白斑(尋常性白斑・白なまず)とは?

 白斑vitiligo)とは、正式には尋常性白斑と呼ばれ、メラノサイトが減少・消失することにより境界明瞭な脱色素斑が大小さまざまな形で出現する「後天性の難治性皮膚疾患」です。白斑を呈する病気には、脱色素性母斑・炎症性色素脱失・サットン母斑・老人性白斑など様々ありますが、最も多いタイプの白斑が60%を占める「尋常性白斑(俗に白癜・しろなまず)」です。

 原因は、リンパ球の過剰な働きが自分自身のメラニン細胞の働きを抑制することによって生じる一種の自己免疫疾患と考えられています。症状としては、鎮静期と憎悪期を繰り返しながら徐々に拡大していくのが特徴です。ストレスや外的な刺激で悪化することもあり、甲状腺疾患などを合併することもあります。

 好発年齢「小学生くらい~30代」に発症することが多いのですが、高齢者に出現することもあります。有病率としては人口の1~2%に発生するとされ、全国で15万人ほどの患者さんがいます。男女差はありません。

 病型には、①初期症状としての限局型、②ある神経領域にのみに出る分節型・③全身に拡大していく汎発型などの分類があり、頭皮に生じると白毛となります。白斑に掛かった芸能人では、森光子さん・マイケル・ジャクソンさんが有名です。

 治療はステロイド外用・活性型ビタミンD3軟膏、免疫抑制剤軟膏の他に、ナローバンドUVB・エキシマライトなどの「紫外線療法」が主として行われます。難治性のものでは、手術療法(ミニグラフト・表皮水疱蓋移植)なども行われます。治療に反応がわるく広がってしまったものでは、メイクアップなどで目立たなくする治療も選択枝ですが、現在まで白斑は難病指定とはなっていません。人にうつったり、寿命に係わる病気ではありません。

白斑の歴史

 白斑とされる病気は、紀元前1500年の古代エジプトの医学書にすでに記載があります。また、紀元前1400年にインドの聖典Atharva Veda(アタルヴァヴェーダ)にも記録があります。旧約聖書のレビ記からさかのぼる紀元前1280年「ツァーラアト」にも白い斑点に関連する皮膚病の記載がみられます。

 ヒポクラテスなどの古代世界では、白斑とハンセン病を区別せずに医学書に記載されていました。「白斑(vitiligo)」という病名は、紀元前後に活躍したローマの医師アウルス・コルネリウス・セルサスによって最初に医学書に記載されました。

 Vitiligo(白斑)という用語は、「viti」=「欠陥・傷を意味する悪徳」という言葉に由来し、「-igo」という病気を意味する接尾語がついてできたものと考えられています。ラテン語で「viti」は欠損するという意味であり、フィンランド語では「真っ白な雪」のことを指します。

 白斑の俗称である「白なまず=白癜」に関しても、西暦100年前後に成立した法華経の中の「譬喩品(ヒユホン)」に白くも、白なまず、ライ病などと伴に記載があります。近年では、江戸時代の井原西鶴による浮世草子「好色五人女」の一節に、「腰骨の白なまず」との記述があり、世界的にもかなり昔からあった病気のようです。

 

白斑の分類

 以下の3つの型に分類されます。

限局型

 発症初期などに、体の一部分に限局性にみられ神経走行とは関係なくでます。口囲・指趾などに限局する肢端顔面型などがあります。大部分の方では、「分節型」・「汎発型」に移行していきます。

分節型

 ある一定の神経支配領域に一致して片側性に生じます。全身どこにでも生じますが、とくに顔面に好発し比較的若い年齢に多いとされます。神経分節を超えて、対側や他の部位へ広がることはありません。

汎発型(非分節型)

 もっとも頻度が高く、神経支配領域と関係なく対称性、両側性、散在性にひろがり、最終的に広範囲に全身に生じてきます。脂漏部位刺激を受けやすい顔面・頚部、腹部、間擦部、四肢伸側などに生じやすい傾向(ケブネル現象陽性)があります。

白斑の原因【ストレスは関係する?】

 詳細な原因は不明ですメラニン細胞やメラニンに対する自己免疫や末梢神経機能異常などの他、遺伝や環境要因が関与していると考えられています。慢性甲状腺炎(橋本病)や悪性貧血、糖尿病などの自己免疫疾患の合併がみられることがあります。20才くらいの若者に発症することが多く、1~2%に家族内発生もみられます。

 とくに、分節型においては、①病変部に一致して発汗異常がみられること、②ストレスで悪化することなどから自律神経バランス障害が誘因のひとつと考えられています。

 一方、汎発型では「自己免疫疾患のひとつ」であると考えられており、液性免疫・細胞性免疫の関与の報告があります。物理的な刺激や日焼けなどのあとに生じることがあります(光ケブネル現象)。妊娠などを契機に悪化する場合もあります。

白斑の原因として主に考えられていることは、

  • 自己免疫説 メラニンおよびメラノサイトに対する免疫異常反応が誘起。自己抗体や細胞障害性リンパ球が発生。
  • 神経説、神経因子説 末梢神経とメラノサイトの接触より神経性化学物質によるメラノサイト変性。
  • 自己破壊説 メラニン代謝産物・変性産物によるメラノサイト自己崩壊説。 

     などがあります。

     病理学的所見としては、発症初期にメラノサイトでのチロシナーゼ活性(ドーパ反応)が減弱しており、変性したメラノサイトや、真皮上層でのリンパ球の浸潤が観察されます。白斑の完成期にはいると、メラノサイト(色素細胞)の欠除・減少と基底層でのメラニン顆粒の消失がみられます。

    ドーパ反応dopa(dihydroxyphenylalanin) reaction
    メラノサイトに存在するチロシナーゼ活性の有無を調べる方法白皮症の診断に使用されます。

     

    白斑の鑑別疾患【白斑かも?】

     皮膚に白い斑点ができる病気には「尋常性白斑」以外にも様々なものがあり、鑑別が必要となります。

    はたけ(単純性粃糠疹)

     学童期のお子さんの顔によく見られます。一見、白斑様の外見を呈しますがよく見ると「湿疹のカサツキ」を伴うことから鑑別できます。軽めのステロイド外用剤+保湿などで軽快します。子供の白斑が治ったとされるものでは、「はたけ」が原因であった可能性があります。

    炎症性色素脱失

     日焼けや湿疹がなおったあとに、一時的にメラニンの働きが止まってしまうために生じる脱色素斑です。やけどの跡にも生じることがありますが、炎症が強いほど色抜けは残りやすい傾向です。

    脱色素性母斑

     赤ちゃんにみられる不完全脱色素斑わずかに茶色味を帯びており、生まれつき、もしくは生後しばらくしてから発生します。外見上は尋常性白斑と似ていますが、「辺縁が鋸歯状で拡大傾向がない」ことから鑑別を行います。

    老人性白斑

     色素細胞の活動性低下による加齢に伴う白斑です。四肢~躯幹などに小豆大程度の脱色素斑が増えてきます。小さなものでは米粒大くらいから始まり、互いに癒合することはありません。加齢現象のため、治療の必要性もなく経過をみるだけとなります。

    まだら症

     限局性で前額部~前頭部正中の白毛・白斑が特徴です。メラノサイトは観察されず、稀な常染色体優性遺伝の疾患です。

    サットン遠心性白斑

     ほくろを中心として周囲の白斑を生じます。中央部の母斑を切除すると周囲の色素が回復することもあります。中央の黒子のメラノサイトに対する自己免疫反応が原因と考えられています。

    ロドデノール(美白剤)などの薬剤による白斑

     2013年に美白剤ブームのなか、カネボウ化粧品が販売したロドデノール含有美白剤ですが、後に薬剤承認時に白斑が生じることを知りつつも認可されてしまったことが判明しました。自己免疫的な機構とは原因の異なる白斑では、ナローバンドUVBの効果は期待できません

     

     その他では、白斑黒皮症、白癜風、伊藤白斑(精神遅滞を伴う)、結節性硬化症、ハンセン病、Vogt・小柳・原田病などが鑑別疾患として挙げられます。

     

    白斑の症状・診断

     白斑発症の初期症状として、境界不明瞭な不完全な脱色素斑を呈することがあります。症状が完成してくると、皮疹は境界明瞭な完全脱色素斑を呈します。とくに皮膚がガサついたりなどの湿疹変化や痒みなどの自覚症状を伴うことはありません。進行すると白斑辺縁周囲の正常皮膚部分の色素が軽度の増強を示すこともあります。

     白斑の形や大きさは大小不定であり、たびたび癒合して大きくなることもあります。頭部に生じると、毛髪部のメラニンも抑制されてしまうために髪の毛が「白髪」となってしまうこともあります。

     診断は、湿疹変化などを伴わない完全脱色素斑を呈すること、白斑の完成期では周囲皮膚の色素増強などがみられる特徴的な臨床所見より判断が可能です。鑑別にあたっては、ダーモスコピーを用いて病変部の観察を行い、白斑の発症時期や分布状況、経過やその他の随伴所見がないかに注意を払います。

     血液検査所見では、20-30%の頻度で抗サイログロブリン抗体、抗核抗体、リウマチ因子などの検査値に異常を示すことがあります。必要に応じて糖尿病や悪性貧血の有無を調べます。問診では、自己免疫疾患の有無やその類似疾患に関する既往歴・家族歴を注意して聞き取る必要があります。

    白斑の治療【治し方は?】

     発症初期では、ステロイド外用剤や免疫抑制剤軟膏(プロトピック)が用いられることがあります。できはじめの白斑ではプロトピック軟膏が効果のある方が多い印象です。活性型ビタミンD3外用剤に加えて、適度な日光浴をすると色素再生がみられることもあります。

     外用剤治療での反応が悪い場合には、紫外線療法が「第一選択」となります。近年では外来通院で治療が可能な「ナローバンドUVBおよびエキシマライト」が用いられることが多くなってきました。光線療法の反応が良ければ治療を継続しますが、人によっては色素再生に限界が来てしまうこともあります。

     各種手術療法は、紫外線療法の効果がない場合にご本人の希望や露出部など見える部位に行われる場合があります。ミニグラフト、吸引水疱蓋表皮移植法、薄い分層植皮などに加えて、最近ではバイオテクノロジーを応用した「培養メラノサイト移植」が行われるようです。

     

    以下、尋常性白斑診療ガイドラインを元に、推奨される治療について詳しく解説していきます。

    ステロイド外用剤

     限局型の白斑での有効率は、7割程度とされますが、汎発型での有効率は低くなっています。長期連用により皮膚萎縮や毛細血管拡張を引き起こすため、2ヶ月程度までで効果がなければ他の治療への変更・追加が必要となります。

    プロトピック軟膏

     タクロリムスという免疫抑制剤軟膏です。アトピー性皮膚炎に用いられる外用剤で長期使用での安全性も高く世界的に用いられているお薬となります。紫外線療法が無効であったものでも有効であったとの報告があり、発症初期にまずは使ってみても良いお薬でしょう。2歳以上のお子さんにも使用可能です。

     密封療法を行うことにより効果が増強するとの報告がありますが、添付文書上は適応外となっています。

    活性型ビタミンD3外用剤

     紫外線療法との併用での有効性が報告されております。単独で用いる場合には、外用とともに適度な日光浴をすると効果的との報告もあります。ビタミンD3外用剤併用を行うことで、紫外線単独治療よりもメラノサイト増殖因子発現に係わるNGF(神経成長因子)が濃度依存性に修復されるという報告があります(2003前田ら)。

     また、活性型ビタミンD3自体が、①過剰な免疫反応を抑制する、②細胞障害性リンパ球を抑制する、③幹細胞分化誘導をするなどの可能性が考えられています。

     

    ★外用療法のメリットは、紫外線療法のような週2回以上の定期的な通院が不要「自宅治療」が可能なことです。一方、広範囲のものや白斑が長引いているものでは効果が期待できず、下記の紫外線療法が「第一選択」となります。

     

    ナローバンドUVB・エキシマライト療法

     白斑治療に対しては、近年紫外線療法のひとつである「ナローバンドUVB」がエビデンス的にも非常に効果的なことが判明し、「白斑治療の第一選択」とされています。さらに近年では海外のコホート研究でも白斑患者さんでは、統計的に紫外線発癌が少ないことが分かっており、ナローバンドUVBは安全性の高い治療法として推奨されています。

     かつては、白斑に対しPUVA療法やブロードバンドUVBが行われてきましたが、これらは他疾患での統計で一定以上の治療回数で光発癌の発生が増加することが分かっています。一方で、様々な「マウスを用いた実験」および臨床的研究から光発癌に対しての安全性の高さは、①ナローバンドUVB>②ブロードバンドUVB>③PUVA療法の順となっていることが報告されています。

     過去の2012年の白斑診療ガイドライン(日本皮膚科学会)では、あくまで試案として15歳以下の白斑治療アルゴリズムとして紫外線照射を行わない、もしくは小児に対して副作用につき充分なインフォームドコンセントを行った上で回数を限定して施行するとなっていました。

     一方で、2017年の白斑ワーキンググループ報告によると、多くの日本人が含まれるスキンタイプ4~6の方では、7-10歳頃より週2,3回の照射を回数の制限を設けずに行うことが推奨されてきております(種村2022 Dermatology Today)。

    ★当院では「2008年よりナローバンドUVB」・「2012年よりエキシマライト療法」の2種類の紫外線療法を行っており、多くの白斑治療の実績があります。

    《治療費の目安》中波紫外線療法 1日につき1020円(3割負担の場合)

     

    ナローバンドUVB療法の実際

     一般には最小紅斑量を測定して、その2分の1の照射量から開始します。一方、外来治療においては簡便な方法として、おおよその肌色より弱めの照射量を設定し、色素沈着や副作用を確認しながら1~2日程度淡い紅斑が生じる程度の照射量まで挙げていくことが行われます。

     3日以上強めの紅斑や水疱形成を来した場合には照射量が「強すぎるサイン」とし照射量を1段階下げて調整を行っていきます。約2日弱くらいの紅斑が生じる照射量で固定し治療を続けていきます。

     病変範囲の広めのものでは、当院ではナローバンドUVB(部分型;照射範囲60×80cm)を用いますが、小さめの白斑では、よりパワーが強く、照射時間や回数を短縮できる「エキシマライト療法」が行われます。どちらの治療法でも、まず10~15回程度の照射毎に治療効果の判定を行っていきます。

     

     治療効果については、約70~80%程度の方になんらかの色素再生がみられてきます。色素再生は「白斑周囲の皮膚からにじみ出すように出てくるパターン」や「白斑部に残った毛穴から点々と小島状に再生するパターン」・「全体にじわじわと色がつくパターン」などがあります。最終的には、治療に対する反応が良好な方では平均照射回数40-50回程度(治療期間は1年程度)を必要とし、白斑部分の70~80%程度の色素再生がみられてきます。

     

    手術療法

     白斑の手術療法の適応は、分節型タイプで症状が1年近く固定している症例となります。汎発型の症例で手術を行うと「手術侵襲」により返って術後に白斑が進行すること(ケブネル現象)があり適応を慎重に選ぶ必要があります。

     白斑部分を手術用グラインダー(剥削機)や超音波メスで表皮を削るという報告もありますが、当院では15番メスにて表皮が点状出血し真皮が露出する程度に削っています。皮膚移植の生着率は如何に、植皮床をダメージが少ない状態で作るかにありますので、手作業での「表皮剥削」が理にかなっています。せっかく、表皮(皮膚)を移植したのにグラインダーで擦ったあとや電気メスで焼いた跡では、メラニンの生着が悪くなってしまいます。

     移植片としては、「分層植皮、デルマパンチを用いたミニグラフト、吸引表皮水疱蓋移植」が用いられます。分層植皮術は、表皮+薄い真皮も含まれているため移植後の患部は、通常の皮膚と比べて「質感が違ったり」、「移植後の皮膚に縁取り」がはっきりみえてしまうために整容的に問題があります。ミニグラフトも極狭い範囲であれば良いのですが、広範囲になると点状に「敷石状」の瘢痕が目立ってしまうことが難点です。

     「吸引表皮水疱蓋移植」は注射器のシリンジ外筒を逆さ向きに使って、皮膚に吸引を掛ける方法です。吸引には機械的な吸引器や「別の注射器」を用いた手動での吸引が行われます。

     

     当院に於いては、「吸引表皮水疱蓋移植」2,3カ所で済むような小範囲の手術に対応しております。基本的にはナローバンドUVBなどの紫外線療法とセットでの治療となります。手術直前の週まで紫外線療法を行い、メラノサイトへの自己抗体に抑制を掛けてから手術を行います。また、移植片が安定する術後2週目以降に再度紫外線療法を行っていくと、移植片の周囲からも色素再生がおこり全体に正常皮膚色に戻っていきます。

     移植片は一回脱落したように見えた部分でも、メラノサイトが白斑部分に移動・定着するために紫外線療法を継続すると色素再生が起こってきます。もしも、隙間が大きく白斑が残ってしまった場合には、再度「隙間部分の白斑」にも表皮水疱蓋移植を追加で施行することがあります。

     白斑の手術療法は、当院で紫外線療法を受けている方限定で行っており、「手術のみでの治療」はお引き受けしておりません。移植片の生着率アップ、移植片からの色素再生には術前後の紫外線治療が必須となるからです。より、大きな白斑病変に対する「表皮水疱蓋移植」は、当院では東京労災病院形成外科と連携しており、ご紹介の上で手術を受けていただく場合があります。

     

     特殊な白斑の最新治療としては、先進医療で「白斑に対するメラノサイトを含む培養表皮を使った治療」が行われることもありますが健康保険は使えません。

    1. 聖マリアンナ医科大学形成外科
      https://www.marianna-u.ac.jp/hospital/kanja/sinryou/shinryouka_20/#special
    2. Yanaga Clinic(福岡・矢永博子医師)
      http://www.yanaga-cl.com/merano.html

    聖マリアンナ医科大学および矢永博子医師は、培養表皮移植の国内でのパイオニアであり皮膚外科(形成外科)領域での再生医療で有名な病院です。

     

    ステロイド内服剤

     発症初期および進行が非常に急速な場合は、外用剤治療と併用してステロイド内服療法も併用されることがあります。プレドニゾロン10mg程度/日より開始して数ヶ月で減量、テーパリングしていきます。

     

    露出部ではカバーマーク・化粧で

     白斑は進行して症状が固定してしまうと色素再生がみられない場合もあります。多くの施設でカモフラージュという選択が行われています。ファンデーションやカバーマークなどで白斑部分を隠すことも治療の一つとして推奨されています。

     全身に白斑が及んでしまった場合には、美白剤として使われるハイドロキノンやハイドロキノンモノベンジルエーテル(保険適応外)が大学病院などの限られた施設で行われることがあります。

     

    無治療という選択

     子供の初期の白斑では、「自然治癒する・自然に治った」というデータもあり、自然経過を一定期間みるという選択もあります。

     

    白斑の予後【白斑は治りますか?】

     外用治療やナローバンドUVBを行って、明かな色素再生がみられるのは全体で7~8割程度の方となります。治療には長期を必要とし、根気よく続けていくことが大切となります。また、すべての例で色素が完全に再生することが難しいことも問題です。さらに、憎悪期に入ると治療中でも白斑が拡大してしまうことさえあります。

     

     一般的な傾向としては

    • 白斑が出来てから早いほど、
    • 範囲が狭いほど、
    • 年齢が若い方ほど、

      治療に対する反応は良いです。

       部位によっても反応が異なり顔首に出来た白斑は治療に反応し治りやすいことが多いのですが、手足などの四肢末端・口唇周囲などでは治療に反応が悪い傾向があります。対称性の汎発型では治療に反応しやすく、片側の分節型では難治とされていますが、実際に紫外線療法を行うと反応してくることもあります。

      生活上の注意白斑にきく食べ物はあるの?

       2,3割の方では治療抵抗性であり、ある程度までは紫外線療法に反応するものの、一定以上の回復が見られない場合もあります。ナローバンドUVB治療は時間を掛けて気長に根気よく行っていく必要があります。

      夏に過度の日焼けをすると、「光ケブネル現象」を起こして白斑が拡大したり、周囲の日焼けによって白斑部分とのコントラストが強まるため、日焼け止めを使って過度の日焼けは避けましょう

       白斑は市販薬で治せる病気ではありませんが、カモフラージュとしてのコンシーラーなどは使ってもよいでしょう。また、白斑に効く特定のサプリ・お茶などもありません。ストレスで悪化することが知られていますので、バランスの良い食生活を心掛け、よく睡眠をとり規則正しい生活を送りましょう

      まとめ

       白斑の根本的な原因ははっきりしていませんが、なんらかの自己免疫的な機序で生じているものと考えられています。お子さんの初期の白斑では、ステロイド外用剤やプロトピック軟膏が有効な場合もあります。

       白斑治療の第一選択として、「ナローバンドUVB療法」が治療効果もすぐれており各国のガイドラインでも推奨されております。また、分節型白斑で難治の方では、「吸引表皮水疱蓋移植」などの手術療法も適応となります。

       当院では、「ナローバンドUVB療法・エキシマライト」での10年以上の白斑治療経験があり、さらに小範囲のものでは白斑の手術療法にも対応しております。白斑でお困りの方は、ぜひご相談ください。

       

      ※当院設置のナローバンドUVBは部分型のため全身照射には対応しておりません

      ※手術単独治療ではメラニンの再生が期待できないため、「手術療法は当院で紫外線治療をおこなっている方限定」で実施しております。

      ※白斑の患者さんでは治療効果判定のため、定期的に写真を撮らせて頂いております。

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