており、その影響で様々な合併症のリスクも高くなるとされます。肥満メタボリック、脂質異常、高尿酸血症、糖尿病、高血圧、うっ血性心不全、心筋梗塞などの合併率が高くなることが報告されています。また、これらは「さらに乾癬を悪化させる要因」ともなってしまっています。

 乾癬では、皮疹部の炎症にとどまらず「脂肪細胞を主体とした全身的な炎症」が存在し、血管内皮細胞障害、動脈硬化へと進展して、心血管イベントのリスクも増えます。

 

乾癬の症状・出来やすい部位 

 初期の症状としては、頭皮の髪の毛(とくに生え際)、四肢伸側の膝頭・肘頭・臀部など刺激を受けやすい部分に初めに出てきます。次第に、四肢~躯幹に広がり、肥満者では間擦部(脇・臍・殿裂・鼠径部・乳房下)にも症状が割と左右対称性に出てきます。露出部で日の当たる顔に出ることは少なく、手のひら、足の裏・関節窩・粘膜面にはまれとなります。

 個々の皮疹は表面に軽く白くカサ付いた鱗屑(りんせつ)を伴う紅斑となっています。大きさは、小さな丘疹状のものから手のひら大を超える大きさまで様々で、皮疹同士が癒合して大きな局面を形成します。下腿に生じたものはやや難治性となる傾向です。局所にはリンパ球や好中球の細胞浸潤、毛細血管の増生も伴います。
ケブネル現象
 機械的刺激(物理的・温熱・化学的など)によって皮疹が出てくることをケブネル(Köbner)現象と呼びます。ケブネル現象は、1876年ハインリッヒ・ケブネルにより、馬にかまれた乾癬患者の傷が治っていく過程で乾癬病変が出現したことが報告され、発見者であるケブネルの名前が冠されています。

 

 表面のカサカサした角質を爪などで擦ると「白い鱗屑」がつぎつぎと剥がれ落ちることを蝋片現象と呼びます。さらに、カサカサを剥がし続けると滲出性紅斑が現れて簡単に出血してしまうことをアウスピッツ(Auspitz)現象もしくは血露現象と呼びます。痒みを伴うこともありますが、一般には軽度のことが多くなっています。

 爪母部の点状病巣から「爪甲の点状陥凹」爪甲下鱗屑による爪甲剥離症、爪甲下の角質増殖・粗造化、油滴状爪(爪床下病変)が割と高い頻度で認められます。

鑑別疾患は?

 乾癬で鑑別すべき疾患には、以下のものが挙げられます。

  1. 類乾癬
    乾癬と似ていますが、皮膚萎縮や色素沈着を伴っており、角質増殖や表皮肥厚は軽度となります。病理学的な鑑別も必要となります。治療はステロイド外用剤・紫外線治療が主に行われます。
  2. 脂漏性皮膚炎
    臨床所見は似ているが、顔面、胸部、脇などの脂漏部位に限定されており全身には皮疹は及びません。
  3. 慢性湿疹・貨幣状湿疹
    四肢などに限局性であり、紅斑・鱗屑以外に、「丘疹・水疱などの多くの湿疹変化」を伴うことで鑑別可能です。痒みが強く、乾癬の方が境界がはっきりしています。
  4. ジベルばら色粃糠疹
    比較的大型の皮疹
    (ヘラルドパッチ)が先行し、小型の落屑をともなう紅斑が、皮膚割線上に並んで躯幹部を中心に出現してきます。比較的若者に多く、背部からみると「特徴的なクリスマスツリー状」を呈します。

     その他の鑑別疾患としては、頑癬・菌状息肉症・梅毒性乾癬・強直性脊椎炎などが挙げられます。

    乾癬の分類

     臨床病型に基づき下記の5つのタイプに分類されます。同じ病型のままでつづく症例もあれば、それぞれの病型が移行・合併することもあります。

    5つのタイプ分類

    尋常性乾癬(90%)

     鱗屑を伴う角化性紅斑が主体とした「いわゆる普通の乾癬」で、約90%がこのタイプとなります。

    乾癬性関節炎(10ー15%)

     乾癬の10~15%非対称性の関節の痛みや腫張を合併することがあり、リウマチ因子は陰性です。手指のDIP関節に発生することが多いが、仙腸関節などの大関節にも痛みが出てくることもあります。関節症性乾癬とも呼ばれ紅皮症例や膿疱性乾癬で合併率が高まります。

    滴状乾癬(3%)

     比較的若い年代に多く、連鎖球菌感染などの上気道炎・扁桃腺炎などに続けて、長径10mm程度の小型の紅斑が急激に全身にでてくるもの。数ヶ月で消退することも多い。まれに尋常性乾癬に移行することもあります。

    乾癬性紅皮症(1%)

     通常の尋常性乾癬が急激に悪化してしまうと、全身の80%以上の皮膚がび漫性に赤くなってくる場合があります。重症化し入院治療が必要となってきます。

    膿疱性乾癬(非常に稀)

     発熱・倦怠感などを伴い、急に全身の皮膚に赤みのある無菌性の膿疱が多発してくるもの。難治性かつ重症となるため通常の「尋常性乾癬」とは区別し、難病指定で医療費公費負担が受給されています。汎発性・限局性などの病型があります。

     近年、IL-36受容体拮抗因子という遺伝子異常があることが分かってきました。重症例では、皮疹部分の膿疱が融合し「濃海」を形成し、びらんとなり低蛋白血症を引き起こし全身状態が悪化します。

     

     

    乾癬の診断・検査

     四肢の露出部、頭皮、肘・膝頭などにでてくる典型的な「白銀色の鱗屑を伴う紅斑」を呈する表皮肥厚などの臨床症状から診断が可能なことが多くなります。局所の皮膚所見としては、蝋片現象・ケブネル現象・アウスピッツ現象が陽性あることを確認します。一方、類乾癬・扁平苔癬などの他の炎症性角化症との鑑別が必要な場合には、皮膚生検をおこなって、病理診断的な判定を行います。薬剤が乾癬発症に係わることもあるので、薬剤内服歴の確認も必要です。

     

     病理学的な特徴としては、

    • 不全角化を伴う角質の増殖顆粒層の消失
    • 角質下への好中球の浸潤(マンロー微小膿瘍)
    • 表皮突起が真皮に向かって棍棒状に延長・肥大化
    • 真皮乳頭層浮腫・毛細血管拡張、上方突出
    • これらにより特徴的な表皮・真皮の嵌合像を来す。
    • 真皮浅層内での炎症細胞浸潤(リンパ球・好中球)

    などが挙げられます。

     主な炎症の中心となる部分は、表皮上層部です。表皮のターンオーバーが亢進しているために、表皮細胞は核を残したままの角層を形成「不全角化・過角化」が認められます。ケラトヒアリン顆粒が成熟する前に角化するために、表皮の顆粒層は消失し、有棘層は肥厚します。

     膿疱性乾癬では、有棘層の上層で好中球が大量に浸潤、表皮細胞が破壊され多胞性の海綿状態を形成し、「コゴイ海綿状膿疱」と呼ばれます。

      

     血液検査の参考所見としては、滴状乾癬ではASO陽性膿疱性乾癬・乾癬紅皮症では白血球増加・赤沈亢進、低蛋白・低カルシウム血漿を起こすことがあります。

     乾癬性関節炎ではリウマトイド因子陰性となりますが、リウマチと非常によく似た関節痛や変形を来すために鑑別の目的で、関節部エコー検査・レントゲン撮影などを行う必要が生じます。

     

     疾患の重症度評価としては、PASI(psoriasis area and severitiy index)スコアが用いられます。

    乾癬の治療

    治療に用いられる薬は?

     尋常性乾癬の治療の中心となるのは、「ステロイド外用剤・活性型ビタミンD3軟膏および紫外線療法」となります。皮疹が悪化したときには、「ステロイド外用剤+亜鉛華軟膏」を用いた重層療法・密封療法も行われます。近年では、PUVA療法の代わりとして、ナローバンドUVB・エキシマライトなどの中周波紫外線療法も広く行われるようになってきました。

     治療は長期にわたることが多いので、症状や皮疹重症度に合わせた各種治療法を選択していきます。重症例では、シクロスポリンなどの免疫抑制剤・レチノイド内服・生物学的製剤などが用いられます。ステロイド内服は原則、膿疱性乾癬を誘発する可能性があるので行われません。

     

     乾癬の治療を種類別に大きく分けると、①外用療法(塗り薬)、②紫外線療法(光線治療)、③内服療法、④生物学的製剤(注射治療)の4種類に分類できます。それぞれ治療効果・費用・通院条件などが異なりますので、担当医の方と良くお話して決めていきましょう。なかなか治りにくい病気ですが、近年は各種生物学的が著効して、重症例でも症状がコントロールできるようになってきました。

     

    乾癬治療ピラミッド

     飯塚らによって提唱され、乾癬の治療適応や重症度に応じた治療の位置づけを表したものとなります。すなわち、治療の初期や軽症例では外用剤治療が第一選択となり、外用でコントロールが困難なものでは第2選択として光線療法を加えていくという順に治療の選択を行っていきます。

     外用・光線治療の効果不十分な中等度以上のものでは、内服薬治療⇒生物学的製剤が選択されていきます。内服薬を開始するには、通常は全身的な感染症がないかなどの精密検査を行っていく必要があり、総合病院以上の施設に通院する必要があります。また、生物学的製剤では、①治療の適応判断をどの時点で行っていくべきか?、②治療費が「高額医療費制度」を必要とするくらいの自己負担額になること、が問題です。患者さんの症状・重症度・ご希望・治療目標・経済状況などを鑑みてご納得をいただいた上で治療を進めていくことになります。

     

    ※乾癬治療は、外用療法を毎日行っていくことも大変ですが、症状が酷くなってきてしまうと紫外線療法での通院が必要となったり、症状におうじて大学病院等への通院も要します。通院のご負担や治療費がピラミッドの上に行くに従い高くなっていくことになります。

    コメント
     下2つまでは軽症~中等症の多くの患者さんに適応となります。上3つは、大学病院での治療が中心となり、症状・適応・ご希望などに応じて治療法が選択されます。

    ★参考に各種外用剤の単価および内服・注射薬の薬価も以下に併記します。

    塗り薬による外用剤治療

    ステロイド外用剤

     ステロイド外用剤には強い抗炎症作用があり効果の発現も早いために、皮疹の範囲が少ない場合には第一選択となります。ステロイドの強さのランクには5段階ありますが、乾癬の治療に於いては治療効果と副作用回避のため「上から2番目のVery strong(より強い)」を使う事が多くなります。

     頭部にはローション剤を使うことが多く、また顔面ではランクを下げてミディアムクラスのステロイド外用剤を使うことが多いです。高齢の方に下腿などでは、ベリーストロングクラスのステロイド外用剤を長く使っていると皮膚自体が薄くなってしまうことがあり、皮膚の状態に応じてランクを下げる必要もあります。また、ステロイド外用剤を使い続けても乾癬の皮疹では「改善しにくくなる傾向」がでてくるため下記のビタミンD3外用剤を併用していきます。
    ※値段は令和3年12月現在

     

    ※例)アンテベート軟膏 21.3円/g
    ⇒月の薬剤費 アンテベート軟膏 月に50gとして、約320円

     

    ★コムクロシャンプー 
     シャンプータイプのステロイド外用剤です。強さはデルモベートと同じstrongestですが、シャンプー剤として接触を短時間とすることで「副作用のリスク」を押さえます(Short contact theraphy)。毎日使うことで、外用を2剤塗るという手間がなくなり、患部に効果を発揮します。

    ※例)コムクロシャンプー 21.3円/g
    ⇒月の薬剤費 コムクロシャンプー1本(125g)として、約800円

    コメント
     ステロイドのみだと皮疹の短期改善には効果的ですが、長期コントロールに向かないとされます。一方、強さのランクがあり剤形も軟膏・クリーム・ローションなどの種類があるので、「症状に応じた使い分け・短期間の密封療法を併用する」など工夫していくことも可能です。

     

    活性型ビタミンD3軟膏

     ビタミンD3外用剤は、皮膚表皮細胞の過剰な増殖を抑制する作用(細胞増殖抑制作用)があり「ステロイド外用剤」に比較してやや刺激があり効果がでるまでに時間が掛かりますが、長期にステロイド外用剤と併用していくことで治療効果を発揮していくことが分かっています。さらに、ステロイド外用剤のように皮膚が薄くなる副作用がでないために炎症がやや落ち着いた部分では、「活性型ビタミンD3軟膏単独」の塗布でコントロールしていくことも推奨されています。

     ビタミンDは、脂溶性ビタミンの1種であり、前駆物質が皮膚において「紫外線の作用でビタミンD3に変化」して、肝臓などで水酸化をうけて活性型ビタミンD3となります。骨粗鬆症に用いられる活性型ビタミンD3内服が乾癬の改善に効果があったことが報告されていましたが、1986年Morimotoらにより外用剤として用いても有効であることが示されました。治療有効領域が内服では達成不可能な高濃度であるために開発された日本発の比較的新しい治療法となります。

     皮膚の肥厚・カサカサ(鱗屑)などの症状を改善し、増殖速度の正常な細胞を増やしていきます(分化誘導作用)。治療を続けることで再燃までの期間も延長する作用もあります。2000年にKooらによりステロイド外用剤と活性型ビタミンD3軟膏を交互に塗布する(sequential thraphy)などを行うことで長期連用の効果維持と副作用軽減する案が報告されました。一方、お薬を塗り分ける手間などがあることが問題となって下記の混合して処方する方法や両者を配合剤としたものが工夫されてきています。

     活性型ビタミンD3は、連用しているうちに効果が減弱したように感じることがあります。幸い活性型ビタミンD3外用剤は上記の3種類がありますので、効果が落ちてきたようであれば順に種類を変更していく(ローテーション療法)ことも可能です。

    一日の塗布量制限について
     活性型ビタミンD3外用剤は、経皮吸収されることにより血中カルシウム濃度上昇を引き起こすことがあるため、高濃度製剤には使用量制限があります。
    • タカルシトール(低・高濃度ボンアルファ軟膏)
      ⇒類薬との併用・大量投与をさける 
    • マキサカルシトール(オキサロール軟膏)
      ⇒最大1日10gまで
    • カルシボトリオール(ドボネックス軟膏)
      ⇒最大1週間に90gまで 
    ※ビタミンDを含む食品<きくらげ、あんこう、しらす干し、いわし、にしん など>を避けましょう。

    ※例)オキサロール軟膏 87.7円/g 
    ⇒月の薬剤費 オキサロール軟膏 50gとして、約1316円

    ステロイド剤+ビタミンD3軟膏混合処方

     活性型ビタミンD3軟膏は、ステロイド外用剤と混和すると安定性が失われてしまうことが多く、それぞれ別に塗布することが理想です。一方、ある特定の組み合わせで混合した場合には、1~2ヶ月程度の安定性があることが分かっています。なお、お薬を後発品(ジェネリック品)にしてしまうと配合変化を起こし充分な効果が得られないことが指摘されております。活性型ビタミンD3の混合処方はかならず、メーカー品で調剤してもらうようにしましょう。

     作用機序的には、ステロイド外用剤と活性型ビタミンD3外用剤を症状に応じて塗り分けていく方法もあります。しかしながら、長期間の外用療法を要する乾癬治療では、塗り分けをあまりに細かく行っていくことは煩雑であり、途中で患者さんが治療を断念すること(コンプライアンス低下)に繋がりかねません。混合剤として処方することで「外用剤の塗り分け」が不要となり、治療効果を維持しつつ、かつ治療継続の負担が少しでも減らせるように工夫された方法となります。

    処方例)アンテベート+ドボネックス軟膏1:1混合 混合時56.3円/g
    ★月の薬剤費 アンテベート軟膏・ドボネックス混合のみ 月に50gとして、約850円

    コメント
     ステロイド+ビタミンD3軟膏併用効果が期待でき、長期コントロールも可能です。ただし、混合薬剤の安定性が悪く1,2ヶ月で使い切る必要があります。

     

     ステロイド+ビタミンD3配合剤軟膏

     乾癬治療には外用治療が欠かせませんが、ステロイド外用剤と活性型ビタミンD3軟膏を重ねて全身の皮膚に毎日塗布を行うことは時間的にも精神的にも負担になってしまいます。そこで、ステロイド外用剤とビタミンD3製剤を初めから「混合剤」とした製剤が2014年以降開発されてきました。鱗屑・紅斑・表皮の肥厚など症状の強い部分の皮疹にも大変効果的です。

     混合剤の特徴としては、

    • 特殊な配合技術で混和しているために、長期間安定性が保つことができる。
    • さらに、ステロイドおよび活性型ビタミンD3を適正な濃度で混和することが可能となる。
    • 治療効果がとても高く塗布回数も1日1回で効果を発揮するように調整されている。
    • 皮疹が安定してきたときには、2~3日に1回塗布する⇒週末のみ塗布する(week-end-theraphy)方法でも皮疹の寛解を維持することができる。

    などが挙げられるでしょう。一方、欠点としては配合技術が特殊なために、ステロイド外用剤および活性型ビタミンD3外用剤単独の製剤より割高となっています。世界的にも標準的な外用剤として使われており、とくにドボベット「軟膏剤」の他に、頭部用「ゲル剤」浸透性を高めた「フォーム剤(油性ファーム)」などいくつかの剤形があります。

    ※ドボベット軟膏 211.3、ゲル・マーデュオックス197.3
    ★月の薬剤費 ドボベット軟膏のみ 月に50gとして、約3170円

    コメント
     ステロイド+ビタミンD3軟膏配合剤は「やや値段が高いものの」高い治療効果が期待でき塗り方を工夫することで長期コントロールにも向いています。皮疹が軽度の部分は、ステロイド/ビタミンD3混合剤を用いる、治りかけている部分はビタミンD3外用+保湿剤、と使い分けていくことも可能です。

     

    プロトピック軟膏など

     顔面などで長期にステロイド外用剤を使いにくい部位で、プロトピック軟膏が乾癬に対して使われることがあります。作用機序としては、免疫抑制剤であるので「乾癬の内服として用いられるシクロスポリン」と同様の作用機序です。アトピー性皮膚炎に対して本剤は20年以上全世界で使われており、安全性や有効性が証明されているお薬となります。

     一方で、乾癬のその他部位での皮疹では、ぶ厚い鱗屑・皮膚の肥厚などによりプロトピック軟膏の効果はあまり期待できませんアトピー性皮膚炎に乾癬を稀に合併したり、乾癬に対して生物学的製剤をつかったところ「アトピー性皮膚炎」が発症したという報告も稀にあります。

     その他では、乾癬の顔面皮膚の脂漏性皮膚炎様の皮疹には、抗真菌薬のニゾラールが有効であったとの報告もあります(脂漏性乾癬)

    大切なこと!
     各種外用療法にも、尋常性乾癬の皮膚症状をコントロールしていく作用があります。自己判断で急に治療を中断したりすると、皮膚症状が急激に悪化してしまう場合もあります。乾癬は軽快と悪化を繰り返してなかなかすぐに治りにくい病気ですが、食生活の工夫や禁煙・ストレス管理・風邪の予防など悪化原因をさけて根気よく治療を行っていきましょう。
    ※悪化原因の予防、生活習慣の改善については治療のご説明のあとに詳述しています。

     

    保湿が大切 -冬に悪化しやすい乾癬- 

     乾癬の患者さんを診察していると、明らかに保湿をしっかり行っている方のほうが「皮疹が安定している印象」です。とくに、冬になると乾燥肌のシーズンとなり肌から水分が失われ乾燥しやすくなるため、とくに保湿剤の併用が大切です。

     活性型ビタミンD3外用剤に加えて保湿剤を併用した臨床試験においても、8~12週間ほど外用を継続すると、ステロイド外用剤単独塗布群と比較しても有意差はなく、有効な治療法であると結論づけています。(2007臨床皮膚科:橋爪ら)とくに乾癬の患者さんの皮膚では、一見皮疹がない正常部分においても「フィラグリンの消失・天然保湿因子の減少・セラミドの低下」などよりバリア機能が低下して乾燥症状を伴っています。保湿をしっかり行っていくことで、刺激による皮疹の出現(ケブネル現象)も抑制されるとの報告もあります。

    活性型ビタミンD3+保湿剤の有効性

     活性型ビタミンD3外用剤は、単独でも乾癬の皮疹抑制効果が期待できますが、さらに保湿剤と併用することで治療効果を高めていくことが可能です。

     乾癬症状に対する「活性型ビタミンD3+保湿剤の効果」としては、

    • 角質バリア層の保持
    • 水分維持による角質内酵素活性促進
    • それに伴う過角化の是正、鱗屑の減少
    • 表皮細胞増殖抑制作用
    • 乾癬皮膚に対する弱い抗炎症作用
    • 痒み域値の低下

    などが報告されています。

     

     ビタミンD3外用剤の効果を最大限得るためには、1日2回の外用が望ましいともされています。一方で、活性型ビタミンD3外用剤+保湿剤の塗布は1日1回行うだけでも、バリア機能の是正・皮膚の炎症そのものの改善に有用でした。乾癬治療は長期にわたるため、QOLを考慮した治療法として、①治療効果、②経済性、③用法の簡便さ、などからも本法が推奨されています。

    処方例)オキサロール軟膏もしくはローション+ヒルドイドローション

     

    保湿剤は市販薬でもかまいません

     患者さんなどのブログを拝見させて頂くと、各々の患者さんが市販薬で相性のよい保湿剤をみつけて頑張っておられるようです。皮膚科で処方できる保湿剤は大きく分けて、①ワセリン系、②ヒルドイドをはじめとするヘパリン類似物質系となっております。

     もし、市販の保湿剤をつかってみて相性が良いものがあれば、ニベア・シアバター・大豆イソフラボンなどを初めとする市販薬をつかっても良いと思います。また、乾癬では痒みを伴う場合もあり、抗アレルギー薬と保湿剤が併用されることもあります。

     

    紫外線療法(ナローバンドUVB)

     外用療法で皮疹のコントロールが悪い場合には、第2選択として「紫外線療法」が行われます。従来から、乾癬の皮膚は日光浴をすると症状が改善することが分かっていました。とくに、有効な波長が紫外線領域であることが判明し、ソラレンという感光物質を皮膚に塗ってからUVA紫外線を照射する「PUVA療法」が尋常性乾癬に対して行われてきました。

     さらに海外では1990年代になり紫外線のなかでも「UVB波長」とくに308~312nmの狭い領域の中波紫外線波長が、①日焼けなどの副作用が出にくいため安全性が高く、②照射量を上げていくことで良好な治療効果を得られることが発見されました。

     308-312nm(ナノメータ)という非常に狭いnarrow;ナロー)領域band;バンド)のUVB紫外線であるという意味から「ナローバンドUVB」と呼ばれてPUVA療法と遜色のない治療効果があります。以前は、「PUVA療法」が主に行われていましたが、近年では事前のソラレン塗布のいらない「ナローバンドUVB・エキシマライト」が主流となり外来での通院治療も可能となっております。

     当初は蛍光管タイプの半身~全身型タイプの器機のみが使われていましたが、エキシマライトというタイプの照射範囲は狭いもののパワーがある器機も使われるようになってきています。範囲の狭い乾癬やナローバンドUVB治療後に「部分的に残った病変部」の照射に用いられます。

     

     紫外線には、「リンパ球などの余剰な免疫反応を抑えていく作用」があり、皮膚局所での過剰な免疫反応が生じている乾癬に対して大変有効となる治療法です。

    • 紫外線により抗原特異的な免疫抑制が誘導され、
    • 制御性のT細胞も誘導される
    • 乾癬病因の中心となるTH17細胞の制御
    • IL-17,IL-22などのサイトカインの有意な低下
    • 皮膚局所でのビタミンD3産生

    などの効果があると報告されております。

    ナローバンドuvbについて
     当院では中波紫外線療法を15年以上前から行っており、ナローバンドUVB(311nm)およびエキシマライト療法(308nm)の両方の器機がそろっております。それぞれの器機を各疾患の範囲や状態によって使い分けて治療に当たっています。外来通院での治療が可能となっておりますので、担当医までご相談ください。

    ※なお、当院では先代院長時代よりブロードバンドUVB装置を設置し、紫外線治療を行っていました。

     

    当院での紫外線治療について

     ナローバンドUVB療法にあたっては、治療内容のご説明と同意書をいただいております。部分的な病変に関してはエキシマライトを用いることもありますが、尋常性乾癬の病変は広い範囲に及ぶことが多くなるため「ナローバンドUVB(部分型)」を用いることが多くなります。一度に照射できる範囲は「上半身もしくは下半身の片面」となります。

     はじめは弱い照射量から開始して、皮膚の赤みや治療効果などをみながら徐々に照射量を上げていきます。一度の照射できる最大値は1.5J(ジュール)となっており、約5,6分の治療時間が掛かります。週1,2回程度の通院を必要とし、15~20回程度の照射を行い治療効果の判定を行っております。

     

     

     紫外線の治療効果は、局所の病変部の皮膚に対する直接効果のほかに、「広範囲に照射をすることで全身の免疫的な異常にも効果がでているもの」と考えられています。当院では、通院時に「最大1.5J×2面」までの治療をお引き受けしております。治療効果がある場合には、①そのまま紫外線治療を継続していく、②治療により症状が改善してきた場合には月に1,2回程度の維持照射に変更することも可能です。また、紫外線療法の特徴として、治療が終わった後にも効果が継続し、皮膚症状の落ち着いている寛解期間も外用療法単独よりも長めとなってきます。

    注意事項
     紫外線療法には皮膚の赤み・水疱形成・日焼け同様の色素沈着などの副作用があります。また、①皮膚癌のある方・出やすい素因のある方、②光線過敏症の方、③陰部の病変、④10歳未満の方では光線療法を避けたほうが安全です

    紫外線療法の治療費について

     ナローバンドUVBの治療費は、皮膚科光線療法のうち、【中波紫外線療法(308~313nmに限定)1日あたり340点】となっております。紫外線療法を行った場合の治療費は通常の診察料等に加えて1020円(3割負担)のご負担となります。

    治療例1)毎週2回×月4週通った場合
    ⇒紫外線療法のみの費用負担8160円

    治療例2)毎週1回×月4週通った場合
    ⇒紫外線療法のみの費用負担4080円

    ※治療効果・都合のつく時間なども考慮して通院頻度を調整することも可能です。

     

    光線療法の有効性と安全性について

     アメリカのガイドラインでも生物学的製剤を使う前に「光線療法」を行うことが推奨されています。安全性や費用対効果も高く、乾癬治療の大きな基軸であると考えられています。充分な効果を発揮するには週2回が望ましいとされています。

     発癌性にリスクにおいても、PUVA>ブロードバンドUVB>NB-UVBとなっており、統計でも現在の所、NB-UVBで発癌性が高くなるという客観的なデータは存在しません。2012年の根元らによる報告においても、「NBUVBの最大回数629回、総照射量844J/cm2となったが悪性腫瘍・前癌状態(日光角化など)の皮膚変化は認めらなかった」としています。一方で、照射回数が400回を超える場合にはNBUVBのみでなく、他の治療も考慮するほうが望ましいとされます。

    お願い
     以上までの外用剤治療・各種紫外線療法が、当院でうけることが可能な一般的な治療となります。もしも、広範囲の皮疹・関節炎などの疑いがある場合には、下記の内服療法などを追加していく必要がありますので、地域の基幹病院(東邦大学医療センター大森病院等)へご紹介させていただきます
     通常は、内服治療などを追加して症状の経過をみたあとに、さらに重症例では各種生物学的製剤(点滴・注射薬)などをおこなって症状をコントロールしていくことになります。

    ※どのような治療を受けるかは、紹介先の担当医の方と症状・費用などを考慮して相談していきましょう。

     

    内服薬治療

     外用療法や紫外線治療でコントロールが困難な中等度~重症の乾癬・関節症状を伴う時に用いられる治療です。難治性のものでは、チガソンなどの角質増殖を抑えるレチノイド製剤・シクロスポリンなどの免疫抑制剤が使われます。
    ※値段は令和3年12月現在

    エトレチナート(チガソン)

     チガソンビタミンA誘導体の内服薬で、表皮の異常角化を抑制する効果があります。乾癬の鱗屑などの厚い過剰角質形成を押さえますが、正常皮膚部分も表皮が薄くなってしまうことが欠点です。

     副作用としては、ビタミンA催奇形性があり、妊娠中や男女ともに妊娠を希望される方では使う事はできず、内服終了後も一定期間の避妊が必要となります。さらに肝機能障害・脂質代謝異常、口唇粘膜の乾燥・掌蹠の剥離・脱毛などの副作用がおこりえます。一方、ナローバンドUVBなどの紫外線療法とは併用可能となっているのが、他の内服剤との違いとなります。

     通常の外用治療や紫外線療法で治りにくい、中等度以上の乾癬や紅皮症、関節炎、膿疱性乾癬に適応となっています。

    処方例)チガソンカプセル 3~6カプセル/分2;1カプセル(10mg)=約272円

     

    シクロスポリン(ネオーラル)

     免疫抑制剤であるネオーラルは、主に免疫細胞であるT細胞を抑制します。乾癬の皮膚に於いては、T細胞の放出する各種サイトカインが皮膚の炎症、過剰角化に係わっていることが分かっています。免疫系を抑えるため紫外線治療との併用はできません。皮膚局所の免疫を押さえるためにしっかりした効果がある反面で、感染症・高血圧・腎機能への負担などの合併症がありますので、総合病院などで定期的に検査を行いながら使っていくお薬です。 

     皮膚病変が体表面積の30%超える場合PASIスコア12以上の場合、外用療法や紫外線治療をちゃんと行っていても症状が改善しない中等症以上の症例・乾癬性関節炎・乾癬性紅皮症・膿疱性乾癬に適応となります。

    処方例)ネオーラルカプセル 150mg/分2 症状により増減;1カプセル(10mg)=約72円

     

    メトトレキサート(リウマトレックス)

     元々はリウマチ治療に使われている免疫抑制剤の一種となります。免疫を抑制することで乾癬の皮膚症状・関節症状の改善が得られます。免疫を押さえるお薬のため感染症などの重篤な副作用や肝機能障害が合併症として出る可能性があり、定期的な血液検査や感染症予防策が必要となりリウマチ指導医の元に処方されます。

    処方例)リウマトレックスカプセル(2mg)2カプセル/分2 症状により増減あり;1カプセル(2mg)=約188円

     

    アプレミラスト(オテズラ)

     2016年に販売承認されたPDE(ホスホジエステラーゼ)4阻害剤という免疫を調整するするお薬です。胃部の不快感や下痢・頭痛といった副作用がありますが、徐々に内服量を増やす飲み方で副作用の軽減を図ります(スターターキット)。下痢に関しては、市販の正露丸を使うと症状が軽減されるそうです。

     作用機序としては、「細胞内のcAMP濃度を上昇させる」ことでTNF-αやIL-17などのサイトカイン産生・過剰な免疫反応を抑えられるために皮膚症状が改善していきます。紫外線療法と併用していくことで、さらに治療効果があげていくことも可能です。比較的新しいお薬のため、他の内服と比較して高めの薬価となっています。

     副作用に関しては、ネオーラル・チガソンよりも軽度であり、内服開始時に感染症に対する問診などのチェックをすれば処方可能なお薬です。生物学的製剤に移行する前段階で、最近ではクリニックにおいても処方されることが増えてきています。外用療法などの局所治療を行っても難治性の尋常性乾癬(体表面積10%以上)・関節症性乾癬の症状があるものが適応となっております。

     

     

     本剤の特徴としては、

    • 治療効果発現が比較的緩徐であること(副作用低め・効果ゆっくりめ)
    • 効果判定まで最低2~3ヶ月の投与が必要であること
    • かゆみ症状や爪乾癬・関節症状などにも効果が期待できること
    • 治療に対する反応にはやや個人差があること
    • 感染症悪化のリスクはあるものの免疫抑制剤内服より軽度であること
    • まれに重度の過敏症、下痢があること
    • 肝臓、腎臓などへの重篤な副作用が少なく採血などのチェックは必須ではないこと

    などが挙げられます。紅皮症などの急激な悪化には対応できませんが、通常の外用治療・紫外線療法などで症状の改善しない方ではオテズラの内服治療を検討してみてもよいでしょう。

    処方例)オテズラカプセル(30mg)2カプセル/分2;1カプセル(30mg)=約990円⇒約16000円/月(3割負担)

     

     

    コラム
     オテズラは全世界で販売されている内服薬で、効果発現までの時間には個人差があるものの大きな副作用もなく生物学的製剤と同数くらいの多くの処方例があるそうです。大きく免疫を押さえすぎてしまうこともないので、リスクも少なくクリニック・開業医師レベルでも多く処方されているお薬となります。

     問題点としては、①薬価が生物学的製剤を行うよりも安価なものの、②通常の外用剤治療に加えて月16000円程度の薬剤費の自己負担が掛かる、③今のところ、減薬もしくは休薬時の再燃についてのデータが少なく治療を継続していく必要があることです。

     導入を検討したいケースとしては、

    • 乾癬の外用治療・紫外線療法・生活面での改善を行ったものの皮膚症状が悪化する方
    • 爪乾癬、関節性乾癬などの症状も出てきてしまった方
    • 大学病院への通院を行う時間的な余裕がない方
    • 月16000円程度の薬剤費を容認出来る方

      ということになります。

      ※当院でも本剤の処方に対応予定ですので、ご希望の方はご相談ください。ご加入の保険組合によって助成金制度などの適用となる場合もあります。

       

      生物学的製剤

       治療抵抗性のものや全身に広がってしまったものでは、大学病院等でTNFα阻害薬などの各種生物学的製剤(注射薬)が用いられます。従来行われてきた「外用治療・光線療法・内服治療」よりもバイオテクノロジーによって作られた生物学的製剤は治療効果が大変高いのですが薬剤費も非常に高額なことが問題で、大学病院や総合病院などの全身管理のできる認定施設でのみ行われる治療となります。

       

       乾癬発現に係わっているサイトカインにはTNF-α、IL-17,IL-23(IL=インターロイキン)という種類の免疫物質がありますが、生物学的製剤はこれらをポイントで抑えていくことで皮膚症状のみでなく、関節炎などにも優れた効果を示します。
      ※値段(薬価)は令和3年12月現在

       

      TNF-α抗体製剤

       乾癬皮膚の樹状細胞などで産生されるTNF-α作用を中和する抗体薬です。元々は、関節リウマチの治療薬として使われていたものが適応拡大されました。80%以上の有効率があり即効性・関節症状改善に関する文献が多くありますが、抗薬物抗体の発現率がたかく二次無効例もあります。

      • インフリキシマブ(レミケードⓇ)8週間に12時間以上掛けて緩徐に点滴投与 70597円
      • アダリムマブ(ヒュミラⓇ);初回80mgを皮下注後、2週に1回皮下注射。自己注射可。61371円
      • セルトリズマブペゴル(シムジア);初のPEGTNFαモノクローナル抗体。2週に1回皮下投与。60688


      IL-17抗体製剤

       即効性があり、皮膚症状に対する効果が高いのが特徴です。炎症性腸疾患などの発生に留意が必要です。

      • セクキヌマブ(コセンティクスⓇ)4週間に1度皮下注射。自己注射可。74486円
      • イキセキズマブ(トルツⓇ)24週間に1度皮下注射。148952円
      • ブロダルマブ(ルミセフⓇ)2週間に1度皮下注射。自己注射可。74513円

      IL-23抗体製剤など

       他の薬剤に比べて効果発現がやや緩やかであるが、皮膚症状に対する効果は高く長期間効果が持続します。

      • グルセルクマブ(トレムフィアⓇ)8週間に1度皮下注射。自己注射可。325040円
      • リサンキズマブ(スキリージⓇ)12週間に1度皮下注射。自己注射可。243807円
      • チルドラキズマブ(イルミアⓇ)12週間に1度皮下注射。自己注射可。487413円
      • ウステキヌマブ(ステラーラ);IL-12/23モノクローナル抗体製剤。12週に1回皮下注射。381818


      注意点!
       これらの生物学的製剤は、その薬理作用より肺炎・結核などの感染症悪化が懸念されるため、患者さんの既往歴などをしっかりと確認した上で、「日本皮膚科学会の認定施設において乾癬におけるTNF-α阻害薬の使用指針および安全対策マニュアル」に沿った使用が求められています。

      生物学的製剤の適応となる人は?

       尋常性乾癬で、既存の外用剤・紫外線治療に加えて、内服薬(シクロスポリン・チガソンなど)を行っても充分な効果が得られない方で、体表面積の10%以上に皮疹がおよぶ場合、もしくは関節炎・膿疱性乾癬となっている患者さんが適応となっています。

       

      高額医療制度について

       乾癬の点滴・注射治療では、治療費の自己負担額が非常に高額(年間90-100万前後)になってしまいますので、乾癬の重症度による適応・経済的な理由などで誰でも受けられる治療ではありません一定以上の負担金が生じた場合には、年収に応じて「自己負担金限度額」が決まっておりますので、限度額を超えて生じた医療費に対して超過分が返還される制度があります。

       

      ※詳しくは、ご自身の担当医とお話してどの製剤を導入していくかは決めていきましょう。また加入している各保険組合のホームページなどを確認してみましょう。

      乾癬を治すには「生活の改善を図っていくこと」も大切です!

       乾癬は「日光浴をすると改善する」ことが分かっている一方で、喫煙や肥満・ストレスなどの悪化因子が誘因となり症状が再燃・悪化してしまうことがあります。根本的に「乾癬を確実に治す方法・原因」が分かっていない現状では、以下の悪化因子となり得ることに対して、各々の患者さんが自分のライフスタイルに合わせ改善・工夫を行っていくことが「乾癬の症状を治していくため」には大変重要です。

       

       近年では、乾癬で起きている「皮膚免疫の暴走」自体が、脂質代謝や血管壁の炎症をさらに増悪させているという報告もあります。乾癬が悪化するときには、「必ず何らかのきっかけがある」ことが多いとされています。症状を悪化させないために、暴飲暴食・過度のストレス・過労・アルコール多飲などを避けてどのような場合に悪化するのかを各々の患者さんが見つけ出していくことも大切です。

       下記のリストを参考にして、「薬による治療」と伴に「悪化する誘因を最小限にできるよう」に少しずつ実践できるところから順番に取り組んでいきましょう。

      生活上の注意点とは?

      禁煙

       たばこは、症状を悪化させる重要な危険因子とされています。1985年以降に、「喫煙によって乾癬のリスクが増大する」という多くの疫学的調査が報告されてきました。①過去に喫煙していた場合②喫煙が長期におよぶ方でも乾癬の発症リスクが増大します。

       「たばこと乾癬の悪化」に関する詳細なメカニズムには未だ不明な点もありますが、ニコチンが炎症性サイトカインを誘導することが知られています。必要な場合は禁煙外来などの受診も検討しましょう。

      アルコールは避けること

       ビールなどの多飲が乾癬の発症のきっかけになることもあります。飲酒と乾癬の増悪に関する疫学研究も複数の報告があり、「エタノールが角化細胞の増殖を誘導する、炎症性サイトカインの産生促進に働く」ものと考えられています。腸内環境のためにもアルコールの取り過ぎは良くありません

       乾癬の悪化時にはアルコールを完全に絶った方がよいでしょう。症状の安定時にもほどほどに。香辛料などの刺激物も控えめにします。

      しっかり睡眠をとる

       寝不足になるとカラダへのストレスが増えて、免疫の調整力が落ちてしまいます。しっかり睡眠をとって体を休ませて、日々の体調管理を行っていくことが大切です。実際、24時間の睡眠周期(サーカディアンリズム)が乱れた交替勤務者においては、乾癬のリスクが増大するという疫学調査があります。

       

      毎日入浴して肌を清潔にたもつ

       皮膚の清潔や心身のリラックスのためにも入浴は日々行っていきましょう。体を洗う場合は、ボディタオル(垢すり)を使ったり爪を立てたりせずに、「綿タオルなどでやさしく撫でるように肌への刺激を少なくなるよう」に洗います。過度な長湯は皮疹を刺激してしまうことがあります。

       

      ストレスを貯めない

       免疫系の異常の関与する乾癬では、過度なストレスが症状を悪化させる強い増悪要因となります。適度な運動や趣味などで気分転換をうまく行いましょう。ストレスが精神的な不安を引き起こし、CLA陽性T細胞NK細胞を増加させて皮膚病変の悪化につながるという報告があります。

      感染症に注意をする

       虫歯や扁桃腺炎、感冒も乾癬の悪化因子です。こまめな手洗い、うがいなどで早めの感染症の予防を心掛けましょう。すでに歯槽膿漏・気管支炎などがある場合にはしっかりと治しておくことも必要です。連鎖球菌性の咽頭炎も重要な悪化・発症因子であり、歯周炎乾癬発症リスクが増大することも知られています。

      ※文献的な扁桃腺炎摘出手術の有効率15%程度とされ、慢性的に再発する扁桃腺患者では「扁桃摘出により症状を改善される可能性がある」とされています。

      日光浴を適度に行う

       適度な日焼けは乾癬の症状を改善します。夏には露出部が多く日光に当たる機会が増えて改善することが多くなり、冬には悪化しやすい傾向にあります。余り過剰にならない程度に日頃から適度に日焼け止めを塗って日光浴を行うようにしましょう。

       「割としっかりと日焼けをして治りやすい方」「紫外線に当たりすぎると悪化する敏感な方」がいるので注意が必要です。真夏の紫外線が強い時期は、お昼前後を避けて「朝・夕に日光浴」をすると良いでしょう。

      保湿剤をしっかり使って乾燥をふせぐ・刺激しない

       冬などの乾燥時に乾癬は悪化しやすい傾向です。保湿をしっかり行って肌の乾燥を予防しましょう。衣服で擦れたり、皮膚を掻くと皮疹を悪化させたり誘発します(ケブネル現象)。なるべく綿の柔らかな素材の服を選び、痒いときにはかゆみ止め内服なども使いましょう。頭部への刺激にも配慮が必要ですので、美容室などは通うお店を決めて対処してもらうと良いでしょう。

       

      食生活・腸内環境・適度な運動・カロリー制限

       メタボリックや不摂生な生活で乾癬は発症しやすいとされています。最近の論文では、短期間でも「高糖質・脂肪の西洋的な食事摂取」によって起きる腸内細菌叢の異常が皮膚の炎症を誘発することが分かってきました。高カロリーな食事・肉類は避けて、バランスの良いEPAなどを含む魚を中心とした食事を心掛けます。さらに、高脂肪食をとり太ってしまうことで脂肪細胞の放出するタンパク質の種類が変わってしまい、それが皮膚の炎症に悪影響を与えることも判明してきました。食事制限や運動ダイエットにより乾癬の皮疹が改善する例も経験されます。



       乾癬自体が、メタボリックシンドロームの悪化を助長するという研究もあり、過度のアルコールは控え、適度な運動を心掛けましょう。砂糖の取り過ぎや清涼飲料水の取り過ぎもよくありません。さらに肥満・糖尿病・高血圧・高脂血症「乾癬の発症および治療効果の減弱」に密接に関連しています。

       

       

       乾癬に影響を与える生活習慣の中でも一番文献的な報告数が多いものが「食生活」となりますが、

      • 小麦、大麦、ライ麦などに含まれているグルテンが腸の粘膜に炎症を生じて乾癬が増悪したという報告がある。グルテンを除去した食事にすると表皮角化細胞の増殖因子・炎症細胞が低下するという報告も(グルテン過敏症の方のみ)
      • 食物繊維の多い食事・摂取が重症度スコアと負の相関関係にあり、良好な因子という報告。
      • オメガ3脂肪酸(EPA,DHA)魚に含まれる不飽和脂肪酸であり、乾癬リスクを抑制し皮膚の炎症を減弱させるという報告がある。魚油のサプリメント・EPAの摂取は皮膚での炎症性サイトカイン産生を抑制したという報告がある。
      • 松の実、ゴマ、ピーナッツなどに含まれるリノール酸がよい
      • 和食、菜食中心の食事が乾癬に有効(野菜の抗酸化作用)
      • 果物の取り過ぎカロリー過多に注意

      などがあります。

      ※問題点としては、食事療法に関する多くの研究・報告はあるのですが何をどこまで行えばよいのか?」の全体像がみえにくいことです。次項に参考として、具体的な食事療法の例を挙げておきます。

       

      温泉療養

       いくつかの温泉が乾癬の皮膚によいとされていますが、泉質が肌に合わないと悪化することがあり注意が必要です。北海道の乾癬患者の会では「豊富温泉湯治ツアー」というものがあるそうです。豊富温泉は大正時代に石油を掘った井戸から湧いた温泉であり、油分とくにタールを含有するという特徴があります。


       
      その他では草津温泉、別府明礬温泉等も乾癬に有効であったことが報告されています。

       

      死海療法・塩浴

       国際的には気候療法として、「死海療法」が有名です。治療の有効性や費用対改善効果などを考慮すると、治安などの問題もあり、死海までいくことは現実的ではありません

       死海は「海抜の低い場所」にあり流れ出す川がないために、水分の蒸発によって一般の海水が約3%の塩分濃度であるのに対して、死海は約30%ととても高い濃度となっております。低位置にあるため酸素分圧がたかくリラックス効果が期待できます。低緯度の砂漠地帯にあるため紫外線照射が豊富である一方、大気が多く水蒸気などの影響で日焼けしやすい「短い波長の紫外線」が少なくサンバーンを起こしにくいとされます。

       死海での4週間の治療スケジュール期間に浴びるUVB量は、紫外線治療器機をつかったものに匹敵するとされています。

       きわめて高いマグネシウムイオンの優れた効果も指摘されてきましたが、最近の研究では塩水浴だけでの効果はほとんどない一方で、死海での日光浴だけでも充分な治療効果が確かめられており、湖水浴はリラックス効果に役立っているとのことです。

       

      参考;その他で乾癬の患者さんがやってよかったことは?
      • 食生活工夫、腸活腹八分、食べ過ぎないが基本です!
      • 蒸しやさい筋トレ、適度な運動
      • 免疫を整える腸内環境が大切
      • インスタント食品さける
      • EPAサプリ

      などがありました。

       

      乾癬に大切な腸内環境に良い食事は?

       食生活・腸内環境の改善については、さまざまな考えがあり、色々な情報サイトがあります。食事療法で有名な「済陽先生」の腸によい食事リストを参考に掲載しておきます。

      ⇒くわしくは済陽先生の著書・サイトなどをご参考にされてください。乾癬における腸活と重複する事項が多く、乾癬患者さんの腸内環境改善に役立つものと考えられます。

      ゲルソン療法など、さまざまな食事療法のよいところを取り入れて、医学的見地より食事療法の要点を分かりやすく実行しやすい具体的な形でまとめたものとなります。
      1. 動物性たんぱく質・脂肪をさける
        牛肉・豚肉などの4つ足動物の肉を極力避けるEPADHAを豊富に含む青魚を取るようにする。肉類は鶏肉などの脂肪の少ない胸肉・ささみ肉などに限定。加工肉も極力避けた方がよいです。
      2. 新鮮な野菜・果物をたっぷり取る
        新鮮な野菜・果物には人体に必要な栄養素(ビタミン・ミネラル・ポリフェノールなどの抗酸化物質・消化酵素など)がしっかりと含まれています。加熱や加工をするとこれらは失われてしまうために、健康効果のためには無農薬・減農薬の新鮮な野菜などをしぼってジュースにして摂取するとよいとされます。(癌治療のためには1.5リットル以上・通常は700-800ml程度が推奨)
      3. 玄米・胚芽を含む穀類・いも・豆など
        玄米は栄養の宝庫であり、豆・イモ類にもビタミン・ミネラル・各種酵素・食物繊維が含まれています。カリウムが豊富な食事をとると体内の余分なナトリウム排泄に役立ちます。
      4. ヨーグルト・海藻・キノコ類を取る
        は免疫や自律神経などに取ってとても大切な臓器で多数のリンパ組織が存在します。腸内環境を改善するためにご自身の体にあったヨーグルトを毎日とり善玉菌を増やしましょう。海藻類の食物繊維やキノコに含まれるβグルカンも腸内環境のためにぜひ摂取したい食品です。
      5. はちみつ・レモン・ビール酵母を取る
        はちみつには各種有機酸が、レモンにはクエン酸が含まれており体の機能正常化し、疲労回復や代謝を活発化します。エビオスなどのビール酵母には良質なタンパク質が含まれております。
      6. 油脂はオリーブ油・ゴマ油・菜種油に
        トランス脂肪酸などの過酸化脂質が含まれたものを避けて、健康維持に良い良質な油を取ります。
      7. 飲み水は自然水(天然水)とする
        人体の6割は水が占めており、良質は水を取ることがとても大切です。都心での水道水には、いくらきれいに浄化してあるとはいえ、微量な有機物・発癌物質などが含まれている可能性があります。ナチュラルミネラルウオーターと表示のあるものを最低1リットルは毎日飲みましょう。料理にも天然水が理想ですが無理な場合には直接の水道水ではなく「良質な浄水器」を使います。
      8. 塩分の過剰摂取をひかえる
        できるだけ、無塩が理想ですがナトリウムの取り過ぎは細胞内の代謝異常を起こします。

      やってはいけないことは?
       塩分の過剰摂取・野菜不足・肉食に偏った生活・1日2000カロリー以上の食事・過剰なストレス(免疫力の低下)運動不足(身体機能低下・免疫力調整悪化)は避けたい事項です。男性に発症することが多い乾癬では、食生活に配慮・注意をしていただける家族の存在も大切ではないかと思います。

      ※出典;どんな病気も食事でよくなる・済陽高穂先生著より引用

      乾癬QA

      乾癬はうつりますか?

       乾癬(かんせん)という呼び名より、人に感染(かんせん)すると思われがちですが、まわりの人に乾癬がうつることはありません。温泉施設やプールにはいっても絶対にうつることはありませんので、ご家族や友人などにも正しい知識をもってもらいましょう。

       アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能低下より皮膚感染症を起こしやすい傾向がありますが、表皮由来の抗菌ペプチドなどの違いにより尋常性乾癬では「感染」を起こす頻度が少なく「乾癬は感染に強い」とも云われています。

       

      遺伝しますか?

       乾癬をおこしやすい体質は遺伝することもあるとされています(日本人で約5%)。一方、家族に乾癬の方がいても必ずしも発症するわけではありません。発病には、食生活・喫煙・ストレス・肥満など多くの内的・外的な誘因が係わっております。

       

      漢方薬は使う事はあるの?

       残念ながら、漢方でも乾癬の症状を完全に抑えることはできません。ただし、赤みや熱感症状などの改善・胃腸や腸内環境の改善の補助として、症状をみながら使われることがあります。内服薬や生物学的製剤を使うには、大学病院等に掛かる手間・コストが生じ、これらの副作用を避けたい患者さんからのニーズもあります。

      処方例)
      ・皮膚症状に対して黄連解毒湯・温清飲などの清熱剤
      ・通導散・桂枝茯苓丸などの駆お血剤
      ・肥満症状に対して防風通聖散(食生活の改善策も大切!)
      ・その他、大黄牡丹皮湯、柴苓湯、補中益気湯などの報告があります。 

      コメント
       当方も漢方を勉強しはじめたころ、良いとされる漢方処方も試しましたが、残念ながら著効した方はいませんでした。漢方治療を加える場合にも、西洋的な外用療法や生活の改善も行っていく必要を痛感します。

       

      乾癬を確実に治す方法はあるのでしょうか?

       まずは、治療の項で示した「乾癬治療ピラミッド」の概念に沿って、外用剤治療からはじめることが多くなります。ステロイド外用剤・活性型ビタミンD3外用剤などに加えて保湿と「悪化因子の改善策」をしっかり行っていくことが基本です。乾癬はまだまだ、根本的な原因や確実に治す方法が分かっていない慢性疾患ですので、

      • 通院の時間的な負担
      • 軟膏を塗るための時間的な制約
      • 軟膏の塗り分けの煩雑さ
      • 治療費のご負担

        など患者さん自身のQOL・治療効果を考慮しながら医師と相談していきましょう。

         一方、自己判断による治療の中断や使いすぎは、皮疹の悪化や思わぬ副作用がでたりする可能性があります。通院が困難な場合治療効果が思わしくない場合にも早めに担当医へ相談しましょう。

        甘いものや高カロリーのものは食べてはだめですか?

         一般には乾癬の患者さんでは、バランスの良い食事を心掛ければ、「厳格な食事制限」は不要であるとされます。中年以降の男性が掛かりやすい乾癬では、どうしても仕事が多忙であったり、ストレスなどで食べ過ぎてしまう、アルコール摂取などが重なると皮疹の悪化誘因となりがちです。上記の食生活の改善を図りつつ、息抜き程度に少々のアルコールやケーキなどは取ってもよいと思います。

         

        ナス科の野菜は食べてはいけないのですか?

         乾癬で、ナス科の野菜(ナス、トマト、ジャガイモなど)を食べてはいけないという明確な根拠はありません。エドガーケイシーの自然療法について書いた本のなかで、ナス科は食べてはいけないものという記載がありますが、20世紀前半の霊能力者が催眠状態のなかで述べたことにすぎません。

         ナス科の食べ物には、トマトのリコピンをはじめとして多くの抗酸化物質があることが分かっていますので、食べて明らかに症状が悪化する場合以外には問題ないでしょう。

         

        乾癬の予後・乾癬は治りますか?

        乾癬は治癒することがある疾患です

         慢性に経過して、憎悪と寛解を繰り返すことが多い治りにくい皮膚病です。年余にわたり症状は継続して、高齢になった患者さんもクリニックには来院されています。一方、治療と悪化因子の改善策を根気よく行うことにより皮疹の長期治癒例・完全消失および自然消退例もありえる(成書では30-70%と記載・一部では完治)ともされています。

         遺伝的要因「後天的なさまざまな発症要因」が修飾されて発病・悪化する病気ですが、これらの悪化要因をひとつずつ取り除いて改善をおこなうことにより寛解していくこともあります。東京乾癬の会のアンケートでも患者さんの約49%の方が治る病気であると考えているというデータもあります。米国の患者さんアンケート調査においても39%の患者さんが完全に皮疹が消失することを経験したとしています。

         治癒に至った経過としては、ライフスタイルを変えてメタボリックシンドロームを克服した、定年で仕事のストレスから解放されたなどが多くなっています。治療法の中では、もっとも寛解期間の長かった治療法「紫外線療法」で1年後の寛解率は42%とされます。死海療法の寛解維持期間は3ヶ月少しとの報告があります。一方、生物学的製剤では長期寛解例の報告もあるものの、多くは治療を中止すると再燃することが問題です。

         

         

        乾癬の予後は?

         乾癬の予後に関しては、まとまった報告があまりありません。2013年の赤坂(臨床皮膚科67巻)の報告によると、①ステロイド外用剤単独群よりも、ビタミンD3外用剤併用群の方が軽快していた、②糖尿病・心血管病変がある症例では治療に抵抗性を示した、とされています。

        乾癬の予後;赤坂 Clinical Dermatology 2013より引用

         

         重症度別の経過では、①重症例でも治療と伴に10~20年で徐々に軽快する傾向があり、②軽症~中等症においても10~15年程度で1~2割程度の方が悪化するものの20年目以降は軽快していくことが示されています。一方、判定時に重症化を示した例では、不定期通院や自己中断などの症例であったことから「治療継続が大切」であるとしています。

        短命なのですか?

         乾癬では、健常人群と比較してやや短命の傾向です。高松赤十字病院の高松は、2010年のK. Abuabaraら(Br J Dermatol)のデータを引用して、乾癬の問題は局所の皮疹だけでなく、関節を含む全身的な炎症性疾患であると認識されるべきとしています。

         以上のデータからも外用治療による皮疹のコントロールのみでなく、生活習慣の改善・食生活の見直しなどの悪化因子対策も並行して行うことが生命予後に対しても大切であると考えられます。

         

        まとめ

         乾癬は、原因が不明な難治性の皮膚病であり「しかたなく対症療法的に皮膚に塗り薬を使っていく疾患」というイメージがありました。近年、紫外線療法が一般的となって広くクリニックレベルにも普及し、さらに各種注射薬治療・内服薬治療などが出そろってきており、その症状が徐々にコントロールできるようになってきました。

         「完治=薬をまったく使わなくとも症状が出ない状態」と考えてしまうと、乾癬はなかなか治りにくい病気の1つとなってしまいます。悪化原因となることをなるべく避けて、食生活・ストレス管理・感染の予防など少しずつ根気よく行って症状の改善を図っていきましょう。

         乾癬治療においては多くの患者さんでは、「生活習慣の改善を図りつつ、各種治療の継続を行って症状が寛解した状態を保っていくこと」が治療目標となります。一方で、一部の方では症状が悪化して紅皮症や関節症状が出てくると、各種内服薬治療や生物学的製剤も必要となってきてしまいます。「当院での治療」および「本サイトの情報」が少しでも乾癬に掛かられた患者さんのお役に立てることを願っております。

         

        参考資料

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