もくじ
水いぼ(伝染性軟属腫)とは?
水いぼ(伝染性軟属腫)とは、ポックスウイルス群にぞくする伝染性軟属腫ウイルス(Molluscum contagiosum virus :MCV)による経皮感染でうつるウイルス感染症であり、小児によく見られる柔らかいイボとされます。外観が水様光沢を帯びて見えることから、「俗にみずいぼ」と呼ばれます。
水いぼの患者さんは、90%が9才以下の小児であり、疫学調査では3才18.9%、4才19.0%、5才19.2%とされ、5才児をピークに3~5才が一番多いが、乳幼児の感染例も少なくないとされます。一般的に10才以上ではみられない幼小児期の疾患である水いぼですが、大人の症例も3%程度みられます。

アトピー性皮膚炎や湿疹のある患児に合併しやすく、海外における統計学的検討(Choog ら1999)によると、
- 学校教育でのプールでの経験
- 水イボ患児と入浴時のタオル・スポンジの共用
が「水いぼがうつる危険因子」として発症との有意の相関が得られたとされます。
潜伏期は2~7週間とされ、自然治癒期間は6カ月~1年以上掛かり、場合によっては2-3年掛かったとの報告もあります。とくにアトピー性皮膚炎・乾燥肌の悪化があると掻爬により、水いぼが多発することもあるため、周囲の子供への感染を考慮して治療を行います。
ご注意!お読み下さい
当院では、水いぼ摘除(軟属腫摘除)は行っておりません。水いぼの治療には、①保湿剤やステロイド外用剤でアトピーや湿疹の改善を図り、②掻爬や拡大を防ぐためかゆみ止め内服/ヨクイニン内服を行い、③水いぼの自然寛解に有効なMB-F(エムビーエフ)クリームをお勧めしております。※MB-Fクリームについては後述します
学校/保育園での集団生活のマナーとして、何もせずにプールに入ってしまうことはお勧めしておりません。
水いぼの原因・プールはきっかけとなるの?
水いぼの原因は、MCV(Molluscum contagiosum virus :伝染性軟属腫ウイルス)の皮膚への感染によって発症するウイルス感染です。MCVは、DNAウイルスであり約178kbの2本鎖DNAを内包し、ポックスウイルス科,コルドポックスウイルス亜科,モルシポックスウイルス属のウイルスとして分類され、ヒトが唯一の自然宿主であり、人に感染するウイルスの中で大きさが最大と云われます。
1997年に、全塩基配列が決定され、その結果160個以上の遺伝子をコードすることが分かり、一部の遺伝子コードが宿主の「免疫反応からの逃避」につながっていると考えられています。

「プールの水を介しては感染しない」とされますが、
①プールでのタオル・ビート板の共用・お子さんのはだか同士の肌の直接接触で感染します。プールに入る事で、皮膚疾患のあるお子さんでは乾燥肌が助長されバリア機能の低下も誘因となります。
②掻爬などによる皮膚の微小外傷や毛孔が、「水いぼウイルスの直接の侵入口」となります。
③お子さん同士の肌の接触で感染するので、プールに入らない冬場にもみられます。
④プールを禁止するのみでは、日常生活でのお子さん同士の接触を完全に防止できないため、「プールの禁止」によって感染を完璧に防げないことも問題です。
⑤プールの始まる5,6月から水いぼの患者さんが明らかに増える傾向があり、夏季に多い疾患となります。
⑥学校保健法上は、「その他の感染症」とされますので、「保育園/学校の先生には予防する義務」があり、「水いぼが多数あるときには処置をしておく」ことが決まりとなっています。
⑦小児科関連の学会では、「プールを禁止する必要はない」との声明がでてしまっていますが、何もしなくても良いということはなく、「患部をラッシュガードなどで覆う」など多数の水いぼがある患者さんでは周囲への感染の配慮が一般的に求められます。
水いぼの症状・見分け方
表面は、みずみずしい光沢のある小丘疹で中心部にやや凹みがある特徴から、いわゆる「みずいぼ」と呼ばれます。好発部位は、小児の四肢や躯幹、外陰部/大腿内側の他に、水いぼを掻いた手で擦っていると顔首にも出てしまうこともあります。通常は、掌蹠(手の平・足のうら)には見られず、生毛部に発症することも特徴です。腋窩や肘窩/膝窩などの間擦部位でこすれ・掻破などによって、自家接種が起きると数が増えてしまいます。
外観上は、直径1~2mmのドーム状の丘疹~小結節が単発もしくは多発性となって発症し、時間と供に大きくなり4,5mm程度となることもあります。1cm以上の大きなしこり(結節)を形成したとの報告もあります。表面は平滑で、色は通常の皮膚色~淡紅色で発達して大きくなると、中心部が臍窩状にはっきり陥凹することが多くなります。

通常は、周囲の皮膚に炎症を伴わないことも「水いぼ」の特徴ですが、約1割程度で水いぼのまわりに刺激性の皮膚炎を伴うことがあり「モルスクム反応」と呼ばれ、痒いてしまって水いぼが広がる原因とされます。
小児科におもに通院する湿疹を伴わないケースでは、水いぼはあまり増えることなく、「自然治癒すること」もありますが、皮膚科に通院されているアトピー性皮膚炎や湿疹の悪化を合併した患児では、「バリア機能の低下、細胞性免疫の低下、掻爬による自己接種」により、限りなく数が増えてしまうケースもあります。
非典型例では、強い炎症や化膿/感染をともなう水いぼ・巨大な水いぼ・有茎性のもの・皮内の結節を伴うもの・毛包炎様のものなどが報告されています。また、伝染性軟属腫の治癒過程として、「発赤、腫張、膿疱形成」などの炎症を伴うことがあり、水いぼのBOTE(begin of the end)徴候としてBulta(2013)らが提唱しています。主として、水イボに対する免疫反応が原因で起こるものと考えられています。
水いぼの診断・鑑別疾患
小児期に上記の特徴的な臨床像を呈する場合には、「視診のみで容易に診断」がつきます。出来はじめの小さなものでは、拡大鏡(ダーモスコピー)で皮疹のひとつひとつをチェックすると鑑別に役立ちます。ごく初期では、1~数個のことがあり、毛穴との鑑別が困難なこともあります。また、自覚症状もないため周囲から気づかれないこともあります。
数週間~2カ月程度で、徐々に数が増え10数個となり、ひとつひとつの皮疹が小さな豆粒大になり、周囲から気づかれて受診するケースが多くなります。治療をせずに気になって掻爬を繰り返すと、水いぼの内容物であるウイルスの塊(モルスクム小体)が飛び散り、周囲に自家播種されて最終的に限りなく増殖して100個以上の水いぼとなることもあります。

水いぼの所見としては、①全体に白みがある淡紅色調、②中央部分の陥凹した白色リング構造、③白色構造周囲に毛細血管拡張(crown vessels)があることが特徴とされます。小児では、光沢苔癬、扁平疣贅、稗粒腫、ウイルス性いぼ、若年性黄色肉芽腫、水痘などが鑑別を必要とすることがあります。
治療を兼ねて、ピンセットで中心部から乳白色の粥様物質が圧出できれば診断はほぼ確定します。成人例や単発例では、必要に応じて病理検査を行ってはじめて診断がつく場合もあります。病理組織的に、「水いぼ」は毛孔に沿った表皮基底細胞に感染をおこし、表皮内病変を形成し有棘細胞内で増殖し,のう腫状に表皮を圧排して特徴的な「抗酸性封入体(変性した細胞塊)」を形成して増殖します。
抗酸性封入体は別名「モルスクム小体」と呼ばれ、電子顕微鏡では封入体には多数の水いぼウイルス粒子を認めます。モルスクム小体は肉眼的に白色調に透見され、表皮上層からの排泄過程の像は、水いぼの自然消退傾向を示します。
コラム
水いぼは、誰しも1回は掛かる病気であり「小さなお子さんのうちに掛かってしまった方が良い病気」とも考えられています。この言葉の背景には、「お子さんのときに水いぼに1回感染して免疫がついてしまえば大人になってから感染することは稀」であるという経験的事実があります。

通常の成人で水いぼに掛かったことがある方では、水いぼに対する終生免疫があるとされ、お子さんから「水いぼ」がご両親に移ったという話は聞いたことがありません。一方で、大人での水いぼの方も稀におり、20代後半のアトピー性皮膚炎の方に水いぼができたり、以前は40台女性の眼瞼皮膚に小結節が単発で出来て生検したところ、水いぼであったということもありました。成人例では子供の時に、水いぼに掛かった経験がないと水いぼに対する免疫がなく掛かってしまうものと考えられます。
一方で、成人例での水いぼは、腎移植後やエイズ(AIDS)・膠原病・悪性腫瘍などで免疫抑制疾患での発症の報告や、成人陰部/陰茎に見られ性感染症としての報告もあります。とくに、成人例での大きな水いぼが多発した場合には、HIV感染を疑う必要もあるとされます。
水いぼの治療/薬・子供の治し方は?
ピンセットつかう水いぼ取りor自然治癒を待つ?
水いぼ自体は、良性疾患であり誰もが一生のうちで掛かることが多い感染症とされます。また、治るまでの時間には「3カ月~3年」と幅があるものの、いずれは治る病気であり、小児科に掛かると「そのうち自然に治るから様子をみましょう」と云われてしまうことがあります。いわゆる「自然治癒を待つ」という方法も治療の選択肢のひとつとされます。

一方で、何もせずに経過をみているうちに、水いぼが広く無秩序に広がってしまうこと(播種)も少なからず経験します。海外のデータ(Olsen JR 2015)では、水いぼの自然治癒経過を調査した結果は4~15才の300人以上の30%の水いぼが1年半以内に治らず、さらに13%が2年しても軽快しなかったと報告されています。水いぼに何も介入せずに治るまでの期間を調査すると「平均13.3カ月」であり、自然治癒を待たずに何らかの治療を行うことも推奨されています。
問題となるのは、今まで水いぼに対する保険適応となる決定的に「有効な外用剤は存在せず」、痛みを伴う水いぼ取り(軟属腫摘除)のみが唯一の保険適応の治療であることにあります。
※国内では、竹村ら(1983年)により217例の自然経過を観察した記録より、発症後平均6.5カ月(1~19カ月)で治癒したとの報告もあります。一方で、実際の臨床では、何もせずにいると1年以上治癒まで掛かる例もしばしば経験され、水いぼに対する「免疫を獲得するまでの期間には個人差が大きい」ものと考えられています。
水いぼ摘除について
《当院では軟属腫摘除(水いぼ取り)は現在行っておりません》
従来は標準療法として、少数の場合には「水いぼ専用ピンセット」を使って、ひとつひとつ多少の出血を伴いながら除去していくのが最も確実とされてきました。以前は,無麻酔で痛がる患児を抑えつけて「水いぼをむしり取って」いましたが、2012年からは痛みを軽減する麻酔入りテープ(ペンレスⓇ)が適応となり、痛みがある程度押さえられるようになりました。一方で、ペンレスを使ってもまったく無痛に出来るわけではなく、やはり恐怖で泣き叫ぶお子さんをご両親の協力をいただきながら、痛みと苦痛を伴いながら取るという行為自体は大きな変化がありません。

数がすくないうちは良いのですが、数が20~30個以上となると、「外来診療の中で一度に取り切ることは困難」であり、かつ潜伏期の問題もあるため「取っても取っても、また出来てしまう」という問題もありました。取ること自体は水いぼの数は減らせるのですが、本来「水いぼは免疫力がつくと自然に治る病気」のため、根本的に治している訳ではないのです。また、水いぼには潜伏期があり、かつ出来はじめの余りに小さな水いぼはつまみ取ることは難しいため、頻回の通院を必要としました。
当院で行っている治療について
① スキンケアの徹底+ステロイド外用等による湿疹の改善
水いぼは、アトピー性皮膚炎や湿疹がないお子さんでは余り増えることがなく、一方で皮膚科に通院されている湿疹のあるお子さんでは掻爬により容易に広がりやすい傾向です。乳児期の湿疹があったお子さんでは、「躯幹/四肢」の湿疹傾向が、5,6才くらいまで続くので、ちょうど水いぼができやすい年令と重なってしまうのです。
湿疹を放置すると、「掻爬による水いぼウイルスの飛散+バリア機能低下による感染を起こしやすい状態」が重なり、水いぼがどんどん増えてしまうことがあります。まず「保湿剤によるスキンケア+ステロイド外用剤」をしっかり行って「肌を良い状態にしておくこと」が水いぼを増やさないための最大の防御策となります。

水いぼ+湿疹の悪化を合併した場合には、どこが湿疹か水いぼか渾然一体となり「はっきり分からなく」なってしまうこともあります。理論上は水いぼはウイルス感染ですので「ステロイド外用剤を塗らない方がよい」のですが、「湿疹を治さないと水いぼが広がる」という事実から、はっきりしない場合にはまずは湿疹のある部位全体にステロイド外用剤+保湿剤を塗ってしまうように指導しております。
湿疹がなおってくると、水いぼのある部位が「小豆状」に残るため、水いぼがはっきりしてきた場合には、ステロイド外用剤を水いぼを避けて塗布した方が安全です。水いぼは治ってくると「免疫反応によって表皮から排除」されていくので、一見徐々に大きくなったようにみえますがご安心下さい。また、治りかけの水いぼでは発赤/化膿などの症状(BOTE徴候)を伴うことがあり、必要によって消毒や抗菌剤外用をつかいます。
② かゆみ止め内服+ヨクイニン内服
掻爬による水いぼの拡大予防のために、かゆみ止め内服(抗アレルギー剤)を飲んで頂いております。皮膚に突出物があると、つい気になって触ってしまったり、睡眠中に無意識に掻いてしまうことが水いぼが増えてしまう原因となります。
掻くこと自体は、皮膚に付着した異物や虫を除去するための一種の防御反応なのですが、水いぼ部分を掻き崩してしまうと、水いぼの中身=モルスクム小体(水いぼウイルスの塊)が周囲に飛び散って、拡大してしまうのです。

ヨクイニンは、ウイルス性疣贅によく使われるお薬ですが、「水いぼ」にも効果があるとされます。伝染性軟属腫に対するヨクイニンの有効性については、高橋ら(1987)、ヨクイニンエキス研究班(1987)、児玉(2016)らからの報告があり、とくにアトピー/湿疹を伴う群ではあきらかな有効性がみられたとの報告があります。
作用機序としては、①肌のターンオーバー(新陳代謝)を整えて、ウイルスを排出するのを助けます。②ウイルスに対する体の免疫細胞を活性化させて、イボに対する抵抗力をつけていきます(免疫賦活作用)。肌の炎症を抑える抗炎症作用/排膿作用があり、膿んだ水いぼの排出が期待出来ます。
ヨクイニンは、いわゆる普通の苦い漢方薬と違って、単一の生薬(ハトムギエキス)です。粉薬と粒状の薬があり、選ぶことができますのご相談下さい。味には苦味がなく、よく「米のとぎ汁様」のうすら甘い感じ(昔のお菓子のよう)とも云われます。味にご不安なご両親は一度ためしにお子さんの薬を少し舐めてみても良いかもしれません。
③ 伝染性軟属腫専用MB-Fクリーム
《当院隣のあおい薬局さんにて許可制で販売》
保険適応はないものの、最近3年ほど前より銀イオン配合の伝染性軟属腫専用クリーム「MB-Fクリーム」が合同会社3Aimsより医療機関等に限定で発売されています。当院では、近隣の「あおい薬局さん」にて取り扱っていただいております。

1日2回水いぼ部分にしっかり塗布すると、配合された「銀イオン」が水いぼ本体の「モルスクム小体」を壊死させることによって免疫力を賦活化させて、自然に治していく機序となっています。メーカーさんのデータとなりますが、3カ月塗布後では、8割以上の患児の水いぼが完治し、かつ自然に免疫をつけて治すために再発しにくいという特徴があります。
⇒MB-Fクリームについてこちら(近日公開予定)
現在当院では行っていない治療法
① 水いぼ摘除
⇒前記

② イソジン塗布+スピール膏
有効な外用剤がない時期には、保存療法として行われる事がありました。イソジンで殺菌し、サリチル酸絆創膏で水いぼの表面を軟化させて自然脱落を促進するとされます。
③ 冷凍凝固法
大きな水いぼをむしり取るのは痛いので、ウイルス性いぼと同様に液体窒素療法をつかって、凍結壊死させる治療です。
④ 硝酸銀ペースト外用
硝酸銀による腐食作用/殺菌作用を利用して、ペースト状にした硝酸銀を水いぼひとつひとつに塗布して水いぼを腐蝕する治療です。保険適応がないことと、正常皮膚に付くとヤケドや色素沈着などの合併症があります。
⑤ ベセルナクリーム外用(保険適応疾患対象外)
尖圭コンジローマに適応であるベセルナクリームを塗布して、局所の免疫を付けやすくする治療ですが、保険適応はありません。
⑥ カンタリジン外用
2023年にアメリカで承認された甲虫の体液を精製した軟属腫局所治療剤で、患部に水疱形成を生じる作用があります。約3カ月の治癒率は、40~50%程度とあまり高くありません。国内でも承認を受けていますが、1回分の薬価が1万5千円とたいへん高額で、「塗布に手間を伴う・局所に水疱/発赤/痛み」を伴うリスクなどから余り積極的に導入している医院はありません。
水いぼの予防・対策
現在、小児科を中心に「水いぼは自然に治るから何もせずに放置して良い・プールにそのまま入っても良い」という指導がなされることが多く、水いぼが沢山あるのに放置している患者さんが大勢います。そのため、水着以外は裸になるプールの季節では、お子さん同士で肌が触れあう機会が増え、うつる可能性が増えてしまいます。お子さん同士の日常生活やプールでの接触を完全に断つことはできませんので、知らない間に水いぼは感染してしまい、完全に予防する方法はありません。
但し、水いぼが感染したあとに、「アトピー性皮膚炎、小児湿疹」を合併した患児では水いぼの掻き崩しに加え、元々の皮膚炎/乾燥肌によるバリア機能低下があり、水いぼが増えやすい状態です。良くプールの時期の前には学校などで健康診断が行われ、とびひや湿疹/アトピー性皮膚炎などがある場合にはきちんと皮膚科に掛かって治しておくように指導があります。

プールの時期に水いぼは増えやすい傾向があり、かつ夏季により肌の露出も増える時期なので、アトピー/湿疹をきちんと良い状態にしておくことが、水いぼが拡大してしまわないようにできる最大の予防策とも云えます。
水いぼに市販薬は使えるの?
水イボ自体に直接有効な市販薬はありません。予防薬として使えるものとしては、市販のヨクイニンやハトムギ茶などを服用してもよいと思います。また、乾燥肌があると掻爬+バリア機能低下による水いぼが拡大する可能性が増えますので、お子さんの肌にあった市販の保湿剤を使うことは問題ありません。
また、水いぼが治ってくると大きくなる傾向があり、さらにBOTE徴候といって感染を伴うことが多くなります。赤みや腫れだけでなく、膿瘍をつくってうんでしまうこともありますので、その場合には市販のイソジン消毒や抗菌剤軟膏をつかって、ガーゼ等で覆ってもよいでしょう。
水いぼ良くある質問
水いぼはプールに入れますか?
日本小児皮膚科学会等による統一見解によると、「プールの水ではうつらない」のでプールに入っても構いません、となっています。一方で、水いぼは学校保健法上のその他感染症であり、学校の先生などには予防する義務があります。対応としては沢山あるときには処置をしておくことが決まりとなっており、最終判断は学校/保育園の先生の指示にしたがってください。
一方で、プールの時期には水いぼの患者さんが増えてしまうのは事実であり、統一見解の問題点は、「水いぼの治療の是非については何も触れていない」ことや周囲への配慮について述べていないことにあります。統一見解の考えの根底には、①水いぼは誰しも一回は掛かる病気であり、ある程度うつってしまっても構わない、②良性疾患であり全ての患児で拡大/悪化するわけではない、③水いぼは治ると終生免疫がつく病気であり一度掛かっておくべきである、という判断があるかと思われます。
水いぼがある状態で保育園でプールに入るためのマナーは?
保育園や学校の先生方にとっては、水いぼは「その他の感染症」であり、予防する義務がある病気です。通常では感染力は高くなく登園/登校まで制限されるものではありません。問題は、プールの時期には明らかに水いぼは増えてしまい、かつ小児科などで「未治療でプールに入って良いというパンフレット」をもらいお母さま方からプールにそのまま入らせろと強要されてしまうケースが問題を起こしています。学会による統一見解は、あくまで参考資料であり、学校に強制されるものではなく保育園/学校での施設の最終判断が優先されることに注意が必要です。
実際、水いぼが多量にあるお子さんがそのままプールに入り、そのあと自分の子に水いぼがうつってしまった親御さんからクレームになったというケースもお聞きします。誰しも感染することがある疾患が水いぼなのですが、保育園で無秩序に水いぼの患児が増えてしまうことは望ましく有りません。保育園の先生方は、水いぼが沢山あるお子さんは何らかの治療を受けてからプールに入る、患部を防水テープやラッシュガードなどで覆うなどの対応をして欲しいと考えているのです。
水いぼが一定数以上沢山できてしまったお子さんでは、プール管理者である保育園/学校の判断でプールを禁止とする判断をされる場合もあります。プールの水では水いぼはうつりませんが、一方で「タオル、ビート板の共用・肌の直接接触」で水いぼはうつるため、水いぼが沢山ある患児を別グループとしてプールに入れるなどの対応も考えられますが、現実的には様々な事情から困難となります。
小児科ではなぜ水いぼを取らないのですか?
小児科では、「水いぼは良性疾患」であり、「基本的には何もしなくても自然に治る病気である」という説明を受けて何もしないという対応をされることがよくあります。これには様々な事情・理由があるのです。
元来、「小児科=小児の内科」であり皮膚のことは専門ではないのです。規模の大きな小児科では、皮膚科の医師を依頼して小児科とは別に小児皮膚科という診療枠を設けている施設もあります。また、水いぼ摘除をおこなって「お子さんを痛がらせてしまう」とその後の通院や小児科医師とお子さんとの関係が悪くなることを危惧しているのです。お子さんに通院していただかないと小児科の運営が成り立たないという諸般の事情も「水いぼ取りをしない理由」と考えられます。
※一方で、水いぼを放置する医師がいる限り、新たな水いぼの蔓延を食い止められないという意見もある(三好;2018)
水いぼを何も治療しないとどうなりますか?
小児アトピーの有病率は、乳幼児期の1-5才で20%以上とされています。すなわちお子さんの8割弱は水いぼができても掻爬することなく時間が掛かっても治ってしまうことが多いと思われます。
一方で、皮膚科に通院されるような湿疹/アトピーが出来やすい20%に該当する患者さんでは、小児科に掛かり放置するように指導されて、未治療で数が数十個以上に増えてから皮膚科に掛かるケースもあります。国内の最短のものでは平均6.5カ月で自然治癒したという報告もありますが、自然治癒する期間には個人差が大きく最大2-3年掛かったという報告もあります。
過去には基本的に水いぼに対して有効な外用剤がなく、上記のように限りなく沢山増えてしまったケースをみた皮膚科医の多くは、未だ数の少ないうちに早めに摘除して置いた方が水いぼの数がコントロール出来て良かったのでは、と考えるようになりました。当方も過去に地方の派遣病院で、殿部~陰部に100個以上の数限りない沢山の水いぼが出てしまった赤ちゃんをみたことがあります。そのときに上級医の指示は、「もう何もできないから自然に治るまで放置するしかない」と云われたことを鮮明におぼえております。
⇒現在当院では、「MB-Fクリーム」をご購入していただき対応しております。
水いぼは取った方が良いのですか?
以前は、水いぼ摘除しか有効な治療法がなく、スキンケア指導+外用剤で肌の状態を整えつつ現在ある水いぼの数をなるべく減らすために「当院でも水いぼ摘除を行っていた時期」がありました。一方で、水いぼ摘除にはペンレスという表面麻酔のテープもあるのですが、完全に無痛にすることは困難で痛がる患児を両親にご協力を仰ぎながら、取る治療を行っていました。
一方で、水いぼには潜伏期があるため増えやすい時期には、「取っても取っても増えてしまうという問題」もありました。要するに水いぼ摘除をおこなって、そのままスキンケアで落ち着いてしまうお子さんもいれば、全身の掻き崩しがあると毎週終わりのない水いぼ摘除が続いてしまうという課題も残りました。
現在、当院では水いぼの外用剤としてMB-Fクリームを用いており、「取る治療は行う必要はない」と考えております。
水いぼがだんだん大きくなってくるのですが心配いりませんか?
水いぼは、初期は小さな丘疹として発症し、大きくなると中心に臍窩状の凹みがある小豆大のしこりとなってきます。水いぼは進行すると供に「大きさが増す」という経過をとり、かつ徐々に免疫がつくと表皮から排出されるため、やや突出したように見えてきます。これは水いぼの自然治癒経過なので、やや大きくなってくることはご心配はいりません。
なお、自然治癒の最終段階で免疫力がより強くなると、炎症や化膿をともない感染してしまうこと(BOTE徴候)も生じます。当院では、水いぼの患者さんに対して前もって抗菌剤外用を処方するようにしております。
水いぼで皮膚科を受診する目安は?
水いぼの数が少なく、湿疹の掻き崩しがなければ、「そのまま小児科」で経過をみてもらい、プールに入ってしまっても問題ないと思います。ただし、湿疹が小児科の薬でコントロールが出来なかったり、少しでも水いぼが増える傾向があれば、早めに小児科の先生には皮膚科を受診するようにご指導いただきたいと思います。
水いぼは確かに誰しも掛かる可能性が大きい疾患であり、かつ自然に治るのですが、周囲に移すことがある病気です。沢山あるときには皮膚科に早めに受診して、とくにプールの時には周囲に移さない配慮が求められます。
まとめ
水いぼは、幼少期に誰もが掛かることのある病気です。アトピーや湿疹を合併していない方では、①あまり数が増えず、②数ヶ月での自然治癒が期待出来るため、何もせずに自然経過をみるという選択肢もあります。
一方で、アトピー性皮膚炎や湿疹を伴うお子さんでは、①掻破により広がりやすく際限なく数が増えてしまうことがある、②自然治癒までに時間が掛かりQOLが低下してしまう、③多量に水いぼができたときに感染・化膿などを伴うリスクがある、などの理由から早期の対応が求められます。

治療の基本は、アトピー/湿疹の状態を良くしておくことに加え、以前は「水いぼ取りを早期に行う選択枝」しかありませんでしたが、MB-Fクリームなどの外用剤での治療の選択肢も選べるようになりました。当院では、水いぼ取りは行っておらず、乾燥肌の治療に加え「MB-Fクリームによる保存療法」をお勧めしております。なお、MB-Fクリームは医療機関限定での販売となるため、必ず診察を受けた上で「ご購入の指示書」を出しております。
小児科で「学会の決まりでプールは禁止されず、そのまま入ってしまって良い」と云われてしまいますが、学会の統一見解は「あくまで参考資料」にすぎません。たくさん水いぼがある方では、何らかの処置をしておくことが学校保健法上は求められています。患部を耐水テープで保護をする/ラッシュガードで覆うなどで周囲への感染拡大を防ぐ配慮が必要です。プールに入って良いかの最終判断は、プールの管理者である保育園/学校の先生の指示に従うようにしましょう。
※追記;水いぼに対する考え方は、担当医師によって変わります。小児科医師は湿疹を伴わない自然治癒するケースをみることが多く、皮膚科医師は水いぼを取らずに悪化するケースに遭遇することが多いため、そもそもの見ている母集団が違うのかもしれませんね。


