じんま疹

じんましんとは?

じんましんじんましんとは、「痒みを伴う、虫刺されの様なみみずばれ(膨疹)が突然あらわれ、数時間~半日で発作が治まり、その多くは跡かたなく消退するもの」と定義されます。ほとんどの方では、12週のあいだに痒みの発作が治まる急性蕁麻疹のことが多いです。人口の15~20%の人が一度は経験する病気であり、めずらしいことではありません。

治療を行わないと、悪化して全身に広がったり、顔面が腫れて呼吸困難を起こすこともあります。1ヶ月以上症状が続く場合慢性じんま疹と云いますが、原因が不明なことが多く、年余に渡り症状が続くことがあります。

症状は?

突然、激しい痒みが生じ、境界明瞭な地図状に隆起した膨疹・発赤が出現し、徐々に癒合して広がります。全身どこでも発生しますが、大腿部・腰回りなど擦れやすい部位・圧迫される部分に生じる傾向です。

ときに、粘膜面にも浮腫が生じて声が枯れたりしたあとに、呼吸困難を来します。皮疹が消えた跡に軽度の紅斑や湿疹様の局面が数日つづく場合もあります。

原因はなんですか?

マスト細胞より、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターが放出され、血管より水分が漏れ出て真皮内に浮腫を生じます(下図)。きっかけとしては、アレルギー性のものと、非アレルギー性のものに分類できますが、実際は原因不明のじんま疹が7~8割と言われており、特定のきっかけのない場合が多くなります。

細菌感染・物理的刺激・発汗・食べ物・ストレス・薬など様々な要素が関連することもあり、特定を困難にしています。

じんましんのメカニズム

じんましんが起こるメカニズム

診断はどうするの?

急に生じた膨疹などの所見から診断はつきやすいことが多いです。診察時に症状がなくなっている場合もおおく「どのような経過で生じたか?」・「実際の皮疹の写真を患者さんが撮影してくる」ことなどが参考となります。きっかけとなった事はないか?(食物・薬剤)の確認やアレルギー疾患の既往を問診します。こすった部位が赤く腫れる症状(=皮膚描記症)があることも参考になります。

一般的な血液検査(IgEアレルゲン)などでは誘因が分からない場合が多いので、初診でいきなり血液検査を行う事はありません。長引くじんま疹や症状が強い場合は、大学病院等にご紹介し精査をしていただく場合もあります。

さまざまな蕁麻疹の原因

蕁麻疹の原因となるもの

じんましんの種類は?

原因や症状によって特定の名前のつく病型もあります。

  1. 接触性じんま疹;ラテックスアレルギーなど
  2. 物理性蕁麻疹:寒冷・日光・機械的刺激など
  3. コリン性じんま疹;運動・緊張による発汗によるもの
  4. クインケ浮腫;口唇・眼瞼に好発する真皮下層の浮腫
  5. 食物依存性運動誘発性アナフィラキシー;特定の食物摂取後の運動負荷によるもの

 

治療はどうするの?

抗アレルギー剤の内服で、症状を抑えていくことが基本です。症状の強さや眠気の出やすさ(車の運転などに従事するか)などを考慮して、薬が選択されます。まずは、内服をしっかり行い膨疹が出ることを押さえ込みます

一端、治まったあとも1~2週間は皮膚が過敏になっており繰り返し症状が出てしまうことが多く内服を継続して「膨疹が出ない状態」にしておくことが大切です。

抗アレルギー薬

よく使われる抗アレルギー薬

 

一回目に処方されたお薬で治り切ってしまえば良いのですが、もしも症状が続くときには内服がきれる前に病院へいきましょうお休みの日に、薬を切らしてしまって放置しておくと症状が悪化する恐れがあります。

最近では、アレグラ・アレジオンなどの比較的眠くなりにくいアレルギー止めのお薬(OTC医薬品=国が市販化を認めた処方薬)が薬局で売られているので、病院での投薬がなくなったときには使っても良いでしょう。

予防で気をつけることは?

薬による治療をしっかり行うとともに、「疲れすぎ・ストレス」なども悪化するきっかけとなるので注意します。普段より良く休養を取るように心がけ、消化の良い食事をとるようにしましょう。

さば等の青魚・生の魚介類はアレルギーを起こしやすいので、避ける様にします。その他、生野菜・生そば等も控えて、きちんと火の通った食べ物の方がアレルギー反応を起こしにくいと言われます。

当院の考え

 じんましんの治療のポイントは、

  • 初期にしっかりお薬を飲んで症状を抑えること
  • 悪化時は、適宜増量して内服すること(通常倍量まで)
  • 発作を押さえ込んだ後にも内服をしばらく継続すること

    が大切となります。

     

    ここにも注意!

    じんま疹は、もともと擦れ易い部位・軽度の湿疹のある部位にも出来やすいケースが多いです。元々湿疹がある場合や掻き崩してガサガサとなっている時には「ステロイド外用剤」も必要となります。

    慢性化した場合には、根気よくお薬をつづけていくことが大切です。発症初期の半年間に「どのくらい良く発作をコントロールできたか?」が、その後の予後を決めるとされます。長引く場合には、「漢方による体質改善治療」を加えると症状が良くなる場合もありますのでご相談ください。

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