じんま疹

じんましんとは?

じんましん じんましんとは、「痒みを伴う、虫刺されの様なみみずばれ(膨疹)が突然あらわれ、数時間~半日で発作が治まり、その多くは跡かたなく消退するもの」と定義されます。ほとんどの方では、12週のあいだに痒みの発作が治まる急性蕁麻疹のことが多いです。人口の15~20%の人が一度は経験する病気であり、めずらしいことではありません。

 治療を行わないと、悪化して全身に広がったり、顔面が腫れて呼吸困難を起こすこともあります。1ヶ月以上症状が続く場合慢性じんま疹と云いますが、原因が不明なことが多く、年余に渡り症状が続くことがあります。

※令和8年3月治療法についての記載を追加しました!

じんましんの症状は?

 突然、激しい痒みが生じ、境界明瞭な地図状に隆起した膨疹・発赤が出現し、徐々に癒合して広がります。全身どこでも発生しますが、大腿部・腰回りなど擦れやすい部位・圧迫される部分に生じる傾向です。子どもにも、じんま疹はできることがあり、湿疹のできやすい目のまわりの皮膚や首回りなどに症状がでる傾向です。

 眼瞼やおでこ、口唇などに限定して高度の浮腫を来す状態「クインケ浮腫」もしくは限局性浮腫と呼び、蕁麻疹の一種とされます。治療はじんましんと同様ですが、蕁麻疹よりも皮下深くまでアレルギー症状が及ぶため、治るまで数日掛かる場合もあります。

 ときに、粘膜面にも浮腫が生じて声が枯れたりしたあとに、呼吸困難を来します(※アナフィラキシー症状)。皮疹が消えた跡に軽度の紅斑や湿疹様の局面が数日つづく場合もあります。

じんましんの原因はなんですか?

 マスト細胞より、ヒスタミンなどのケミカルメディエーターが放出され、血管より水分が漏れ出て真皮内に浮腫を生じます(下図)。きっかけとしては、アレルギー性のものと、非アレルギー性のものに分類できますが、実際は原因不明のじんま疹が7~8割と言われており、特定のきっかけのない場合が多くなります(特発性じんましん)。

 細菌感染・物理的刺激・発汗・食べ物・ストレス・薬など様々な要素が関連することもあり、特定を困難にしています。

じんましんのメカニズム

じんましんが起こるメカニズム

※ちなみに当院院長は、ケフラールという抗菌剤や消炎鎮痛剤を内服すると蕁麻疹(クインケ浮腫)がでます。

じんましんの診断はどうするの?

 急に生じた膨疹などの所見から診断はつきやすいことが多いです。診察時に症状がなくなっている場合もおおく「どのような経過で生じたか?」・「実際の皮疹の写真を患者さんが撮影してくる」ことなどが参考となります。きっかけとなった事はないか?(食物・薬剤)の確認やアレルギー疾患の既往を問診します。こすった部位が赤く腫れる症状(=皮膚描記症)があることも参考になります。

 一般的な血液検査(IgEアレルゲン)などでは誘因が分からない場合が多いので、初診でいきなり血液検査を行う事はありません。長引くじんま疹や症状が強い場合は、大学病院等にご紹介し精査をしていただく場合もあります。

さまざまな蕁麻疹の原因

蕁麻疹の原因となるもの

じんましんの種類は?

原因や症状によって特定の名前のつく病型もあります。

  1. 接触性じんま疹;ラテックスアレルギーなど
  2. 物理性蕁麻疹:寒冷・日光・機械的刺激など
  3. コリン性じんま疹;運動・緊張による発汗によるもの
  4. クインケ浮腫;口唇・眼瞼に好発する真皮下層の浮腫
  5. 食物依存性運動誘発性アナフィラキシー;特定の食物摂取後の運動負荷によるもの

 

蕁麻疹の治療はどうするの?

 抗アレルギー剤の内服で、症状を抑えていくことが基本です。症状の強さや眠気の出やすさ(車の運転などに従事するか)などを考慮して、薬が選択されます。まずは、内服をしっかり行い膨疹が出ることを押さえ込みます

 一端、治まったあとも1~2週間は皮膚が過敏になっており繰り返し症状が出てしまうことが多く内服を継続して「膨疹が出ない状態」にしておくことが大切です。

抗アレルギー薬

よく使われる抗アレルギー薬

 

 一回目に処方されたお薬で治り切ってしまえば良いのですが、もしも症状が続くときには内服がきれる前に病院へいきましょうお休みの日に、薬を切らしてしまって放置しておくと症状が悪化する恐れがあります。

 最近では、アレグラ・アレジオンなどの比較的眠くなりにくいアレルギー止めの市販薬OTC医薬品=国が市販化を認めた処方薬)が薬局で売られているので、病院での投薬がなくなったときには使っても良いでしょう。

じんま疹が治りにくい時の治し方

一般的なじんましんの対処法

 通常の急性蕁麻疹では、まず症状に応じて眠気のできにくい第二世代の抗アレルギー剤を使うのが一般的です。抗アレルギー剤の内服で症状が治まる場合には、消化のよい食事と過労を避けて良く体を休ませることも大切です。寒冷じんましんでは、寒さ刺激をさけることや、一般的に患部は温めすぎると悪化するので、入浴時はお風呂の温度を40度以下にするとよいでしょう。

※日本皮膚科学会じんましんガイドラインより引用

じんましんの外用療法は?

  局所外用療法として、保険適応のあるものは「レスタミン軟膏・オイラックス軟膏」などとなりますが、純粋な蕁麻疹のみの場合に多少有効です。一方で、皮膚科学会じんましんガイドラインでは「ステロイド外用」は治療法として推奨されないとされています。
 あくまで、実地臨床としてなのですが、「蕁麻疹と湿疹変化が合併する」ことは良くあることです。単なる蕁麻疹なのかベースに湿疹があり蕁麻疹が合わさり悪化しているのかを見極めて、必要な場合はステロイド外用・保湿剤なども併用した方が良いでしょう。

※注意点として他院で蕁麻疹と云われ、内服をかなり多く飲んでいる方で、皮膚症状をみると明らかに湿疹もあるのに、「必要量のステロイド軟膏」が処方されていないケースも散見されます。

抗アレルギー剤は増やして飲んでも良いの?

 上記の対応でも蕁麻疹が治りにくいときには、他の抗アレルギー剤を併用することもあります。但し、国内の保険適応上の問題で、2種類以上の第二世代の抗アレルギー剤を同時に処方することは出来ないので、「ポララミン、アタラックス」などの第1世代の抗ヒスタミン剤を処方することとなります。問題点としては、眠気が出やすい事になり、安全上の理由で車の運転は控えた方がよいです。
 一方で、国際ガイドラインでは他剤の追加よりも単剤での内服の増量が推奨されています。その点で1日2回投与の内服の方が1日2回を3回内服に増量する、症状に応じて眠気に注意して1回に2錠内服するなどの調整がしやすいと云えます。また、増量時の問題として日中眠くなる場合には、内服する時間をずらしたり、朝に2分の1錠に減量するなどの調整はしていただいても構いません。

※問題点として、通常は内服処方は30日分としているクリニックが多いため、お薬が早めになくなってしまう場合には、早めのタイミングで医院に掛かり処方箋をいただくか、市販の抗アレルギー剤(アレジオン、アレグラ、クラリチン等)を買って内服するようにしましょう。

※特発性じんま疹に対する薬物治療チャート(じんましんガイドラインより抜粋)

じんましんが治りにくい場合に使う併用薬

 抗アレルギー剤の増量・内服の調整でじんましんが収まらない時には、H2 拮抗薬(H2ブロッカー)や抗ロイコトリエン薬の併用を行うと即効性は高くないものの、蕁麻疹のかゆみが制御される場合があります。その他の補助的な治療薬として、トランサミン・グリチロン、ノイロトロピンなどが試されることがあり、難治例では漢方薬の併用も行って良いとされます。
  蕁麻疹の急激な悪化には、短期間のステロイド内服が使われる場合がありますが、長期の連用は避けた方がよいでしょう。
※当院に通院されている患者さんでは、「H2 拮抗薬や抗ロイコトリエン薬の併用」はかなり効いているイメージです。

大学病院等へ紹介すべき蕁麻疹は?

 上記の対処でも難治の蕁麻疹では、大学病院等で抗IgE抗体(生物学的製剤)であるゾレア皮下注射免疫抑制剤(シクロスポリン)などが用いられる場合が有り、必要に応じて近隣の大学病院皮膚科へご紹介しております。国の方針によって紹介状を持たずに大学病院や総合病院へ直接いってしまうと、選定療養費7700円以上が必ず掛かりますのでご注意ください。

予防で気をつけることは?

 薬による治療をしっかり行うとともに、「疲れすぎ・ストレス」なども悪化するきっかけとなるので注意します。普段より良く休養を取るように心がけ、消化の良い食事をとるようにしましょう。内服薬によって充分に蕁麻疹がコントロールされた場合には、いきなり内服をやめることは避けて「1日2回であれば1日1回に減量する」、「1日1回から2日に1回に間隔を開ける」など徐々に内服量を様子を見ながら減らした方がよいでしょう。

 蕁麻疹で控える食べ物としては、さば等の青魚・生の魚介類はアレルギーを起こしやすいので、避ける様にします。その他、生野菜・生そば等も控えて、きちんと火の通った食べ物の方がアレルギー反応を起こしにくいと言われます。

じんましんへの当院の考え

 じんましんの治療のポイントは、

  • 初期にしっかりお薬を飲んで症状を抑えること
  • 悪化時は、適宜増量して内服すること(通常倍量まで)
  • 発作を押さえ込んだ後にも内服をしばらく継続すること

    が大切となります。

    ここにも注意!

    じんま疹は、もともと擦れ易い部位・軽度の湿疹のある部位にも出来やすいケースが多いです。元々湿疹がある場合や掻き崩してガサガサとなっている時には「ステロイド外用剤」も必要となります。

    慢性化した場合には、根気よくお薬をつづけていくことが大切です。発症初期の半年間に「どのくらい良く発作をコントロールできたか?」が、その後の予後を決めるとされます。長引く場合には、「漢方による体質改善治療」を加えると症状が良くなる場合もありますのでご相談ください。

    ※参考文献;日本皮膚科学会じんましんガイドライン2018年
    https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/urticaria_GL2018.pd

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