※ご注意ここから先はあくまで当方が過去の文献アトピアクリニックの公開している資料をもとにした推論であり、MB-Fクリームの効果・有効性を保証するものでないことをご理解の上で、お読み下さい。

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銀イオン配合抗菌軟膏の作用について詳しく解説

銀の殺菌効果について

 銀の殺菌効果については、古代ギリシャ/ローマ時代にさかのぼり「銀の壺」水を保存しておくと腐敗を防げることが知られていました。また、古代のインドでも兵士の遠征などで銀の容器に飲料水を保存して食中毒などを防いでいたとの記録があります。

銀イオンの発見

 19世紀初めに、インドから始まったコレラ感染症は、瞬く間にヨーロッパに広がり猛威をふるいました。特に河川の水を使った人々にコレラが流行したため、河川の汚染とコレラの関係を人々が研究を重ね、1883年ドイツの細菌学者ロベルト・コッホ「コレラの原因菌はコレラ菌であること」を発見しました。

 その後、様々な上水道の殺菌法が研究され1929年にはドイツのG・クラウスが、水中に溶出した微量の銀イオンが、水の中の微生物を殺菌することを見つけ出し、その後に飲用水に応用する装置も考案しています。

銀イオンの細菌/ウイルスに対する高い抗菌・殺菌効果

 銀イオン(Ag+)は、アメリカのアリゾナ大学をはじめとする国内外の研究機関で、「650種類以上の細菌・ウイルス・真菌」に対する強力な抗菌効果数ppmの低濃度で発揮することが報告されています。論文報告を検索すると、新型コロナウイルス・耐性ブドウ球菌・インフルエンザウイルスなど様々な細菌/ウイルスに対し不活性化する効果が確認されています。作用機序としては、銀イオンが細菌などの細胞膜に付着してタンパク質を変性/不活性化して破壊し、死滅するとされます。

 銀イオンの安全性についても人体への影響が少なく、昔から銀食器として使用されたり、古くはヨーロッパでは水道水の消毒に用いられていました。また、仁丹などの皮膜や、ケーキなどに使われる銀色の装飾にも食品添加物として使用されています。国内/アメリカの飲料水の水質基準でも銀に対しては指標値がなく問題ないものと考えられています。銀を非常に多量に摂取した場合には「銀沈着症」が生じるケースがありますが、グラム単位の銀を複数回/数年以上投与した場合のみとなっています。

銀を含んだ医薬品/スキンケア製品は?

 銀を含有した医薬品として、まず名前が挙がるのが熱傷治療などに使われる「ゲーベンクリーム」でしょう。ただし、元々イオン化されている訳ではなく、創傷面に銀が接触することで分解されて「銀イオン」が放出されて殺菌力を発揮します。ゲーベンクリームは有効成分「スルファジアジン銀」を1%含んでおり、純銀換算で3g/kgとなっています。全身熱傷などでは、ゲーベンクリームを毎日400g以上体表面に使用(銀として1.2g)すると徐々に血中銀濃度があがるというデータがあります。

 創傷被覆材としては、アクアセルAgが有名ですが、成分として「銀イオン」を含んでおり、創部に触れることでわずか約1 ppmという低濃度で細菌を迅速に不活性化します。

 市販の汎用品としては、Ag⁺マスク除菌シート、銀イオンを使用した除菌スプレー、銀イオン水を用いたニキビ用美容液「銀の雫」、クリーンAg+ 銀精など環境の除菌から肌につけるニキビ用のものまで様々なものが挙げられます。

銀イオンの生成法

 銀イオンの主な生成法法には、3通りあります。①純銀を水に浸して作る「自然溶出法」、②水中に銀の電極を浸して、弱い電流を流して溶出させる「電気分解法」、③化学反応を使って銀イオンを生成する「化学反応/薬剤添加式」となっております。しかし従来の銀イオンには非常に不安定な性質があり、高い除菌/抗菌力がある一方で還元されると沈殿・変色などをおこすという弱点がありました。

安定銀イオンの作成技術

 高濃度・安定型銀イオンは、海外や国内各社で独自技術を持っているようです。JTS(株)が開発したジュエルシルバーは、水溶液中で銀イオンを安定化させる独自技術であり、「特許第5377003号」として2013年に登録されています。従来、沈殿や変色をおこしやすい銀イオンを、酸化銀とフィチン酸+キレート剤の組み合わせで水中で安定させることに成功したそうです。

 なお、MB-Fクリーム開発者の稲葉医師のブログでは、使用している高濃度・安定型銀イオンの生成メーカーは非公開となっておりますが、3年ほど活性が保たれるとの記載があります。

銀イオン配合保湿クリームの開発

 稲葉医師のブログや発表論文を検索すると、時系列的にはじめに高保湿効果のあるサクラン軟膏が開発されて、その後に銀イオンの配合軟膏の研究に進んだようです。

 当初は、銀イオンが各種ウイルスに有効性があることから、いぼ(尋常性疣贅)の治療に用いてみたそうですが、まったく効果がみられず、次に水いぼに用いたところ良好な結果が得られ、2016年2月に開催された第79回日本皮膚科学会東京支部学術大会での「銀イオン配合抗菌軟膏の伝染性軟属腫への臨床応用」として発表されました。

 ここからは著者の想像となってしまいますが、稲葉医師は銀イオン配合軟膏の効果を確信し「論文執筆や大学病院などへの研究依頼」なども行っていたのではないかと思います。ただし、大学での研究採用には倫理委員会の承諾が必要であったり、論文にするためには査読と云って他の学会担当委員の許可が必要となります。

 はじめにMB-Fクリームを発売した3Aims(スリーエイムス)の代表社員の方は二神嗣雄氏であり、実はアトピアクリニックと同じ熊本市にある二神ガスの社長さん(代表取締役)となっております。住所を見ますと、3Aims社は二神ガスさんの敷地内にあり、稲葉医師は地元つながりで有志の協力を仰ぎ販売までたどりついたのではと考えられます。

 MB-Fクリームの製造会社である(株)トレミーさんは、府中に本社をおき九州唐津に工場をもつ化粧品のOEMメーカーのひとつです。外部からの化粧品企画/作成にも応じており、MB-Fクリームが3Aimsから岩城製薬グループの「イルセラ」に販売移管されたあとも製造販売元は変更がありません。
二神ガスhttps://futagami-gas.com/company/

銀イオン配合抗菌軟膏に配合されている「サクラン」について

 MB-Fクリームのパンフレットには、強力な保湿成分であり、かつ抗炎症作用も報告されている「サクラン」を配合したクリームです・・・とあります。当初は何も考えることなく、MB-Fクリームの効果を信じて使っていたので、当方は「サクラン」を香辛料などに使われる「サフランと勘違い」していました。

 サフランは、アヤメ科の多年草から取れる赤いめしべ部分であり、血行促進作用や通経作用があり、冷え症や婦人病のくすりとしても使われます。「サクラン」は、「サフランやサクランボ」とはまったく異なる希少な淡水藻から採取される「超高分子量多糖類」のことを指します。

サクランの原料・スイゼンジノリとは?

 サクラン(sacran)とは、日本の九州地方の限られた地域(熊本県・福岡県など)の清らかな淡水のミネラルを豊富に含む河川に自生する、光合成微生物である淡水藻「スイゼンジノリ」から抽出された硫酸化多糖類です。平均分子量が1000万〜2900万という非常に巨大な「超高分子量多糖類」で、かつ天然物からの抽出物としては史上最大級の高分子となっており、サクラン1gあたり、「6リットルの水(自重の6000倍)」を保持する驚異的な保湿力・高い親水性を持つとされます。サクランの保湿力は、保湿剤として有名なヒアルロン酸の約5~10倍とされています。

 「スイゼンジノリ」は、オランダの生物学者Suringer熊本県の水前寺/江津湖で見い出した日本固有の淡水藍藻で、 水前寺海苔の育つ美しい湖水の環境に感銘を受けて「Sacrum(神聖な)」という学名がつけられました。日本固有の食用藍藻類であるスイゼンジノリ(水前寺海苔)は別名「川茸」の名でも珍重され、江戸時代には幕府への高級食材として献上された伝統的な食材です。胃腸に良いと言われ健康食品としても扱われ、吸い物や刺身のつま、和え物としても味わえます。

 現在、スイゼンジノリの野生株は絶滅危惧 IA種に指定され、自生が確認されているのは福岡県朝倉市の黄金川のみです。絶滅の危機をさけるために、熊本県の地下水や福岡県の湧き水などでの養殖/室内での人工栽培技術が確立されてきました。

「サクラン」の発見

 サクランは、2006年北陸先端科学技術大学の研究者岡島麻衣子氏により発見されました。スイゼンジノリ(Aphanothece sacrum)が極めて大量の細胞外マトリックスである寒天状物質を分泌することに着目して、この寒天用物質・サクランの抽出に成功しました。ちなみに、サクランという命名はスイゼンジノリの学術名であるAphanothece sacrumの語尾に多糖類の意味をもつ「-an」をつけたものです。

 その後も各研究者により開発が進められ、保湿剤(SACRUM ALGAE・ライフセラ ダーマボーテ等)や高保湿性の新繊維サク・レなどに応用されています。

 なお、サクランはその製法などに関して特許(特許第4066443号 など)が取得されております。現在、サクラン(SACRAN)を製造する中心となる企業は熊本の「グリーンサイエンス・マテリアル株式会社」であり、2007年北陸先端科学技術大学と共同研究契約を締結しています。グリーンサイエンス・マテリアルは、九州地方固有の稀な藻類である「スイゼンジノリ」の保護/養殖から、「サクラン」の製造/販売までを一貫して行ってるそうです。

担当者よりのひと言

 昆布・藻と聞くと、創傷治癒に使われるアルギン酸塩(ソーブサン/カルトスタット等)を思い出してしまいます。アルギン酸も、昆布などの褐藻類から採取される天然の多糖類です。サクランと同じく保水性と粘性をもつのが特徴で、医療分野では創傷被覆材として使われてきました。イギリスの北海の漁師さんは、傷口の応急処置として、新鮮な昆布を巻いて治していたとの逸話も残っています。

 この伝統的な治療法は、海藻から抽出された「アルギン酸塩ドレッシング剤」として、①水分を吸収するとゲル状になり湿潤環境を保持する、②アルギン酸のカルシウムイオンが止血促進作用を持つなどの特徴から現在も医療現場では傷口/創傷治癒の目的で、非常に有効な選択肢のひとつです。

サクランの医療分野への応用

 サクランに関する文献を調べると、
①予防医学としてのサクランの可能性(総説);弘田 、Ngatu N、岡島ら(2013高知大)
②アトピー性皮膚炎に対するサクランの抗炎症作用(総説);有馬ら(2018熊本大)
③創傷被覆材としてのサクランハイドロゲルの有効利用(総説);本山ら(2018熊本大)
など多数の会議録、論文がみつかります。

 論文中「サクラン」比類の無い水分保持効果、皮膜形成力、さらには抗炎症・抗かゆみ効果をもつことが明らかになったとされています。創傷被覆材としての可能性も検討されており、皮膚創傷モデルに対し、サクランハイドロゲルフィルム(Sac-HGF)は湿潤環境を保つことで治癒を促進したとされます。

 以上、多数の学会報告市販の保湿剤としての利用は多く見られるのですが、残念ながら医薬品として実用化されることはありませんでした。医薬品としての承認には、複雑な申請や臨床治験などをクリアする必要があるため、まずは市販の新規の高保湿成分を含んだクリーム等としてサクランが世にでたものと思われます。

サクラン配合軟膏の臨床応用への道のり

 アトピアクリニックの稲葉医師のホームページをはじめにみたときには、単独で熊本県に自生するスイゼンジノリに着目し、サクラン軟膏を作ったものと考えてしまいました。今回、改めて「サクラン」について調べた結果を時系列にしてみると、なぜ熊本にあるアトピアクリニックでサクラン配合軟膏が作られたか?、さらに銀配合クリームの作成・市販に至ったか、少しずつ謎が解けていきます。

 サクランの発見から地元企業での「スイゼンジノリの完全養殖」、熊本大学での研究報告、さらにアトピアクリニックでの臨床研究報告を調べると以下の通りとなります。


① 2006年北陸先端科学技術大学・岡島麻衣子氏(熊本出身)によりサクランの抽出/発見
② 2007年グリーンサイエンス・マテリアル株式会社・池田竹雄氏により会社設立
・北陸先端科学技術大学院大学と共同研究契約を締結
サクランの物質・製法特許取得(特許第4066443号)
③ 2010年東海大学阿蘇キャンパス・椛田聖孝教授により「スイゼンジノリ」の人工増殖に成功
④ 2016年5月新規硫酸化多糖類サクラン及び銀イオン水配合ワセリンの臨床応用における有用性の検討(会議録)
稲葉葉一医師と岡本麻衣子氏の連名によって学会報告される
⑤ 2016年6月銀イオン配合軟膏の伝染性軟属腫への臨床応用(会議録)
・稲葉葉一医師により学会報告
・アトピアクリニック倫理委員に江川清文医師も参加
⑥ 2018年合同会社3Aims(スリーアイムズ)設立・代表二神嗣雄氏(二神ガス社長)
MB-Fクリームを発売/スキンケア関連商品の研究・開発および販売を展開
⑦ 2018年アトピー性皮膚炎に対するサクランの抗炎症作用
 2018年創傷被覆材としてのサクランハイドロゲルの有効利用
・上記の論文が熊本大と岡島麻衣子氏/グリーンサイエンス・マテリアル協力のもと発表され、同様の報告が全国の大学から相次ぐ
⑧ 2022年グリーンサイエンス・マテリアル株式会社によりスイゼンジノリの屋内量産培養技術が確立
・現在、スイゼンジノリ養殖/サクラン抽出、さらに世界規模で素材供給/製品化事業を行う
⑨ 2024年硫酸化多糖類サクラン配合軟膏の臨床試用における有用性の検討(原著論文)
・稲葉葉一医師と岡本麻衣子氏の連名

銀イオン含有サクラン軟膏・開発のまとめ

 以上をまとめると、2006年に北陸先端科学技術大・岡島氏が「サクラン」を発見し、翌年の2007年に熊本にグリーンサイエンス・マテリアル社スイゼンジノリの培養・量産目的で設立された。さらに2010年に東海大教授・椛田氏スイゼンジノリの培養に成功し、スイゼンジノリ人工増殖の体制を整えていった。

 一方で、「スイゼンジノリ量産体制」の数年後には、アトピアクリニックの稲葉医師とサフラン発見者である岡島氏は共同でサフラン・銀イオン配合軟膏の開発・検討を行い2016年に日本皮膚科学会にて報告をおこなっています。「銀イオン配合抗菌軟膏の伝染性軟属腫への臨床試用」として、稲葉医師からも伝染性軟属腫への銀イオン軟膏の有用性が報告されています。

 2018年になると熊本大をはじめとしてアトピー性皮膚炎に対するサクランの抗炎症効果、創傷被覆材としての可能性が各大学から報告が相次ぐのですが、同年には3Aims社は設立され「MB-Fクリーム」は同時期にすでに発売されているのです。

 さらに、2024年には、硫酸化多糖類サクラン配合軟膏の臨床試用における有用性の検討(原著論文)が稲葉葉一医師と岡本麻衣子氏の連名によって報告されており、稲葉医師とサクラン開発者の岡本氏は共同で長い間研究を行っていたものと考えられます。事実として、アトピアクリニックのホームページの資料内にも「岡本麻衣子氏」より提供されたスイゼンジノリおよびサクラン画像が掲載されています。

稲葉医師のサクラン/銀イオンに関する資料

①サクラン銀軟膏/説明動画資料
https://www.youtube.com/watch?v=8flQLQ_cAKE

②銀配合クリーム説明動画
https://www.youtube.com/watch?v=JnjUTMonGdg

③銀について|成分情報;稲葉医師のホームページ
https://atopia-clinic.jp/featured/ag-ion/

銀イオン配合抗菌軟膏の組成やサクラン・銀イオンの配合は?

M-BFクリーム配合成分

水、ワセリン、ステアリルアルコール、PG、PEG-60水添ヒマシ油、酸化銀、スイゼンジノリ多糖体、ステアリン酸グリセリル、1,2-ヘキサンジオール、フェノキシエタノール、アルギニン、フィチン酸、クエン酸、クエン酸Na


 以上、現在の発売元の岩城製薬イルセラグループの担当者から伺った内容となります。ここで問題になることは有効成分である「サクランおよび銀イオン」どの程度含まれているのか?ということではないでしょうか・・・

 3Aims社の医療機関向けパンフレットには、銀イオンの濃度については記載がありません。医薬品の有効成分は、法律によってどの程度の割合なのか正確に表記することが厳格に定められています。

 じつは、MB-Fクリームは先に述べたように「医薬品ではなく化粧品扱い」なので、正確な成分配合割合の表示義務がありません。一方で、法律によって「全成分の配合量の多い順」での記載が定められています。問題となるのは、配合割合が1%以下のものは順不同でよいというルールがあるため、一般的な有効成分は1%以下の枠にはいってしまうことです。配合割合の多い基剤となる水、ワセリンなどが先頭に表示される傾向があります。

 ここで参考となるのが、アトピアクリニックで公開されているサフラン・銀イオン軟膏の試用段階での配合情報です。稲葉医師の学会発表から抜粋したスライドには「サフラン0.5%に銀イオン20ppm」を配合した旨の記載があります。学会報告通りの成果をだすためには、この原法通りの割合でMB-Fクリームが作られたものと考えられます。

 一般的な化粧品扱いのものに配合される「サクラン(スイゼンジノリ多糖体)」の割合が、0.05%~0.2%程度が目安であるのに比べて、非常に高濃度にサクランが配合されていることがわかります。試用段階のまま製品化したとすると、MB-Fクリーム1g中にサクランが5mg配合されることになり、自重の6000倍の水分を保持するとする前提からMB-Fクリーム1g あたり30gの保水力を持っていることとなります。

 また、銀イオンの配合が20ppmという前提は、緑膿菌やMRSAに対して10ppmの銀イオンで0分以内に抗菌効果が認められたことを根拠としています。

 MB-Fクリームの成分表をみると、銀イオンではなく「酸化銀」となっています。いっけん「あれっと」思ってしまいますが、よく読み解くと、前半にでてきた安定型・高濃度銀イオンのもとが「酸化銀とフィチン酸+キレート剤(クエン酸)の組み合わせ」であったことから、これらを電気分解すると安定型・高濃度銀イオンができるということだと思われます。

銀イオン配合抗菌軟膏がどのように作用するのかの考察

 銀イオン配合抗菌軟膏の中には「サクラン」が0.5%含まれていると考えられますが、一方でサクランは「スイゼンジノリ1kgから6gしか取れない」非常に希少な天然成分です。一般的な市販の美容液・保湿に配合されるサクランの濃度は「0.001% ~ 0.01%」とされておりますので、銀イオン配合抗菌軟膏の中には非常に高濃度のサクランが配合されていることになります。そのかわりに塗り心地がやや重たい感じとなっております。

① サクランに期待される作用機序

ヒアルロン酸の5~10倍非常に強力な保湿/保水作用がある
・サクランが皮膚表面に隙間なく網目状の被膜形成をして強力な皮膚保護作用
・ヒドロコルチゾン酪酸エステル(ロコイド)=ステロイド外用剤と同程度の抗炎症作用
・湿疹/皮膚炎に対して非常に高い有効性(83.8%)=副作用のない安全な湿疹・皮膚炎治療薬

★サクランは、学会/原著論文で報告された肌に良い成分(強力な保湿/保護作用・抗炎症作用)ですので、水いぼ周りにしっかり塗布しましょう

② 銀イオンの期待される作用機序

・一般的な生活環境での抗菌・ウイルス抑制には 1〜10 ppm
細菌の抑制には、わずか 0.01 ppmという極めて微量な濃度で効果
高い殺菌・抗菌効果を求める場合には、1 ppm ~ 10 ppm 程度の濃度が一般的に利用
・稲葉医師が研究機関に依頼した結果、緑膿菌/MRSAともに10ppmで殺菌効果
  と極微量でも優れた抗菌効果を発揮し、安全性が高いのが銀イオンの特徴です。

★銀イオン配合抗菌軟膏に配合された銀イオン20ppm医療用に使用される高濃度レベルのものであり、稲葉医師の試用によると水いぼウイルスの殺菌に充分な効果が得られたとされます。
 大きな水いぼには、やや広めにしっかり塗り込んだ方が利き目がよいと思われます。

肌のバリア機能を高め、水いぼの自然免疫を誘導する銀イオン配合抗菌軟膏

水いぼの自然治癒経過は?

 水いぼに対する銀イオン配合抗菌軟膏の作用機序を理解するには、水いぼの自然治癒経過を知る必要があります。皮膚科における水いぼ治療の基本は、アトピー/湿疹を掻き崩してしまうと水いぼも悪化してしまうので、①適切な強さのステロイド外用剤保湿ケアに加えて、②水いぼが化膿したときには細菌感染に対する対処も必要です。

 水いぼを治す前提として、水いぼができた周りの皮膚を良い状態にしておくという意味でサクランが配合された銀イオン配合抗菌軟膏は「非常に理にかなった外用剤」であると云えます。

 水いぼ皮膚の小外傷/毛穴などから感染するとされ、はじめは毛穴との区別が付きにくいとされます。大きくなってくると、つやつやした丸いドーム状の丘疹となり、中心部分に臍窩と呼ばれる凹みができることも外観上の特徴です。通常は炎症を伴いませんが、治るにしたがい周囲に湿疹反応(モルスクム反応)を伴ったり、大きさが増すに従い、免疫がつくと皮膚から排除されるように突出してきます。

 水いぼが進行すると、①ひとつひとつの丘疹が大きく育ち、かつ②免疫がついてくるに従い表皮から排除され突出し、③さらに進行して終わりが近づくと化膿/炎症を併発して赤くなる傾向があります。伝染性軟属腫には、遺伝子コードに宿主の免疫から逃れる要素(免疫からの逃避)があるとされますが、症状が進行するにつれて徐々に免疫がつくと、上記の反応が順に現れます。

 とくに段階③の強く発赤/炎症を起こし、伝染性軟属腫が皮膚から排除されるしくみを「終わりのはじまり徴候=begin of the end sign(BOTE徴候)」と呼びます。このBOTE徴候がでるまで(=免疫がつくまでの期間)には個人差があり水いぼが自然に治るまでに6カ月~1年以上、人によっては2,3年掛かると云われる理由となります。

銀イオンが水いぼウイルスに効果がある訳は?

 稲葉医師のブロクで「銀の抗ウイルス作用」について、
1. ウイルスと表皮細胞との結合を物理的に阻害する
2. ウイルスのタンパク質に結合し、ウイルスの構造を変性し増殖を阻害する
3. ウイルスの遺伝子材料を酸化/損傷させて生存能力を減少させる
のではと述べています。

 銀イオン配合抗菌軟膏を使用すると、水いぼ中のウイルスを不活性化し壊死に陥らせるため「自然経過をみると半年~1年以上」治るまで掛かってしまう、水いぼの自然治癒過程を8割強の患者さんで3カ月以内に短縮する効果があるとされています。水いぼは湿疹のコントロールが悪く、数が広がってしまうと「終わりのはじまり徴候」であるBOTE徴候が酷くなり、全身の水いぼが一気に炎症・化膿してしまうこともあります。

水いぼが悪化時はどうなるの?

 水いぼが悪化して数が増えて広がってしまうと、
① 水いぼ摘除だけでは数が増えすぎてしまい対処できなくなる
② 多数を摘除するには痛みや出血を伴い患者さんの苦痛を伴う
あまりに数が増えてしまうとプールに入れないと判定される
④ 水いぼ周囲の湿疹反応(モルスクム反応)により湿疹が余計に悪化する
⑤ 取っても取っても、自然免疫がつくまでは同じ症状を繰り返す
見た目も悪く患者さんのQOLが低下する
⑦ 治るときに炎症が強く起きて痛みや化膿の悪化するリスクが大きくなる
など多くのデメリットがあります。

銀イオン配合抗菌軟膏はどのように効いているか?

 銀イオン配合抗菌軟膏を使うメリットは、

①銀イオンによって水いぼ本体を壊死/不活性化することに加えて、
②壊死した水いぼに対して免疫反応が起こりやすくなり「自然経過より早く抗体」ができる、
③元来、免疫逃避が起きて免疫がつくまでに時間が掛かってしまう水いぼの治癒期間を短縮させる、
④終わりのはじまり徴候であるBOTE徴候を早く生じさせる、
⑤結果としてあまり数が増えない内に水いぼが寛解する、
⑥さらに水いぼには潜伏期があるとされるが銀イオン配合抗菌軟膏を周囲に広めに塗ることで見えないできたての水いぼにも効果を発揮する、
⑦万が一、今ある水いぼを掻爬してしまっても水いぼ本体のウイルスが不活性化されて広がりにくくなる、
⑧銀イオンのみでなく、強力な保湿/保水作用+マイルドクラスのステロイドと同等の抗炎症効果をもつ「サクラン」を含有することによって水いぼが治りやすい環境を作る

など多くの機序が考えられます。

銀イオン配合抗菌軟膏がさらに効果的な理由は?

 銀イオン配合抗菌軟膏水いぼ治療に向いている理由はさらにあると考えております。すなわち水いぼ摘除をして「数をへらすこと」はできても、また水いぼが再度出来てしまうことは頻繁に経験し「決して免疫がついている訳でない」という事実があります。

 部分的に水いぼを短期に壊死に陥らせる治療法としての①液体窒素療法、②硝酸銀ペースト塗布、③ワイキャンス(カンタリジン=水疱形成薬)では、壊死した水いぼがすぐに取れてしまい免疫がつきにくい、さらに見えない小さなできたての水いぼには治療ができないなどのデメリットがあります。

 一方の銀イオン配合抗菌軟膏では、塗布を水いぼ全体に広めに行うことにより、①患者さんの皮膚に取り付いた水いぼ全体が徐々に少しずつ壊死に陥ることで免疫反応が起きやすくなり、②壊死/不活性化した水いぼがすぐに取れずに長い期間継続して皮膚に接した結果として水いぼに対する抗体産生が早く生じる、③水いぼ自体を不活性化して自然免疫力がつく治療法なので再発しにくくなるのでは、と考えております。

 すなわち水いぼに対する免疫(抗体)をつけるには、ある一定期間以上皮膚に水いぼを接触させておくことが必要なのです。

 当院はウイルス性いぼの治療も得意としており、いぼが治るときには患者さんの免疫がつくため一気に治ってしまう事は良く経験されます。銀イオン配合抗菌軟膏は水いぼを徐々に壊死に陥らせることによって水いぼに対する免疫反応を誘導する理想的な治療法であると思われます。

 本当はどこかの大学病院などの研究施設で検討していただき、①銀イオン含有クリーム塗布時の水いぼの壊死の様子を電顕で観察したり、②水いぼの自然治癒過程との差を抗体価を計って検討いただくと、より効果があることが証明出来たり、論文が書けるかなとも想像してしまいます。

結論;銀イオン配合抗菌軟膏現在考えうる水いぼの理想的な治療法であり、かつ免疫がついてくるとBOTE徴候がみられることも多く、全体の水いぼがすべて同時に治ってくる現象がおきます。

銀イオン配合抗菌軟膏の有効性は? /ワイキャンス・自然治癒との比較

 学会報告された銀イオン含有クリームの有効率3カ月塗布で81%治癒とされています。一方で、令和8年2月に新規の水いぼ治療として既に米国で承認されているカンタリジン(ワイキャンス:鳥居薬品)が保険適応となりました。

 カンタリジン甲虫から抽出された成分「表皮のデスモゾームを脆弱化し、構造を壊す」ことによって塗布部位に水疱形成を生じさせるお薬です。3週おきに4回塗布(約3カ月)した患者さんの40~50%が治癒したとされます。水いぼを壊死させることによって免疫も誘導されるとしています。保険適応で最大8回まで塗布することが可能です。水疱形成薬ですので、水いぼとはっきり分かる大きな水いぼを摘除する方法ですが、できたての小さな水いぼすべてに塗布することは困難と考えられます。

 また、使用時の副作用としては、適用部位の小水疱(95.7%)、痂皮(90.2%)、紅斑(87.9%)、疼痛(79.7%)、掻痒感(70.3%)、びらん(62.5%)、変色(55.9%)、皮膚剥脱(35.5%)、浮腫(22.7%)とかなりの皮膚へのダメージがあることに留意が必要です。

ワイキャンスの有効率は?

 ワイキャンスの有効率は、3カ月弱で4~5割程度の治癒とされています。たしかに、大きな水いぼの摘除には有効性があると思われますが、注意が必要なことは「水いぼは根本的に免疫が付くまでは取っても取っても繰り返しできる」という事実です。

 水いぼの自然経過をみた論文報告では、早い報告で3カ月で55%が治癒~長いものでは1年で50%程度治癒したというものがあります。すなわち、ワイキャンスの有効率は、自然治癒経過の早いものと同程度ということになります。対して、銀イオン含有クリームの治癒率は、3カ月で約81%とあきらかな優位性があります。

★当院ではワイキャンスには対応しておりません。

MB-Fクリームの使い方は?

 1日2回、朝と入浴後に水いぼとその周辺にやや広めに塗布することを推奨しています。稲葉医師のブログでは特に塗布量までは言及されていませんが、通常は1FTUを目処にして、軽くテカるぐらいしっかり塗った方が良いと考えます。(※1FTU=指先関節1つ分で手の平2枚)

 また、やや大きめの水いぼでは水いぼの中のモルスクム小体(水いぼウイルスの塊)を銀イオンで壊死させるという観点から、ややたっぷりと塗布して時間を掛けて塗り込むようにする水イボ本体に効果的に抗菌作用が働くものと思われます。治りが悪いという方のほとんどがMB-Fクリームの塗り方が足りない印象ですので、しっかり広めに塗布するように当院では指導しております。

 治療経過として効果がでてくると、水いぼがやや表面から突出したようになればMB-Fクリームが効いている証拠です。BOTE徴候には個人差があり、治癒時に赤く炎症をおこすことが知られています。赤みや化膿が起きたときにはMB-Fクリームを継続して、医師の指示下に消毒や抗菌剤軟膏も併用しましょう。

MB-Fクリームの取り扱いは?

 MB-Fクリームは薬事法上は「化粧品扱い」なのですが、実際には治療目的に使われる特殊性から、現在の販売元である岩城製薬イルセラグループによると医療機関限定での販売になっております。当院ではイルセラからの要請によって必ず患部を拝見したうえでMB-Fクリームの指示書を発行し、近隣のあおい薬局さんにて販売させていただいております。

 また、通販などで売っているもの非正規品や既に使用されたものである場合があり、購入を控えた方が安全です。

 取り扱いの医療機関は、以下から確認することができます。

①3Aims社のホームページ
https://3aims.jp/dealers-main/

②岩城製薬(イルセラグループ)のホームページ
https://illsera.iwakiseiyaku.co.jp/page/clinic

 イルセラのホームページ上で確認できるクリニック数は、当院を含めて、東京23区内で127件・その他の市部で54件の掲載があり、その他の県でも315件以上の掲載があります(※令和8年6月現在)。掲載されているクリニック数だけでも全国に500件以上の扱いがありますので、気になった方は近隣でのMB-Fクリーム取り扱い医療機関を調べて見ると良いでしょう。

水いぼ/MB-Fクリームの口コミは?

ネットなどでの口コミは?

 MB-Fクリームに関しては、現在3Aims社および岩城製薬(イルセラグループ)にはGoogleへの登録がなく、直接的な会社の口コミはついておりません。また、MB-Fクリーム自体が医療機関限定の販売となっており、患者さんからの直接の口コミはない状態です。

 各医療機関からの患者さんの反応や医師の感想をまとめると、
① ピンセットで摘除をされずにお子さんが怖がらずに済んで良かった
② ご自宅で塗布を続けるだけなので、お子さんが嫌がらずに続けやすい
継続すると赤くなって枯れてきたという口コミが多く、1,2カ月で水いぼが赤く腫れてその後カサブタのようになり消えていくというものが多かった
プールに入る際や症状を広げないための選択枝としてよいという意見も
以上のように好印象の口コミが多く見られます。


注意点としては、
値段が標準は税込2200円ですが、医院によっては2500円以上して自費の経済的負担がある
② 水いぼが治る過程で出るBOTE徴候が強く出てしまい、一時的に赤く腫れて悪化したように見える
効果がでるまで時間がかかり平均2,3カ月継続する必要がある
④ 銀イオン/サクランなどの配合成分により独特な臭いが気になる
⑤ 水いぼがどんどん広がって摘除が不能と云われたときに使ったので量が必要だった
などがあります。

MB-Fクリームの評価をAIに聞いてみた

 最近、ご来院される患者さんにお話をお聞きすると、ホームページは見ないでAIで検索して来たという方もいます。確かに、AIはプロの目からみると情報が、まだまだ未完成なのですが、「何もしらない分野」を調べるには便利で「80点の答え」を出してくれます。そこで、MB-Fクリームの評価Gemini/チャットGPTに聞いて見ました

 総括すると銀イオンが水いぼに効果があるという質の高い論文や研究結果、大規模な臨床試験の結果はみあたらずお勧めされない治療となってしまいました。当方は、3年あまり「銀イオン配合軟膏」を使ってきて、確かな効果を感じており、今回のブログを書くに至ったわけですが、開発医師のコメントでも「効果は確かにあると断言」しております。

 銀イオン配合クリームは、開発医師や様々な関係者の思いが詰まったお薬に準じる外用剤です。水いぼで痛い思いをさせたくない、根本的に免疫を付けるにはどうしたら良いかを考え抜かれた結果できた治療の選択肢です。一方で、大学病院のお勤めで論文や大規模データのみを信じる方権威や根拠を重んじる方AIのみを信じてしまう方には向かないお薬とも云えます。

銀イオン配合抗菌軟膏のまとめ

 当院でもMB-Fクリームを扱って4年目(2026年現在)となり、「3カ月で80%以上の治癒効果」全く異論がないと実感しております。もちろん、塗布量がすくなかったり、ご来院いただけない方は水いぼの経過は長引いてしまいます。MB-Fクリーム医療機関限定での許可制の販売となるため、必ず受診をしていただいて患部を診察してからの指示書発行とさせていただいております。(※イルセラグループからの要請)

 水いぼは以前は当院でも所謂「痛みを伴う水いぼ摘除」を行っており、お子さんへの負担となると感じておりました。水いぼ摘除は数は減らせるのですが、いくら保湿やスキンケアを行っても、また増えていってしまうのです。あることをきっかけにご指導いただいた大田区・雑色皮フ科の栗川先生からも「水いぼは取っても取っても再発してしまう」というご助言をいただき、当時の皮膚科学会で展示されていた「MB-Fクリームを導入」することに決めました。じつは、同時期にコロナ感染(※国内発生2020年)も未だ蔓延している時期であったので、お子さんが泣き叫んで飛沫感染のある「水いぼ取り」は避けたかったという実状もありました。

 銀イオン配合抗菌軟膏をきちんと使っている患者さんは、3カ月前後を目安として、きちんと肌を良い状態に保っていると「いつのまにか水いぼが消えてしまう方」がほとんどです。もしも、大きくなった水いぼが残ってしまった場合には塗り方が足りない可能性があるため、しっかり多めに塗布するようにアドバイスしております。

 今回、ブロクを執筆するにあたり、岩城製薬(株)瀬尾さまからもご助言をいただき、「MB-Fクリームの配合成分情報」やあくまで「化粧品扱い」であることの情報をいただきました。今回、MB-Fクリームを詳しく調べれば調べるほど、自分の勘違い「サクラン⇔サフランではない」がみつかったり、サクラン軟膏の開発に当たった岡崎氏/稲葉医師および3Aims社代表の二神氏のご苦労/思いなどを知ると「サクラン配合銀イオン軟膏」へ係わった方々への尊敬の念を抱かざるを得ません。

 アトピアクリニックの稲葉医師の開発した「銀イオン配合抗菌軟膏」は、水いぼ本体のウイルスの塊(モルスクム小体)に直接働きかける「非常に安全性の高く」かつ「優れた抗菌作用」を持った「安定型の銀イオンAg+」高濃度に配合され、さらに肌を良好な状態に保つスイゼンジノリから抽出された高保湿成分「サクラン」を高濃度含有された「理想的な水いぼ治療の選択枝」と考えられます。

水いぼを痛くなく治したい、②強いお薬やリスクのある治療を避けたい、③根本的に免疫力をつけて再発を避けたいといったお子さんにお勧め出来る「非常に効果のある外用剤」と云えるでしょう。
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