巻き爪の治療費用・治療代はいくらですか?

 巻き爪が痛くなったときに気になるのは、「巻き爪治療費用はいくら」くらい掛かるのか?・治療費の相場はいくらか?等ではないでしょうか?・・・まず手軽にできるのは「市販の巻き爪矯正グッズでのセルフケア」「巻き爪サロンでの矯正」です。

 ただし、市販巻き爪グッズや巻き爪サロンでの対応は「ある程度軽度のもの」に限られ、重度の巻き爪や肉芽形成がある陥入爪では病院での巻き爪治療が必要となります。病院での巻き爪治療も医院によって対応が異なり、①「テーピング指導や肉芽腫に対する液体窒素療法」のみに対応する場合・②各種の巻き爪矯正まで対応する場合、③手術まで対応する場合で治療費用が違ってきます。

※各矯正法の欠点は、担当医師の私見

 比較的若い10~20代の陥入爪は、1~2回の巻き爪矯正治療で治ってしまうことが多いのですが、一方で中高年女性に多い巻き爪では「3割程度の方で再発を繰り返して」しまう傾向があります。従って、「トータルでの巻き爪治療費用はいくら掛かるのか?、治療期間はどのくらいなのか」を良く検討してから治療法を選択した方が良いでしょう。

 以下、現在よく用いられている代表的な巻き爪矯正法につき治療費用と治療期間などを調べてみましたのでご参考にされてください。(R6.11月当院調べの参考値)

 

①超弾性ワイヤーを用いる方法

マチワイヤの治療費用治療期間

 町田医師により開発された「超弾性ワイヤーを爪に穴を開けて装着する方法」です。日本で一番広く行われている方法で、巻き爪に対応した医院では多く採用されている巻き爪矯正法となります。爪の大きさや硬さに応じて数種類の太さのワイヤーを使い分けます。

・治療費用66009000円(ワイヤー代+手技料)
・治療期間;1~2カ月毎に交換、半年~1年程度
 ※初診料/7700円程度が掛かる場合もある。
・総治療費用2200034000/足趾毎(※4回交換)
・対応施設;おもに病院

◆マチワイヤの欠点は?

 肉芽腫や炎症のある場合に行いにくい、爪を伸ばさないと装着できない等が挙げられます。爪に穴を開けるため爪が割れやすく、根元の巻きが治りにくい等のデメリットもあります。

 硬い爪だと爪がしっかり開ききるまでに複数回の矯正を行う必要があり、矯正完了まで時間が掛かります。

※マチワイヤ類似品として、オニックスワイヤーやソルブ爪矯正用ワイヤーなどがあります。

②プレートを装着する方法

 プレート法のオリジナルは、ドイツで開発されたB/Sスパンゲです。ペディグラスは、特殊な透明な樹脂製プレートを用いる巻き爪補正法となり日本で開発されました。

B/Sスパンゲの治療費用治療期間

 弾性のあるグラスファイバーを織り込んだ特殊なプラスチックプレートを爪表面に接着し、プレートの反発力で矯正を行う方法です。日本に数人マイスターの方がおり、受講者は直接B/Sスパンゲ指導者よりレクチャーを受けます。

・治療費用55007500円(プレート1枚毎)
・治療期間;一般的には6カ月程度
 ※複数枚使うと、枚数分の費用が増えます。
 ※初見料11002750円+衛生処置11002200
・総治療費用33000/足趾毎(※月1回×半年継続)
・対応施設;主に巻き爪サロン、病院で行うことも

◆B/Sスパンゲの欠点は?

 肉芽腫や炎症があるものには対応しません。通常型プレートの矯正力には限界があり、そのため強化版プレート複数プレートを用いると費用が上がります。超弾性ワイヤーと違い、プレートは極度に曲げると折れてしまうため「巻きが強い弯曲爪」などは若干不得意で装着に工夫が必要です。

 爪端の接着に技術が必要なため、施術者の腕により治療結果に差があります。そのため矯正完了まで時間が掛かったり、1カ月も経たずに取れてしまうこともあります。

ペディグラスの治療費用治療期間

 弾性のあるレジン樹脂プレートを用いた巻き爪矯正法です。ネイルケア技術を用いているため仕上がりがきれいであることが特徴となります。

 ペディグラス施術者の資格を取るためには、複数回の指定講習を受ける必要があり、施設や施術者によって巻き爪補正効果に差が少ないことがメリットとなります。

・治療費用600020000円(重症度に応じ費用差)
 ※軽度/5500円、中度/6600円、重度/8800
 ※下地処理費用が5502200
 ※補助挙げ2200円、根元挙げ7700円などが加算
・治療期間;月1回のプレート交換×1年間の施術
・総治療費用14万円程度~/足趾毎(※1年継続)
・対応施設;ペディグラス認定技術者(主にサロン)

◆ペディグラスの欠点は?

 医療行為としての認可は受けておらず、肉芽腫や炎症のあるものは対応不可となります。巻き爪矯正の完了までに「毎月のプレート交換を1年間繰り返す」ため、治療費用が高額となりがちです。原理的に「爪に対して継続的な矯正力」が掛かりにくく、「毎月プレートを交換すること」で徐々に爪を持ち上げる方法論とも云えます。

※類似のプレート法として、マチプレートMD・オニクリップ・スマートリフトなどがあります。

③巻き爪矯正装具を装着する方法

 近年、マルホの開発した「巻き爪マイスター」が皮膚科クリニックで良く行われます。ドイツ式の「VHO式巻き爪矯正」・サロンなど行われる「ツメフラ」、当院でも採用している「そがわ式巻き爪矯正装具」などが代表選手と云えましょう。一見似ている4つの方法ですが治療費用・期間などを比較してみます。

巻き爪マイスターの治療費用治療期間

 両端に固定用フックを取付した「2本の超弾性ワイヤーをスプリングに内臓」した巻き爪矯正装具となります。両端にフックを付けることで爪に穴を開けずに、短時間で巻き爪に装着可能となっています。

・治療費用8600円~19000円(装具代+取付料)
 ※装具代66108000円+取付料20005500
 ※爪を軟化させるリネイルゲル/44005600
・治療期間;1~2カ月~重度では3カ月以上
・総治療費用;6万円/足趾毎(※ゲル併用時)
・対応施設;主に皮膚科クリニック

◆巻き爪マイスターの欠点は?

 爪の両端にフックを掛けるため、爪を伸ばす必要があります。装具の構造上の問題で、爪の上に装具が突出し外力により脱落しやすい傾向です。内蔵される弾性ワイヤーの強さが1種しかなく、かつ「矯正力は弱め」となっています。

 硬い爪には爪を軟化させる「リネイルゲル」を別途で購入する必要があります。矯正されるに従い新しいサイズの矯正装具が追加で必要となり治療費が高額になりがちです。

VHO式巻き爪矯正の治療費用治療期間

 ドイツで開発された血を出さず、痛くな巻き爪矯正法です。ワイヤー端に小さなフックを作製し、爪端に引っ掛けて巻き取り用ワイヤーで中央方向へ牽引する矯正法となります。フックが小さく形成されるため、比較的爪端の奥側に装着できることが特徴です。

・治療費用;初回16500円 2回目以降11000
・治療期間;半年~1年(※2カ月毎交換×3,4回)
・総治療費用49500/足趾毎(※2カ月×4回例)
・対応施設;主に医療機関

◆VHO式巻き爪矯正の欠点は?

 爪の両端をフックで上面から引っ張る方法のため、フックを牽引する力が爪挙上力に変換されにくい。従って、本法のみで、爪を積極的に挙上することに理論上の限界があります。著者の経験上として矯正には時間が掛かり、かつ高度の巻きは治らない印象です。

ツメフラの治療費用治療期間

 爪両端にフックを引っ掛け、かつ中心部のジグザグばね部分が開くことにより爪に装着する矯正装具です。ジグザグばね部分が「形状記憶かつ超弾性的な性質を持つ」としています。矯正完了後もツメフラ装具をそのまま再発予防として使えるのがポイントです。

・治療費用15400円~20900円(装具代含)
・治療期間;中程度までの巻き爪では平均6.2カ月
 ※施術代;軽度6600円/中程度8800円/重度12100
 ※別途装具代8800円で、紛失時にも装具代必要
・総治療費用;6から8万円/足趾毎(※半年継続例)
・対応施設;サロン

◆ツメフラの欠点は?

 以前は市販されていたものが、現在は講習を受けたサロン限定となっています。肉芽腫や炎症を起こしたものでは装着できません。さらに爪を伸ばさないと装着不能、かつ予防のために常に爪を伸ばしておく必要があります。実際の装具は形状記憶・超弾性ではなく過剰な外力により変形してしまうようです。

そがわ式巻き爪矯正の治療費用治療期間

 専用のそがわ式ワイヤー「特殊なレの字フック形状」に形成し、爪端に装着して巻き爪をダイレクトに挙上可能な矯正法です。ワイヤーの太さが基本で5種類あり、装着法の工夫により肉芽腫のある陥入爪や高度に巻いた弯曲爪でも痛みなく施術することができます。

・治療費用8800/11000円(ワイヤー1本/2本)
・治療期間;軽度/1回のみ、重度/23回の施術
 ※別途で診察/処置料(※20004000円程度)
 ※矯正は医療行為でない為、混合診療に該当せず
・総治療費用;軽度/8800円~重度/28600/足趾毎
・対応施設;医療機関

◆そがわ式の欠点は?

 プレート法に比較して審美性で劣っています。全国でも対応している医院が少なく限られ、対応時間帯に制限があることが課題となります。高度の肉芽形成例や痛みが強い例は、局所ブロック注射が必要となる場合があります。

※VHO巻き爪矯正の類似法としてコレクティオ・ポドフィックス等、ツメフラ類似品として巻き爪ブロック、巻き爪マイスター類似品として巻き爪ワイヤーガードなどがあります。

巻き爪治療費用・トータルの治療代の比較表

巻き爪装具名

治療方法

治療費用

治療期間

総治療費用

対応施設

欠点

マチワイヤ

超弾性ワイヤー

6600~9000円

半年~1年

22000~34000円

病院

爪根元が治りにくい

B/Sスパンゲ

弾性プレート

5500~7500円+初見料等

半年程度

33000円

サロン

プレートの剥がれ

ぺディグラス

レジン製プレート

6000~20000円

1年

140,000円

サロン

治療費用が高額

巻き爪マイスター

フック付ワイヤー

8600~19000円

3カ月以上

60,000円

病院

リネイルゲル要

VHO巻き爪矯正

フック牽引法

初回16500円/以降11000円

半年~1年

49500円

病院

爪挙上力がない

ツメフラ

ジグザグばね装具

15400~20900円

平均半年~1年

60000~80000円

サロン

超弾性でない

そがわ式

弾性ワイヤー

8800~11000円+診察料

2~6カ月

8800~28600円

病院

対応施設が少ない

※上記のバーでスクロールできます。

 以下に分かりやすくイラスト比較表を載せておきます。

④病院で治療を受ける時の巻き爪治療費用

 病院で治療する場合には、以下の巻き爪治療費用が掛かりますので、ご参考とされてください。

  • 爪棘の切除など「爪甲抜去術」・770点(自己負担2310円)
  • 喰い込んだ爪を根元まで抜爪する「陥入爪手術(簡単なもの)」・1400点(自己負担4200円)
  • 根治治療である「陥入爪手術(爪甲・爪母の形成を伴う複雑なもの)」・2490点(自己負担7470円)

 外科的な手術法は、余分な爪甲を永久的に切除/生えなくして巻き爪を治すという特徴があり、現在第一選択とはなっておりません。一方、保存療法ではどうしても改善しない再発を繰り返す症例や高度の肉芽腫・遷延した腫張の強い陥入爪では初めから手術をお勧めする場合もあります。

⑤市販の巻き爪矯正器具

 ネイルエイド、巻き爪リフト、ドクターショール巻き爪クリップ、巻き爪ブロック、シール型巻き爪テープ等があり、2000円~5000円程度で販売されています。巻き爪の自己治療が可能な「巻き爪ロボ」のみが15000円~となっています。

 上記の様々な巻き爪対策グッズは、爪を伸ばす必要はありますが、自宅で行うことができ「軽度巻き爪の予防的ケア」の候補に入れても良いでしょう。

さらに詳しい巻き爪矯正について学ぶ

 当院院長は、皮膚外科医となってこれまで数多くの巻き爪手術を手がけてきました。大学に在籍していた期間も20年以上あるため、多くの後輩医師にも手術を指導してきた立場です。一方、2000年代に入り巻き爪矯正も含めた様々な保存療法が発達してきました。

 

 マチワイヤ・VHO巻き爪矯正法・B/Sスパンゲ・ペディグラス・ツメフラなど多くの巻き爪矯正法も経験・比較検討してきました。現在、当院ではメインで10年以上行っている「そがわ式巻き爪矯正」非常に矯正効果も高く、一番お勧めできる巻き爪治療手技となっております。ご興味ある方は下記の関連記事もご一読頂けますと幸いです。

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